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>甲のロをうまく出す練習方法があればご教示ください。
私が「甲のロが苦手な門人」にお伝えしている方法は次のとおりです。
(1)指孔は全開(裏ヒ)の状態で、息流の向きおよび角度を少しづつ変え、最も広がりのある良い響きの音を作る。
(2) その音を吹きながら「甲のロ」の指にシフトすると、裏ヒ同様に「甲のロ」でも幅広い音が出る。出ない場合は@に戻って繰り返す。
(3) 幅広い「甲のロ」が出たら、最初からその音が出せるように意識して練習する。数回ではダメで、その音を“獲得できた”と実感するまで反復することが大事。自身の音を鍛えるには「乙のロ」を吹き込むことが最重要課題ですが、曲を吹く上では、甲と乙の要である「甲のロ」を磨くことも欠かしてはなりません。“うまく吹けない”のは“吹く時間が少ない”ことも原因として充分に考えられます。日々の練習に「甲のロの素吹き」の時間を作って是非「甲のロ」を“得意な音”にしてください。
なお、「甲のロ」の指使いは、教本上は全閉ですが、琴古流では第4孔を少し開けて出すことがあります。琴古系の製管師さんが作られた尺八はそのようにして「甲のロ」を調整されていることが考えられますので、試してみてください。
> 先日石川師の演奏を聴かせていただく機会がありました。その中で、
> メリ音、特にツの半音をはっきりした音で出されているのがとても印象に残りました。
> 私も切れのある半音を出したいと常々思っているのですが、
> 何か特別な指の使い方をされているのでしょうか。
> お答えいただける範囲で結構ですので教えてください。
まず、混乱を避けるために以下の「メリ」は、琴古流の“メリ”、都山式表記の“半音”を意味する、ということをお伝えしておきます。私が特別変わった指使いをしている、という意識は持っていませんが、ツのメリの場合は薬指が1孔に入り込むような格好にして隙間を作っています。言い換えると、1孔を手前に向かって軽くえぐるようにして開けています。この時の状態は、第1関節はやや曲がり、全閉時より薬指の腹が中に入っています。こうするとかなり音が上づることが防げます。
リのメリ(ハの半音)の場合は、前後の運指のつながりで一様ではありませんが、長く伸ばす時には第1関節が4孔の真上に来るようにして、指が孔にアーチを架けるような状態にして出しています。顎とのバランスがうまく取れれば、ヒのメリ(甲のハ)も驚くほど豊かな音量で吹くことが出来ます。ご参考までに第1、2孔は古曲を吹く時には閉じ、それ以外の殆どの場合は開けています。
チのメリは前の二音に比べると出しやすいので、開け方はあまり気にせずにメリ音同士の音質を合わせることに意識を持って吹いています。
メリ音の音程を決める時に特に注意したいことは、楽器に対して指が斜めに向きすぎることです。斜めに開けると、開けた部分が三日月になり、開けしろが数ミリ歌口に近づくだけで音程がかなり上がってしまいます。指の置き方、あるいは開けしろの作り方は出来るだけ楽器に対し垂直にする工夫が必要です。あとは他の項でも書いていますが、顎でより深く、よりフレキシブルに音を上げ下げする訓練です。私には“秘伝”はありません。私は自分の方法をすべて公開しています。参考にしていただいて少しでも上達、発見の一助になれば幸いです。どんなことでもご質問をお寄せください。
> 自分でも少し鳴るようになった実感はあるのですが、音程が悪いとよく言われます。
> 前にこのコーナーにあった、チューナーで自分の楽器の音程をチェックする、という方法を解説してください。
A.前回はチューニング・メーター(以下チューナー)を使って、自分の平均的なピッチを確認する方法を書きました。今回はチューナーを使って、自分の出した音程のバラツキ、および楽器の音程の傾向をチェックする方法について書きます。まず、前回と同じようにチューナーの設定を“自分の甲のロ”が真ん中に来るように合わせます。そして、甲のロの高さ(例えば442HZ)を基準として、まずは下(乙の方向に)吹いて行きます。甲のロを吹いた時と同じ気分でリ(乙のハ)を吹いた針の位置をチェックしてください。メモ用紙に〈リ=メーター一目盛低め〉などと書いておくとよいでしょう。同様にして、チ、レ、ツ、ロと吹きます。そうすると甲のロに対する乙の各音の傾向がわかります。この時に気をつけたいことは、『メーターの針を見て真ん中に来るように合わせようとしない』ことです。目で音程を合わせてしまうと、楽器本体(自分自身の吹き方のクセであることも多いが)の傾向がわからなくなるからです。あくまで自然に、かつ、しっかり吹くことが肝要です。乙ロまでチェックしたら次は甲音です。もう一度甲のロを吹いて針が真ん中に来ることを確かめ、先程と同様にツ、レ、チ、ヒ(都山式ハ)、裏ヒ、ハ(ピ)とチェックします。
乙と甲のロ、ツ、レ、チ、琴古リ・ヒ、(都山ハ)を並べると、およそその楽器の調律の傾向がわかります。例えばレが乙、甲共に低いなら、レは常に浮る(カル)意識を持って吹くか、場合によっては手孔を削って調整する必要があります。ここではテーマと離れてしまいますので割愛しますが、手孔を削ったり、逆に埋めたりすることはとても難しく、楽器全体の鳴りをも左右してしまいますので、師匠、あるいは製管師(作った人が最良)にまず相談することをおすすめします。ここで重要なのは、自分の楽器(と吹き方)の音程の傾向を知る、ということです。よく見られる傾向としては、@ロだけが他の音程と違う、Aツが乙、甲共に低い(古い尺八は意図的にそうなっているものもある)、B乙レが低く、甲レが上づる、Cチが乙、甲共に高い(Aと同じ)、Dリ(乙ハ)が高く、ヒ(甲ハ)が低い、E裏ヒも乙が高く、甲が低い、などです。
他にも様々な傾向がありますが、その傾向を把握した上で、基幹となる音のバランスをチェックします。まず大事なのはオクターブ(甲ロに対する乙ロおよび琴古ハ、都山ピ)、そして4度、5度(ロに対するレ、チ)です。乙ロ、レ、チ、甲ロ、レ、チ、琴ハ都ピの音程がどの組み合わせで吹いても大きくはずれないように、自分の吹き方と楽器の傾向を合わせることが重要です。
まずメーターで見て音程を確認したら、次はメーターを見ないで自分の耳にしっかりその音程を焼き付ける、そしてまたメーターでチェックする、という地道な作業が必要です。演奏する音楽の種類によってツとリ(ハ)の音程には少し幅がありますが、ロ、レ、チの3音は出来るだけバランスのとれた(同じピッチの)音高が出せるように訓練してください。この3音の精度が高いと全体の安定度がまず高くなりますし、副次的に他の音も良い音高に落ち着くと思います。琴ハ(都ピ)に関しては最初から自分で音高を決めなければなりませんが、特に高く吹いてしまいやすく、一層の注意が必要です。
効果的なのは、この作業をしている間も自分の音を録音して、後で聴いてチェックすることです。自分がどういう状態の時にどういう音程や響きになるか、を経験的に把握しておくことは、過剰な緊張を無くすためにも有効です。
チューナーをうまく使えば必ず耳はよくなります。貴方の貴重な時間を費やすのですから、自分の耳、自分自身の音程を良くするんだ、という強い意識を持って臨んでください。
尺八はほんの少しの条件の変化でも音程が変わりやすい楽器です。私自身も音程の悪さに辟易し、逃げ出したいこともしばしばですが、音程を良くする方法はより自分の音と向き合うことと考え、日夜苦闘しております。少しずつ努力を積み重ねて参りましょう。
> 自分でも素吹きの音は良くなったと思うのですが、曲を吹くと全然納得のいく音になりません。
> どういうことに気をつけて練習すればよいでしょうか。同じような悩みを持っておられる方は多いのではないかと思います。原因はいろいろ考えられますが、次の三つの状態になっていないかチェックしてみて下さい。
@素吹きの音を少しずつ曲の中に取り入れる練習が不足している。
Aメリ音の後のカリ戻しが不十分で唇の形が崩れてしまっている。
B素吹きの時の姿勢と曲を吹く時の姿勢が変わり、良い姿勢で吹けていない。@、Aについてはこのコーナーの別の項でご説明しておりますので、そちらをご覧いただくとして、今回はBについて考察いたします。
素吹きで良い音を出している時は、音を作ることに多くの意識が使われていますので、身体と楽器の角度、下半身と上半身、および胸部と気道、口腔内のバランスが吹く人の一番良い状態になっている、と言う事ができます。これが、曲を吹く時には楽譜を見るなど他のことにもたくさん意識が取られ、身体の良い状態を保つ意識が少なくなってきます。よって、先の一番良い状態が崩れ、満足のいく音で吹けない、ということになります。
これを解決するには、良い音が出た状態のまま姿勢を動かし、どのような姿勢でも最良の音が出せるトレーニングをする事です。まず立った姿勢で身体を緩め、いわばニュートラルな状態を作ります。そしてできるだけ余分な力が入らないようにして音を出していき、一番良い音が出せる身体の状態にします。まずは立奏で吹くと仮定して、立奏用の譜面台に乗った楽譜を見る視線にしてみてください。そして良い音のままその楽譜を見ることが出来ているかチェックします。楽譜を見る姿勢になった時に少しでも違和感があれば、状態が変わっていると言えます。(“一番良い状態から変わっている”、ということですから“悪くなっている”ということです。)もう一度音を作り直して、その“良い音が出ている姿勢”で譜面台が見られるように身体をコントロールしてください。それが出来たら次は椅子に座っても同じ音が出るように練習します。その次は座奏で同じことを練習します。私自身の経験からいうと、椅子はまだいいのですが、正座をした時に「足が痛い」などということに意識が行くため姿勢が悪くなり、結果として良い音で吹けない方が多く見られます。
この悩みを抱えておられる方は“良い音は良い姿勢から”をしっかり意識して良い音を保つ訓練をしてください。少しずつ丁寧に取り組めば必ず改善が見られることと確信します。
> 長い間ブランクがあり久しぶりに尺八を吹いたところ、甲の音が出せなくなっていました。
> 甲の音をうまく出すコツのようなものはあるでしょうか。甲音は乙音にくらべると息流のスピードを速くする必要がありますが、いたずらに強く吹くだけではうまく出てくれません。また、唇を横に引っ張りすぎても平べったい音になってしまいます。
私は“甲音の出るポイントをとらえる”ような意識で吹いています。以下の方法を参考にしてみて下さい。まず、乙音をリ(乙のハ)から吹き、出来るだけたっぷりした音で乙のロまで下りる。乙のロが充分に鳴る状態になったら、一吹きの中で乙ロ→甲ロと吹く(1オクターブの跳躍)。この時、甲のロにいく時に主に上唇に意識をおき、舌面に近づけるようにしてすこしずつ圧力をかけていくと乙のロから甲のロに変わるポイントがあります。最初はスムーズにできないかもしれませんが、何度か繰り返すと甲のロに切り換わるポイントが見つかります。そのポイントがとらえられたら次は甲のロから吹き始めてもその状態で吹けるようにします。ロが出来たら同じようにツ、レ、チとだんだん音を上げて行きます。音が上がるにしたがってすこしずつ圧力も増やしていく必要があります。私自身の感覚としてはこの時かける圧力はほとんど上唇で、下唇の意識はあまり持っていません。
それぞれの音のポイントがだいたい把握できたら甲ローツーレーチーヒ(ハ)ーハ(ピ)、ハ(ピ)−ヒ(ハ)−チーレーツーロ、と全音の上昇と下降を繰り返し、微妙な圧力の変化を獲得します。全音がある程度安定して出せるようになるまではメリ音は吹かないほうが賢明です。他の項目でも繰り返しお伝えしておりますが、音を作る工程中は出来るだけシンプルにその項目に取り組まれることをおすすめします。この方法を試してみてうまくいかない場合はまたお知らせください。あと、私は特に高い音を出す時、音が上方から引っ張られる(吊り上げられる)ようなイメージを持って吹いています。ご参考になるかはわかりませんが付け加えておきます。
> お箏の人と合奏する時に“ピッチはいくつですか?”とよく聞かれますが、
> 自信を持って答えることができません。
> どうやって測ればよいのか、チューニング・メーターの使い方とあわせて教えてください。ピッチ(音の高さ)を測るのには、現在はチューニング・メーター(以下チューナー)を使用するのが一般的です。尺八を吹く人の間でもチューナーを持つ人が多くなりましたが、うまく活用されていないケースも少なくないようです。
チューナーは主に、@自分の音の高さを知る、時と、A自分の楽器の音程をチェックする、時に使用されます。混乱を避けるため、ここでは@についてご説明します。まず、自分のピッチ(音の高さ)を知るには、チューナーのスイッチを入れてMETER(あるいはTUNEなど)の位置にし、音を出せば針が動く(機種によっては光る)ようにします。一般的にスイッチを入れた段階では440Hz(ヘルツ)に合わされています。音を出し、安定して鳴るようになったら甲のロを吹いて(乙のロでもよいですが、乙ロだけ全体と違う音高になることも多く、私は甲のロをおすすめします)、針の振れかたを確認します。針が右に大きく振れたり、右側だけ光る場合は‘チューナーの設定よりも自分の音が高い’ということですから、CALIB(PITCH、+など)のボタンを押してチューナーの設定を高くします。針が真ん中に来る(ランプが両方光る)ところが自分の今出している甲のロのピッチです。438から445(Hz)という数字が書いてあり、その数字のところが光る機種が多いです。一つの音の高さで自分のピッチを決めるのは正確さに欠けますので、同様に基幹の音である乙ロ、乙レ、乙チ、甲レ、甲チ、ハの五(ピ)もチェックします。それらの平均(中庸)の数字が“その尺八を吹くときのあなたのピッチ”だということが言えるでしょう。お箏などの合奏相手からピッチを尋ねられた時は、その相手の方がピッチの数字を基にチューナーを使って調弦をすると考えられますので、“私のピッチは442です”というようにヘルツの数字で答えます。
合奏に行った時に上記の作業をする時間はまず取れませんから、個人練習の際にチューナーを使う習慣をつけ、自分のおよそのピッチを知っておくとよいでしょう。また、同じ人でも各楽器によってピッチは違いますので、主に使用する楽器についてチェックし、一尺八寸管を基準にして、一尺六寸管はやや高め、二尺一寸管はほぼ同じ位、などと憶えておくと持ち替えの時に役立ちます。尺八のピッチは状況により大変変動しやすいので、常に気をつける必要があります。気温や室温などによって変わることは良くご存知だと思います。これ以外にも、@素吹きで単音を目いっぱい鳴らした時と曲の中でメロディを吹く時とでは2〜3Hzは違ってきます。素吹きの音が445Hzだったからといって合奏のピッチを445Hzにとってしまうと、合奏時に尺八がそこまで上がらず、苦労することになりかねません。素吹きで445Hzなら合奏のピッチは442〜443Hzでとってもらうのがよいと思います。また、A正面を向いて吹いた時と譜面台を見ながら吹いた時でも違ってくることが多いです。譜面台に置かれた楽譜を見て吹くということは、正面を見ている時よりメリ気味になるため、全体の音高が下がりやすいです。琴古流の古曲の楽譜などは床に置くことが多く、なおさら低くなりやすいです。
合奏の時に、ピッチを提示するのではなく、尺八から音をとってもらう場合は、(出来れば楽器をあたためた状態で、)楽譜を見る姿勢および角度にして、曲を吹くつもりで甲のロ、乙のロを吹けば、およそ曲の中で出てくる音高が出ていると考えられます。箏や三味線が調弦をしている間は音を出さないのがマナーですが、大体とり終わったら重要な音〔ロ、レ、チ、リ(ハ)、主な半音〕を合わせておくとより安心して曲に臨むことができます。
実際に合奏が始まったら、尺八のピッチは上がり、弦楽器は逆に下がろうとしますので、そのことも意識しながら、終わりまでピッチは常時注意する必要があります。
> 五線譜で7孔尺八の独習をしております。 正しい運指をお教え願えないでしょうか。
> 特に、B♭、Cの1孔2孔、大甲の運指、半音の特殊運指について、迷っています。
> 乙音、甲音では、運指が違うのでしょうか。
七孔尺八は最近殆ど使用しませんので、わかる範囲でお答えいたします。ご了承下さい。
七孔尺八ではB♭(都山式ハの半音)の時は乙も甲も1、2孔を開けて吹きます。1、2孔を閉じると乙と甲で相当な音程差が生じますし、音色も冴えません。
C(ハ)を吹く時には1、2孔は閉じます。B♭の小孔も閉じた方がピッチ、音色とも安定します。速いパッセージですぐに次の音に移る時は、閉じなくてもうまく吹ける場合がありますが、基本的には五孔尺八のハと同じ指遣いだとお考えください。“ハの半音”と“ハ”のトリルはB♭の運指で前面の一番上の孔(五孔尺八の第4孔)を動かします。大甲の運指は五孔尺八とほぼ同じですが、七孔尺八では、四(E)の運指から“上の小孔”を開けるともう少し高い音が出ます。大甲のツ(F)に近い(やや低い)音程です。この時、裏孔を閉じた方が出しやすい楽器や下の小孔を開けてさらに音程を少し上げられる楽器もあります。
“半音の特殊運指”とはどのような運指を指すのかわかりませんが、ツの半音に関して言えば、甲のツの半音(E♭)を出す時、フォルテで吹きたい場合には七孔尺八を使っていても“ロのカリ”で吹くことはよくあります。これ以外のご不明点については、またお問い合わせ下さい。
> 以前舞台を拝見いたしましたが、あまり大柄でない石川さんが長管を軽々と吹かれていたと記憶しております。
> 長管を吹く”コツ”といったものはあるのでしょうか。私は身長163p、体重は秘密(何で秘密やねん)と小柄で、また特別腕が長い訳でもありません。しかし長管を吹く機会は多く、2尺4寸管(A管)や2尺7寸管(G管)もよく舞台で吹いています。上のご質問は演奏会場でもよく受けますが、いつも”好きでやっておりますので”と答えにならない返事をしております。
”コツ”ならぬ注意すべきポイントを上げるとすれば、3孔から下の指孔の押さえ方(構え方)になると思います。指孔を全開にして音を出し、5孔(裏孔)から塞いでいくと、まず3孔が最初の関門です。私は2尺2寸から下の長さの楽器では3孔を外側に振って開けてあるものを使っています。”チーレー”をくり返しレまでうまく出るようになったら次は下の手です。
下の手は前にこのコーナーで取り上げた”長管の塞ぎ方”の項にあるように、2孔を人差し指の根元で押さえ、バトンを握るような感じで楽器を持ちます。この時に注意したいことは”ヒジを開くようにして持たない”ことです。楽器に対して下の手が横になりすぎて、ヒジが開いた状態では吹き続けることはできません。指が楽器に対して斜めにあたり、2孔と1孔が塞げるようになれば、無理なく吹くことができます。
あとは長管に接する時間を出来るだけ多くとることです。日々少しずつ反復していると”手が伸びたかな”と思えるくらいに楽に持つことができるようになります。頑張ってください。
> 現在、1尺8寸管と1尺6寸管を所有しています。
> これから少しずつ長さの違う尺八を増やしていこうと考えていますが、
> どの長さから買えばよいか決めかねています。アドヴァイスがあればお願いします。貴方の所属(流派など)や曲の指向がわかりませんので、いくつかのパターンを考えてみました。これから吹こうとするであろう曲を念頭に、参考になさってください。
(1)古典本曲指向で長管を吹いてみたい人
2尺4寸(A)→2尺1寸(H)→2尺(C)→2尺7寸(G)もしくは1尺9寸(C#)
(2)都山系でいろいろ吹いてみたい人
2尺1寸(H)→2尺4寸(都山式には2尺3寸)(A)→2尺(C)
(3)地唄の合奏を主にやりたい人
1尺9寸(C#)→2尺(C)→1尺7寸(D#)
(4)詩吟や民謡の伴奏も頼まれる人
3本(2尺1寸)から9本(1尺5寸)ぐらいまで高価なものでなくて良いので、吹きやすいものを出会った順番にそろえる。ちなみに私は「三曲系、古典本曲指向、合奏では主に低音を担当」ですが、使用頻度はおよそ以下のとおりです。
1尺8寸(40%)、1尺6寸(20%)、2尺4寸(A)(15%)、2尺1寸(8%)、2尺(7%)、2尺7寸(G)(5%)、その他(5%)あまり使わないものまで全部新品で揃えるのは金銭的にも大変ですので、横浜の和楽器リサイクル店”アンティークね色”(「邦楽ジャーナル」誌に毎号広告掲載)などを利用されるのもよいでしょう。
> 講習会のテーマに「歌うように吹く研究」とありますが、どのようなことをされたのですか。
前回の講習会では「メリーさんの羊」を題材にして、色々な吹き方を試みました。まず「メリーさんの羊」を喜、怒、哀、楽のイメージでそれぞれ一回ずつ吹きます。音に”いかに自分の気持ちを込めるか”ということにポイントを置き、吹きます。「メリーさんの羊」は4分の4拍子で8小節ありますから、それを4つに分け、1〜2小節目をA、3〜4小節目をB、5〜6小節目をC、7〜8小節目をDとしておきます。ここからは2小節ずつ表現の仕方を変えて吹くことを試みます。第1番目はAを喜、Bを怒、Cを哀、Dを楽のイメージで吹きます。第2番目は音量の変化に意識を置き、Aをff、Bをpp、Cをffからpp、Dをppからffになるよう吹きます。第3番目は息の流速の変化に意識を置き、Aを速い息、Bを緩い、たっぷりとした息、Cを速から緩、Dを緩から速の息で吹きます。そして第4番目はヴィブラートの変化に意識を置きます。Aを自分が可能な最も大きいユリ、Bを細かいユリ、Cを大きいユリから細かいユリ、Dを細かいユリから大きいユリで吹きます。単純なメロディもきちんと変化をつけようとすると大変難しいです。この4つに間合い、テンポの変化を加えると曲を吹く(歌を歌う)上での主な要素が考えられます。次は、これらの要素を組み合わせ、自分のイメージを持ってやさしい曲を吹きます。私がこのトレーニングに用いる曲は愛唱歌、童謡、歌謡曲やポピュラーなどよく知っている曲です。旋律の中に表情をつけていく為には難しい曲や知らない曲ではかえって混乱を招くおそれがあります。やさしい曲を吹くトレーニングをくり返し、自分のイメージが旋律の中に織り込めるようになったら様々な曲に応用して下さい。
”旋律を歌う”ということが実感として持てるようになると更に尺八を吹くことが楽しくなるでしょう。
> 私は合奏の時リズムをとるのが苦手です。リズム感を養うよい方法があれば教えてください。
正しいリズム感、テンポ感を身につけようと考えたら、出来るだけメトロノームを活用することです。私も決してリズム感が良い方とはいえませんので、カード型のメトロノームを常に持ち歩いてチェックする習慣をつけています。
私の経験からいうと、リズムをうまくとれない人は、大きく分けて、(1)自分の音を聴きすぎ、他の音をうまく聴くことができない人、(2)曲(楽譜)を正しく分析的にとらえれていない人、(3)(1)と(2)の両方できていない人、です。
(1)の自分の音を聴きすぎている、というよりも他の音を聴けていない人は、自分が吹きながら周りの音を聴くトレーニングが必要です。方法としては、自分で何か音源を決め、それを素吹きをしながら聴き取る練習をしましょう。適当な音源がなければ、自分で例えばローツーレーチーリーローなどと録音したものを再生して、自分も吹きながらそれを聴くと良いでしょう。この時大事なことはしっかり吹くことです。テープをかけながら練習する習慣のある人の多くがきちんと吹けていません。慣れてきたら全音だけで出来ている曲(唯是震一作曲「合竹の賦」や宮田耕八朗作曲「やまびこ」など)の片方を録音して、一人で合奏することもよい方法だと思います。訓練すれば必ず聴く耳は養われますので、できるだけやさしいものに丁寧に取り組むことから始めましょう。(2)の、曲を正しく捉えていないため、リズムがうまく取れない人は、一度できるだけ音符を分解して把握することです。例えば有名な「壱越」(山本邦山作曲)の冒頭の部分は甲のロで2拍半伸ばして3拍目の裏でハ(琴古リ)に写りますが、この”何拍か伸ばして音が変わる時(特に裏間)”にうまく拍子がとれない人が多いです。この場合甲のロをまず、1拍+1拍+半拍に分解し、テンポを落としてメトロノームを使って2拍半がきっちりとれるまで唱譜します。そこがしっかり捉えられるようになったら次に進みます。リズムのややこしいところ、わかりにくいところはまずゆっくりなテンポで唱譜し、把握できてから楽器を持つことです。メトロノームを使う必要があるのは、自分で手や足などでテンポを取っていると自分に都合のいいようにとってしまうからです。”私はリズム感が悪い”と公言してはばからない人ほど楽譜の読み方がアバウトで、自分に都合よく拍子をとりがちです。
拍子がおかしくなりやすいのは、先の「壱越」のように、何拍か伸ばして拍子の頭ではないところから音が変わる時(拍の頭がタイでつながっている時)や、逆に拍の頭が2分の1拍や4分の1拍などの休符がある時です。こちらもメトロノームを使い、少しずつ訓練すれば必ず向上が見られますので、最初からできない、自分はリズム感が悪い、とあきらめずに努力を積み重ねて下さい。
> 念願の古管を手に入れましたが思うような音が出ず苦しんでいます。
> 古管を吹く吹き方、というものがあるのでしょうか。どんな楽器を吹く時も、(1)息流が楽器にまっすぐ当たっているか、(2)歌口と息流の角度は合っているか、(3)息流が管の中と外に別れるバランスは適正か、などをチェックする必要がありますが、それをおおむねクリアしたとして、それでも鳴らない時は息のスピードに原因があると思われます。
古管は現代の楽器よりも中の作りが広いものが多いです。現代の尺八の多くが速い息で安定して鳴るのに対し、古管に見られる中の広い作りの尺八は息のスピードが速すぎると、かえって鳴らなくなります。私もそんなに多くの古管を吹いた経験はありませんが、少しゆるめの息をたっぷり吹き込むようにすると豊かな音が出るように感じます。甲の音も、乙から甲に徐々に音を変えていき、変わったぎりぎりぐらいのところが最も豊かで美しい音がするようです。現代の尺八に慣れた人がこの状態で吹き続けることはとても大変なことですが、慣れるにしたがって少しずつ苦しさは軽減しますから、良い音が出ていることを励みにして頑張ってください。そして、その豊かな音がある程度獲得できるまでの期間は、現代風の尺八は吹かない方が賢明です。
古管に限らず楽器を持ち替える時は、その楽器に合った息のスピードを探しながら吹くと良いでしょう。強く、速く吹きすぎて鳴らない、というケースも少なくないように思われます。
> 日頃、専ら二尺四寸管を愛吹しておりますが、第2孔はやはり人差し指の「指先」ではなく
> 「根元」で塞ぐのでしょうか。
> 根元と申しても、「指の中程の第二関節あたり」にて塞ぐのか、
> それとも「最も掌寄りの本当の指の根元」にて塞ぐのでしょうか。恐らく後者だとは思うのですが。
> 小生、図体が大きく、従って手も長く、二尺四寸管も一尺八寸管とほとんど同じ気分で吹くことができます。
> が、長時間吹いていると、流石に右手首の手前側が痛くなってきますから、
> やはり指先で塞ぐのは良くないのだろうと思っております。
> 長管は別なのだとわきまえて「第2孔は徹底して指の根元で塞ぐのだ」という姿勢で宜しいでしょうか。長管の塞ぎ方ですが、別にこれといった決まりはありません。(要はふさげりゃいいのです。)私の知り合いには、「第二関節」で吹く人も「根元」で吹く人も両方います。ちなみに私は「根元」派です。・・・アホなことを言うようですが「根笹派」とはまったく関係ありません(あたりまえ)し、ピンクレディーのファンだった訳でもありません(そら根本や!)。
この塞ぎ方も長管の第1、2孔の開け方によって適した塞ぎ方が変わってきます。第1、2孔が歌口から真っ直ぐ下りた線上にある場合、2孔は先の二つの塞ぎ方で塞ぐことを想定しています。が、もちろん身体が大きい人やリーチの長い人は2孔を指の腹で押さえても通常の吹奏には全く問題ありません。
問題になってくる場合があるとすれば「コロコロ」です。「コロコロ」がうまくできないようなら少しずつ「第二関節」派、もしくは「根元」派にシフトされることをお勧めします。(演奏される曲で「コロコロ」がほとんど出てこないならその必要もありませんが。)
最近は、第2孔も少し左右に振って(右手が下なら歌口から楽器をみて中心線より孔一つぶん位左)、指の腹で塞げるようにしてある長管も増えてきました。どうしても指の腹で押さえたい方には思い切って2孔をずらす、という手もありますが、これはやはりリスクが伴いますのでお気に入りの楽器にはお勧めいたしません。
> 先日、TVスタジオで生演奏する機会がありました。
> スタジオではまあまあの出来かなと思いましたが、後でビデオを見るとダメでした。
> 特に、雑音が多いのが気になりました。
> 雑音を少なくするワンポイントアドバイスをいただけないでしょうか。音に雑音が混じる人は口の先端(息が出る最後の部分)が閉じすぎていることが多いようです。先端より少し内側に圧力をかけるポイントを置き、なめらかな部分で吹くイメージを持ってください。唇の形を変えようとすると音が出にくくなり、ストレスがかかりますので、今の吹き方は変えずに、自分の口先がラッパになったような感覚を持つと良いと思います。構えてから一度軽く口を閉じて、唇の中央から漏れた息流で音を作る練習も有効です。
圧力のかかるポイントが口の先端から内側に移動すると、雑音は減ってツヤのある音に変わってくるでしょう。
唇に関して補足すると、左右に強く引きすぎていたり、上下の唇に力が入りすぎていると音も硬くなり、自由さが損なわれますので、基本的に柔らかく保てるように意識するのが良いと思います。
> 現在一尺六寸、一尺八寸、二尺一寸の三本の尺八を持っており、全部五孔なのですが、
> 会の先輩から一尺六寸を七孔にするように強くすすめられています。
> 五孔尺八を七孔尺八にすることは可能でしょうか。
> またそのメリットやデメリットについて教えてください。初めにご質問にお答えすると、五孔尺八から七孔尺八への改造は可能です。最良なのは、その尺八を作った製管士さんに改造をお願いすることです。諸々の事情でそれが不可能な場合は他の製管士や修理専門の工房へ持ち込むとよいでしょう。小孔は使う人の手に合わす必要がありますので、郵便などで楽器をやりとりする際には、その点をご注意下さい。費用は諸条件によって変わりますから依頼の際にご確認下さい。
七孔尺八とは五孔尺八にツのメリ(都山式はツの半音)、リ&ヒのメリ(ハの半音)が開放で出せるように小孔を2つ増やしたものです。このためロから始まる都節音階(ロ、ツのメリ、レ、チ、リのメリ、ロ)や、いろいろな音(ツ、リのメリ、ツのメリなど)から始まるドレミファソラシドを殆どメラずに吹くことが可能になります。考案されたのは昭和の初期ですが40年ぐらい前から普及し、現代邦楽や民謡、詩吟などで広く使用されています。
私は現在、殆どの演奏を五孔尺八で行っていますが、尺八を始めた頃は日本音楽集団などの現代邦楽に大変影響を受けましたので、七孔尺八を吹いていました。個人的には、良い、悪いではなく、五孔尺八と七孔尺八を別の楽器だと考えています。最初から七孔尺八を想定して作曲された曲や洋楽のアレンジ曲などは七孔尺八で演奏する方がより合理的だと考えますし、五孔尺八で絶妙に出されたメリ音(半音)は七孔尺八には出せない美しさがあると思います。これから七孔尺八に改造するかどうか決断をされる場合、私からのアドヴァイスは次の2点です。
(1)あなたが主に演奏する曲、あるいはこれから演奏したい曲を明確にし、それに相応しい尺八を選ぶ。例えば現代曲、民謡、歌謡曲、詩吟などを吹く機会が多ければ七孔で取り組まれるのもいいと思いますし、逆に殆どが古典、本曲ならさほど七孔にするメリットは感じられません。
(2)七孔尺八にされるならメインで使う長さのものはすべて七孔にしてしまった方が良いでしょう。
五孔尺八と七孔尺八は運指の感覚が微妙に違ってきますので、一尺八寸は五孔で、一尺六寸だけ七孔で、という選択は私はあまりおすすめしません。何気ないところで間違ったり、指が動かなかったり、というリスクが伴いやすいからです。どうしても決心がつきにくい場合は一尺六寸の木管を七孔にして、それを試すのも良いでしょう。
> 古典本曲が好きで吹いていますが、CDなどで聴くような本曲の雰囲気になりません。
> 地方にいるためなかなか習いにも行けず悩んでいます。
> どういうところに注意すればよいでしょうか。演奏をお聴きしていないのでどのようにお答えすれば良いか難しいですが、私の経験にもとづき何点かアドヴァイスさせていただきます。
まず、意識していただくことは、伸ばす音を”虚吹(きょすい)”で吹く、ということです。言葉だけではなかなかお伝えしにくいですが、”虚吹”とは体を使って意図的に押さない、自然に減衰する吹き方です。お寺の鐘の音が、打たれた時最も大きく、あとはだんだん小さくなっていく様子を思い浮かべるとよいでしょう。尺八で音高を保ったまま、自然に消え入るように吹くことはとても大変ですが、音をイメージして練習を続けると必ず上手になります。特に音のしっぽは難しいので、途中で切る癖をつけないよう、身体の力を早く抜きすぎないよう何度も練習してください。
古典本曲の伝承、流派によって違いがあり、後から出る音は絶対に前の音より大きくならない、と鉄則になっているところや、基本的に虚吹が原則で、曲の起伏で例外もあるところなど様々ですので、お手本となる録音があれば、それをよくチェックしてください。次のポイントはメリ音です。メリ音に対する考え方、音の高さも伝承によってかなり差異がありますので、一概には言えませんが、しっかりとアゴメリを効かし、陰陽の陰のイメージでメリ音をとらえることが開放音との対比を生み、より古典本曲の味わいを深める要素となるのではないか、と私は思います。二段メリの大メリの音は、メリの音をさらに深く、さらに厳しく捉える必要があります。
最も大事な”間”については、先達の優れた演奏をくり返しきき、自分で何度も吹いて体得するしかありません。先ほども述べましたが、こう吹きたい、とお手本になる曲や演奏があれば、まず徹底して聴き、真似ることです。伸ばす音はどう吹いているか、メリ音はどう吹いているか、間合いはどうか、など一回に一つのテーマを決め、様々な角度から一つの録音を聴いてみて下さい。その上で自分が吹いて、自分の録音もまたくり返し聴いてチェックしてください。独習で曲を吹くためにはまずは徹底して”聴く”ことをおすすめします。
> 5孔のトリルがうまくなる練習方法はないでしょうか。
> また他の音のトリルについても参考になることがあれば教えてください。
5孔のトリル(打ち流し)はほんとうに難しいものです。私が注意している点は、出来るだけ親指の同じポイントで押す、ということです。他の指にくらべ親指は真っ直ぐ孔を塞ぐことが難しく、ぶれやすいです。開けることは閉じることよりも難しくないので、私は常に同じポイントで閉じられているかを意識しています。また、前面の中指に力が入りすぎていると親指にも無駄な力が加わりますから、極力中指をゆるめるようにしています。流派によっては手首ごと動かして打ち流しをするときいたことがありますが、私はその方法はとっていません。練習の方法としては、メトロノームを使い、ゆっくりからだんだん速くしていくのが良いでしょう。最初は40ぐらいから始め、1拍に4つ、つまり16分音符で確実に打てるようにします。出来るようになったら1拍の速さを4から6ずつくらい上げてくり返します。60(つまり1拍1秒)で4つ打ちが正確に10拍(10秒)打てれば、どんな速さにも対応出来ると思います。古典などに使うゆっくりから速く、という打ち方は、どういう音の流れにしたいかを強くイメージすることです。上記のような基礎練習ができていればイメージ通りに打つことができるでしょう。
他の音のトリルにおいては、音程を考慮して運指を変えることがあります。例えば、ハの五(ピ)のトリルにおいては、はっきりと音を切りトリルの効果を出したいときは3孔、ハの五の音程を強調したい時や柔らかい感じを出したい場合は2孔を使います。同様に、出したい音の雰囲気によって甲のロで5孔、甲のレで1孔、甲のチで2孔などを使うこともあります。トリルの運指は一種類ではありませんから、状況に応じていろいろ試してみてください。
> 一人吹きで舞台に上がると、いつも苦労するのが乙のロです。練習では問題なく出せても、
> 古曲や古典本曲を演奏していると曲の途中ではなかなか十分な乙のロ音が出ません。
> 唇を締めすぎているものと思いますが、克服する良い方法はありますでしょうか。
乙ロが曲の中でうまく鳴らせない理由は様々ですが、私が主な原因だと考えるのは、次の2点です。(1) 曲を吹くうちに息流(息ビーム)の角度が上向きにずれてしまい、乙ロを鳴らすのに適さない角度になってしまった。
(2) 身体が練習時のリラックスした状態でなく、非常に緊張した状態になってしまったため、自分がイメージする音を生み出す息の量や息流が出ていない。まず、(1)を克服する練習方法は、素吹きで納得のいく乙ロを作り、それを少しずつ曲の中に取り込んでいく方法です。私が練習曲としておすすめするのは「六段の調」の初段です。素吹きをして、しっかり乙ロが出るようになったら、六段の初段を一節ずつていねいに吹きます。ツレーレーツローロー、この冒頭の一吹きだけでもなかなか満足のいくロは出てくれません。くり返し、何とか納得のいく音が出たら次に進みます。とにかく曲の中で乙ロが出てきたら満足のいく音になるまでくり返すことです。このようにして吹くと初段だけでもかなりくたびれますが、その分、身についていることは間違いありません。練習曲としては「一二三鉢返調」の「一二三調」(初めと終わりの部分)も有効です。乙ロを安定させる息ビームのイメージの持ち方として、乙ロのところにきたら、今吹いている楽器より長い管の乙ロを吹くつもりで息を入れる、という方法もあります。強く吹きすぎたり、気張りすぎたりすると逆効果になることが多いです。楽器の先端まで充分に息流を行きわたらせるようにたっぷり吹くと良いでしょう。
(2)は練習時、間違ったり行き詰まったりする度にやり直す習慣のある人や、テープなどに合わせて吹く人によく見られる症状です。このような人はしっかり吹けていないことが多く、いわば尺八を吹くためのスタミナが不足している状態とも言えます。これを克服するためには、自分で練習するときにできるだけ負荷をかけ、緊張状態を作ってやることです。会が予定されているなら、その舞台に上がっている自分を可能な限りシミュレーションして吹きます。舞台と同じように”一度吹き始めたら何が何でも最後まで吹き通す”ことを心掛けてください。また、可能な限り目一杯吹いて下さい。緊張してガチガチの状態の中で出された乙ロは舞台でも同じように出すことができます。その音を磨いてください。自分のイメージする音が少しずつ出だすと力の抜き方もわかり、自然と尺八を吹くためのスタミナもついてくることでしょう。
> ある程度の音は出せるようになり尺八が楽しくなってまいりました。
> しかし正確な音程という部分では非常に苦しんでおります。
> 例えばヒのメリなどはその前後の音に影響されて、音程がフラフラしてしまうような
> 感じがあります。
> 耳を鍛えれば良いとは思うのですが、具体的にどのような練習が効果的なのか
> 教えていただければと思います。
”正確な音程”を身につけることは超能力を身につけることに等しい”とは横山勝也先生の名言ですが、尺八を吹き続ける限り、音程との闘い(?)は終わらない、というのが私の実感です。
メリの音程を良くする方法として、私がおすすめするのは、出来るだけやさしい、よく知っているメロディーをたくさん吹く、という方法です。ご質問のヒのメリは琴古流の運指(都山式では甲のハの半音)と理解してお答えします。例1は”かえるの歌”です。甲のツから始めると、ツ、レ、チ、ヒのメリ、チ、レ、ツ、休、チ、ヒのメリ、ヒ、ハ、ヒ、ヒのメリ、チ、(以下続く)、となります。乙で吹くとリのメリの音程チェックにもなります。始まる音を変えて最初から4番目にメリ音がくるようにすると、色々なメリ音のトレーニングになります。
例2は”さくら”です。甲のレから初め、レ、レ、チ、レ、レ、チ、レ、チ、ヒのメリ、チ、レ、チ、レ、ツのメリ、(以下続く)。
例3は”荒城の月”を甲のロから始めると、ロ、ロ、レ、チ、ヒのメリ、チ、レ、ツのメリ、ツのメリ、ロ、リ、ロ(以下続く)、となりますね。このようなよく知っている曲やメロディーをたくさん吹いてメリ音の感覚を身体でおぼえると有効です。
この3曲を日々の素吹きの中に取り入れるだけでもメリの安定感は飛躍的に増すことと思います。その際に大事なことは以下のようなことです。(1)尺八で吹くばかりでなく、声に出して実際に唱歌(唱譜)する。
(2)単純なことを何度も何度も繰り返して音程感覚を身につける。
(3)メリを行うときに確実にメルことも大事ですが、メリの前後はしっかりカリで吹く。特にメリの後、明確にカリ戻すことを忘れない。
(4)練習を録音してみて自分のイメージしている音程になっているかチェックする。今回はメリ音の音程を中心にご説明しましたが、尺八は吹くときの状態によってたいへん音程の変わりやすい楽器です。全音の音程も指がその運指になっているからと安心せずにその旋律の中で正しいかどうかを始終意識しながら吹く必要があります。音程は自分が意識した分だけ確実に良くなります。自分にどれだけ厳しくなれるかにかかっています。頑張ってください。
◆暗譜
> 本曲の会などでの暗譜の演奏を聴くと、私も暗譜で吹いてみたくなりますが、
> どうしても一曲を暗譜することはできません。
> どのような方法で練習すればよいか教えてください。なんだ、と思われるかもしれませんが、暗譜をする際に最も大切なことは”絶対に憶えてやるんだ”という強い気持ちです。回数をこなせば自然と頭に入ってしまう、という状態はせいぜい25歳ぐらいまでだと思います。ですから、それよりも年齢が上になってくると、少しずつ憶えにくく忘れやすくなります。ですが、決して諦めてはいけません。強い気持ち、気魄があれば必ず憶えられます。
私が暗譜する際に行っている方法は次のようなものです。
(1) 楽譜全体を写真を見るように頭に焼きつける。どの旋律が大体どこにあるか、と全体像をおおよそつかむ。
(2) 全体をいくつかのブロックに分けて、ブロックごとにおぼえる。曲の後半はおろそかになりやすいのでそれを防ぐ。またこの時に、流れやつながりの悪いところを見つけ、特に意識的におぼえる。
(3) 参考になる音源があれば徹底的に聴く。自分の録音をしょっちゅう録ると欠点もわかって良い。
(4) ある程度旋律が身体に入ってきたら、唱歌(唱譜)をくり返し、自分の声と耳でうたとしておぼえる。これは空いている時間(道を歩いているときや風呂に入っているときも)を可能な限り使う。だいたいこのような方法ですが、大事なことは目や手だけではなく自分の五感全体を使って曲を身体の中に取り込むという姿勢です。尺八は単旋律ですので、鍵盤楽器や弦楽器よりも憶えやすいのではないかと思います。要は気合いと工夫と努力です。諦めずに頑張ってください。
> 乙のツのメリ(都山式のツの半音)がつまった音になり、
> どうしてもうまく吹けません。
> 何かいい練習方法はないでしょうか。
乙のツのメリはポイントをつかめば、メリ音のなかでは比較的出しやすい音だといえるでしょう。チェックしていただきたいことは、1孔(一番下の指孔)の開き具合が甲のツのメリと同じようになっていませんか。仮に、甲と乙が同じ開き具合になっていて、甲のピッチ(音高)が合っているとすると、乙のピッチは低くなりすぎます。注意していただきたいことは、ツ、チ、リのメリ音を出す場合、甲と乙では開け方を微妙に変える必要がある、ということです。私の場合は、甲音は高く出やすいので、開けしろをやや狭くとるようにし、乙音はかなり大きめに開けて、たっぷりしたメリ音が出るように吹いています。いずれの場合もアゴメリでしっかり音を下げることが重要です。メリの練習方法についてはこのコーナーの前の方に(こちら)載せてありますので参考にして下さい。
良いメリ音を出すためには、(1)しっかりアゴでメルこと、と、(2)出したい(必要な)メリ音の音程を強烈に意識し、歌うように吹くということ、が大事です。
> フラッター奏法はどのように練習すればよいでしょうか。
尺八、フルートおよび他の管楽器の教則本をあたってみましたが、フラッターの具体的な練習方法について明記されているものはありませんでした。そこで、私自身の経験に基づきお答えいたします。
フラッター奏法は日本語では玉音または束音(たばね)と呼ばれます。玉音と束音は違うものだと言われることもありますが、私には明確な区別がつきません。
音の出し方には大きく二つの方法があります。喉を使う方法と舌を使う方法です。喉を使う方法は水なしでうがいをする要領で、口蓋垂(いわゆる「のどちんこ」)をふるわせて空気に振動を与えることによりフルフルといった音を出すやり方です。
練習方法は、まず洗面台の前などで少し水を含み、実際にガラガラとうがいをします。これを徐々に徐々に(これが肝心)水の量を少なくして、最終的には自分の唾液でのどちんこがふるえる状態にして、顔を上を向いた状態から正面に戻します。難関は、完全に外部からの水をなくすときと、顔を上を向いた状態から正面に戻すときです。誰かの上手なフラッターの音をイメージして、少しずつ練習して下さい。体にその(のどちんこの)動きを覚え込ますわけですから、出来るだけ長い時間、例えば歩いているとき、家で新聞を読んでいる時にもガラガラガラとやるとよいでしょう。正面を向いて水なしでガラガラ出来るようになれば楽器を持ちます。出しやすいリ(乙のハ)の指にして、そっと吹き込みます。この時難しいのは、のどの奥が広がったガラガラの出来る状態のまま尺八を吹く口を作ることです。初めから締まった音を出さず、ボーッとした音でフラッターをかけ、徐々に口の形を整えていって下さい。
喉を使った方法はおよそ上記の通りです。舌を使う方法は舌先を規則的にふるわすやり方で、フルートはこちらが一般的なようです。私も昔少しは出来ましたが使わないうちに全く出来なくなってしまいました。
私は現在喉のフラッターだけを使っています。喉、舌どちらかの方法が出来れば困ることはないと思います。両方試みられて感触の良い方を時間をかけて練習して下さい。丁寧に取り組めば必ずできると確信しております。
◆舌の位置
> 吹いているときの舌の位置はどこにあるのが良いでしょうか。
あまり普段舌の位置に注意したことはありませんが、この質問をいただきチェックしてみたところ、私の場合は舌先が下の歯のうらの上に軽く付くような感じでした。教則本等を調べてみましたが舌について明示したものはなく、その人が最も充実した音が出る位置で良いのではないでしょうか。(すごい音を出している人に質問して、その答えをもとに工夫なさって下さい。)
ただ、タンギングをするときには舌先が上歯と下歯の合わせ目を素早く栓をしたり離れたりしますので、あまり奥に引っ込みすぎると対応が悪くなるのではないか、と思います。
> タンギングや、コロコロ、カラカラ等の特殊技巧をする時、
> 音がぼやけるようになり上手くいきません。
> これらのテクニックをあざやかに吹くためのアドバイスをお願いします。
上記の技巧をする際には通常の吹く作業とは別に舌を使ったり指を早く動かす作業が必要になってきます。多くみられるのが、舌や指の動きを注意をするあまり、唇の意識が弱くなってしまうことです。特殊音を出すときには、通常の吹奏時よりも少し唇を閉じぎみにして吹いて下さい。
それでもうまくいかない場合は息流の角度が変わり、鳴るポイント、角度からはずれてしまっていることが考えられます。最初にしっかりした音を少し伸ばしてから特殊音に移ってみるとよいでしょう。
> 楽器を持ち替えて吹くとき、すぐにうまく吹けません。
> どういうところに気をつければ良いでしょうか。
歌口に対する息流の角度と距離がその楽器に合っていないとうまく吹けません。持ち替えたときに、吹き慣れている楽器と同じアゴ当たりにしていませんか。安定したアゴ当たりに合わせるのではなく、歌口と自分の唇との関係を合わせるのです。
私がとっている方法は、別の項にあるように、構える時に唇で歌口をはさんで(くわえて)、そこからアゴ当たりを決め、音の出るポジションに起こして息を入れます。息を入れるときもすぐに強い息を吹き込むのではなく、楽器に鳴るポイントを”問いかける”ようにやさしく、ゆったりと息を入れながら少しずつ強めて、広げてゆきます。
作者(製管師)が同じ楽器の場合は、唇と歌口の関係はだいたい同じ(それでも一本ずつ微妙に違う)ですが、別の人が作ったものはかなり細かな部分で違うことが多いです。
私はいつもその楽器に”どう吹けば最も良い音が出るか”を問いかけるように心掛けています。
> 練習の「ロ吹き」を音量10とすると、本曲などを吹かれて
> いる時の音量の意識はいくつくらいなのですか?
> もちろん曲の表現で10だったり0だったりするでしょうし、
> 録音の状況でもちがうのでしょう。
> ただ目いっぱい吹いているようには感じられないのです。
> 自分で練習しているとどうしても「目いっぱい」になってしまいがちで、
> 逆に押さえると迫力のない演奏になってしまいます。
> 基本の音量をどれくらいと考えればよろしいですか?
例えば本曲を舞台で演奏する場合とCD等に録音のためにスタジオなどで録音する場合では、意識の持ち方で同じ部分と微妙に違う部分があります。同じ部分は、その瞬間に、音、間合い、表現において自分のギリギリの、最善のものを出そう、という意識です。微妙に違う部分は、舞台の場合は聴衆が存在しますので、その一人一人の方すべてに語りかける意識で演奏します。いいかえるとその場や聴衆との対話の意識があります。これが録音になると、マイクの向こう側には録音を聴いてくださる方がいらっしゃるのですが、その方々よりも、自己との対話の意識が強いです。自分自身の内面に問いかけ小宇宙を形成していくような感じ、といっても良いかも知れません。それと、どんなに熱い演奏をしていても、その外側から客観的に、冷静に自己の演奏をチェックしているもう一人の自分が存在します。この感覚も舞台と録音では微妙に違うような気がします。
音量の意識はいくつ?というご質問ですが、私は本曲を吹いている時、音量の意識は持っていないように感じます。その曲を自分の”うた”としてどれだけ歌うことができるか、ということにかなりのエネルギーを費やしています。曲の中では音量の変化、というよりも音のスピード感の変化が物を言うのではないか、と思います。音量に関しては、音量の意識を持たずに吹けるように毎日ひたすら素吹きをしている、といっても過言ではありません。
曲を吹く上ではその曲のイメージを大きくとらえることがまず大事だと私は思います。優れた曲にはそれぞれに固有のバイブレーションがあり、それを感じとろうという強い気持ちを持つことが、横山勝也師の言われる「吹き方は曲が教えてくれる」という境地に達する道なのではないか、と考えます。
まとまりのない文章になってしまいましたが、私の考えは”音量の意識を捨てることができるように日々素吹きを強化し、曲を吹く時は大きなイメージを持って歌うように吹く”ということです。参考にしていただければ幸いです。
> 大きな音と言うよりも力強い音が欲しいです。
> いつも力強さがないと言われます。
> 音の大きさだけの問題ではないと思ってます。
確かに大きい音イコール力強い音ではありませんね。ピアニッシモでも力強い音がありますし、音量が大きくても不安定な、力強さに欠ける音もあります。
力強い音を出すためには、ハラをうまく使うことが必要だと考えます。私は身体の部位を表す“腹”だけではなく、気の集まる丹田や吹く時に利用する腰や太股などを含めた身体の中心部一帯を”ハラ”もしくは”肚”という概念でとらえています。この”ハラ”の意識を高め、うまく活用することが力強い音を産み出す為に大変重要です。尺八を構えて”吹く”という行為を続けていくと、どうしても唇の形や息の向きなど胸から上の部分に捉われてしまいます。しかし、安定した音を出す為にはこれらの息の出口(ノズル部分)よりももっと深いところから息を送り出す意識を持たねばなりません。腹から太く吐き出された空気(息)が胸、首、のどそして口中を通り、たっぷりと楽器に注がれるイメージを持つことです。
そのためのトレーニング方法として、
1. 立った状態で尺八を持たずに脱力する。
2. おなかを意識してゆっくり息を吐く。最初は吐ききると腹がへっこむ状態になる。吐ききったら今度は鼻をメインにゆっくり吸う。この時もおなかに意識を置き、だんだん空気が満たされてきて腹が張るまで吸う。この吐く、吸う動作をくり返して自分の呼吸の中でおなかがしっかり使われていることを実感する。
3. 楽器を持ち、まずは出しやすいリ(乙のハ)の音を吹く(吐く)。唇は通常の吹奏よりもゆるゆるの状態にして、鳴るポイントだけとらえる。おなかから吐き出された息がそのまま音になるように感じられるまでくり返す。決して強く吹かない。リがある程度出るようになったらレ、レが出るようになったらロの指遣いにして吹く(吐く)。
4. 次はまたいったん楽器を離し、逆の腹の使い方を身につける。これは息を吐いた時におなかが張り出てくるように吐く身体の動きで、充実した乙音や長管を吹くには有効な方法である。いっぱいに吸った状態から吐いていくが、吐くほどにおなかを張り出していく。普通の呼吸に逆らう動きなので慣れるまでは違和感があるが、くり返すと少しずつ不自然でなくなってくる。ある程度慣れたらハッ、ハッ、ハッと空気のボールをイメージした息を吐き出し、同時におなかがドン、ドン、ドンと出るように、口とおなかの動きをシンクロさせる。
5. 楽器を持ち、3と同じように音を出す。おなかをへこませて吐き、音を出すやり方と、おなかを張り出して吐き、音を出すやり方がどちらも意のままにできるまでくり返す。
このおなかを張り出して音を出すトレーニングを続けると、私が言う”ハラ”で吹く状態がうまく形成され、おのずと力強い音に変化していくことでしょう。また、腹部を上手にコントロールできるようになると上体の肩、くび、腕などに力が入ってしまうこともかなり防ぐことができます。
特に長管を吹こうとされる方には上記のトレーニングをおすすめします。
> 近々人前で尺八を吹くことになったのですが、今から緊張している次第です。
> 何度やっても緊張は軽くなってはくれません。
> 先生も演奏前はやはり緊張されるのですか?
> もし緊張されるとしたら、なにか緩和する方法をお持ちなのですか?
> 緊張があるから向上するのだとよく聞きますが、先生もそのようにお考えですか?
> 教えていただけると幸いです。お願い致します。
人前で緊張しない為に考えられることを列記しますので参考になさって下さい。
●うまく吹こう、失敗しないで吹こうと考えない。
虚栄の心が強い人ほど緊張しやすいようです。普段の実力を出そうと思って謙虚に吹いて下さい。あと聴いている人々は自分が思うほど、間違いや音のカスレは気にしていません。ですから、少しのミスがあっても決して気にしないで、その先、その先を良いものにしようという心がけを持ち続けて下さい。最初に少しミスをして気を楽にするぐらいの方が結果的に良かったりします。
●本番の状況を徹底的にシミュレーションする。(イメージトレーニング)
公の場所であったり、大勢の方が集まる場所であったりと、練習の時と環境が違うことで緊張するケースも多いです。出来るだけ下調べをして、どういう状況で自分が吹くことになるかを想定し、練習の時からそこで吹いているつもりで練習するとずいぶん落ち着いて吹けます。例えば、スピーチをしてその後で吹くなら、家でもスピーチをして、その後に吹くようにすることです。私も本番の前には、家の中で着物を着て、舞台袖からの距離を歩いて正座してから吹く、というようなイメージトレーニングをやります。あと、憶えられる曲なら暗譜して、目をつぶって吹くことも、自分の世界に入れて緊張が少なくなります。
私が今思い浮かぶのは以上のようなことです。
最も大事なことは事前に自分が出来るだけの準備、練習をして自信を持って本番に臨む、ということです。頑張って下さい。
> 演奏者のプロフィールにNHK邦楽技能者育成会修了とよく見かけますが、
> 育成会とはどのようなものですか。
> また、どの程度の力で入れるのか、入ってからどのような講義があるのか、
> 入るメリット、などを教えて下さい。
まず、育成会の概要からご説明します。NHK邦楽技能者育成会とは邦楽の専門家を目指す人のための教育機関で、毎年3月に入試があり、4月開講、翌年3月の卒業演奏会を経て卒業式となります。昔は無料でしたが現在は月額約2万円くらいの学費が必要です。講義は渋谷のNHK放送センター内で行われます。夏休みを除く毎週火曜日、午前1コマ、午後2コマの中で日本音楽史、楽典、五線譜による合奏、和楽器の様々なジャンルについての解説、など日本音楽に関する広汎な学習ができるようになっています。定員があるのかは知りませんが、合格者は毎年約45人くらいで、圧倒的に箏が多く、他に三弦、尺八、琵琶、しの笛、雅楽器などから構成されます。尺八はここ数年入りにくくなっており、8〜10人が受けて4〜5人が合格するような感じです。一度落ちて翌年再受験で合格する人もいます。また、女性もめずらしくありません。試験は一次、二次試験からなり、簡単なペーパーテスト、演奏、面接、ソルフェージュなどです。ペーパーテストはさほど難しくなく、実技と面接が重要です。「将来どういった音楽家になりたいか、何をしたいか」などが明確に答えられないと断られるようです。あと、ソルフェージュも予め準備しておく必要があります。メリットは、音楽に関する一般知識、専門知識が学べる、大人数での合奏が経験できる、などの他に、同じ志を持った人達と一年間勉強しますので、仲間が出来ることも大きいです。私も卒業して10年くらいになりますが、在籍時の友人とは今もよく一緒に演奏したり情報を交換したりします。また、45年以上の歴史があるのでOB、OGも多く、世代が違っても”同じ釜の飯”的な精神的なつながりがあるのも無形の財産といえましょう。これから先も尺八を吹いていこうという意思があり、諸条件が許されるなら、行かれることをおすすめします。受講生のレベルをお知りになりたいなら、毎年1月頃にニューイヤーコンサートが開催されていると思いますので行かれてはいかがでしょうか。さらに詳しくはOB、OGに尋ねるか、火曜日に渋谷のNHKに担当者がおられますので連絡をとってみてはいかがでしょうか。
> 育成会のソルフェージュとはどのような試験ですか?
> ピアノで音を聞いてどの音か答えるようなものなのでしょうか?
育成会のソルフェージュの試験は、出された音を聴いてそれを答えるようなもの(聴音)ではなく、4分の4拍子で8小節程度の五線譜を見て歌うオーソドックスなものです。洋楽を勉強する人には小中学生レベルの平易なものですが、我々邦楽をやる者には経験がないので準備しておく必要があります。最近受けた(合格した)人に問題を教えてもらって新曲視唱の方法、法則を理解したら、あとは徹底的に声に出して慣れることです。来年受験することを決めているのなら早めにソルフェージュのレッスンを受けておくとよいでしょう。音大のピアノ科、作曲科、声楽科を出た方ならだいたいOKでしょう。やはりここでも情報力がものを言います。頑張って下さい。
> 尺八の奏法で、メリ、カリ、ムラ息、ユリ、というものがあるそうですが、
> どのように聴こえるものか、ご教示願えますでしょうか。
> そしてこの奏法が聴ける曲を、教えてください。
ご質問についてお答えします。
まず、メリ、カリは尺八を吹くときの首の一連の動作におけるポジションの変化とそのポジションから出てくる音の変化をいいます。メリとは「沈り」と書くことからわかるように首を下げて(うつむくような姿勢をして)音程を下げる奏法です。
また、カリは「浮り」と書くように、メリとは反対に首を前方またはななめ前方に張り出して音程を上げる奏法です。尺八の曲(特に古典)をお聴きいただくとわかりやすいですが、ピアノやフルートのようなはっきりした音程の変化ではなく、微妙な中間の音程が使われていることがあります。こういう場合、一つの音を出したまま首を上下に動かして(メリ、カリの動作を使って)、音程の変化をつけます。この奏法および指使いをメリ、カリといいます。
次に、ムラ息ですが、これは尺八独特の奏法で、尺八らしさを構成している重要な音の一つです。名前からも推測できるように、尺八の息を吹き込む部分にわざと乱気流の息をあてて、いろんな成分が含まれた音を出します。ノイジーですが大変に迫力があり、これぞ尺八、という音です。
ユリはいわゆるビブラートのことです。尺八のユリはフルートなどと違い、主に首を規則的に上下もしくはななめに動かして行います。この規則的に動かすことが時間がかかることを例に取り、尺八の難しさを俗に”首ふり三年”といったりもします。フルートや他の管楽器のように横隔膜を使ったビブラートはあまり一般的ではありません。
これらの奏法が使われている曲は古典曲に多く、代表的なものは琴古流本曲の「鹿の遠音」です。この曲は尺八曲の中でも最も有名な曲の一つであり、多くの方の録音がありますので、入手しやすいです。
ある程度これらの奏法がおわかりになれば、様々な曲の中で、また同じ曲でも違う演奏者で、これらの奏法がどのように使われているかを聴き比べられるのもおもしろいです。
> 音に息音がまじり、やせた音しか出ません。
> どうすれば太い音になるでしょうか。
尺八をうまく吹くための最初のポイントは、いかに管をうまくふさぐか、ということです。
リコーダーと尺八を比較してみるとわかりやすいですが、尺八はリコーダーの正面上部の窓から上を切り取った形をしています。リコーダーは吹口から楽器内に入った息が、うまく音が鳴るように、二分されます。また尺八の歌口にあたる部分(息が二分されるところ)は平らにしっかりとフタをされています。尺八はこのフタにあたる部分にちょうどアゴ上のくぼんでいるところがくるため、うまく塞げる人とそうでない人の個人差が生じやすく、また歌口への息流の角度や量を定め、安定させる作業すべてを自分の身体を使って行わなければならないので難しいのだと言えるでしょう。
うまく塞ぐための練習方法は、
(1) まず、楽器を構える際に自分の唇がちゃんと歌口をとらえているかを疑ってみる。
尺八には平目や丸目など、様々な形状のものがあるので、いつもアゴ当たりの感覚で歌口をとらえていては、最適の距離なのかどうかは疑問です。私は、上下の唇で軽く歌口をはさんでから少し顔を起こしたところを良いポイントとしています。これは、自分一人ではわかりにくいので、うまく吹いている人にチェックしてもらうか、名人級の人の吹いている姿を穴があくほど観察し、自分の吹き方と比べてみて下さい。私が講習会などで見る範囲では大体の人が遠いポイントで吹いています。
(2) 歌口との距離が決まったら、しっかりと下唇で楽器にフタをしていることを確認し、リ(ハ)などの出しやすい音を正面に吹くようなイメージで吹く。うまく塞げるとノイズの少ないクリアな音が出ます。相当塞いだつもりでも歌口の切り口があるので息がつっかえることは少ないです。
(3) (2)で下唇の使い方(フタをする)がうまく出来ると次は上唇です。上唇は(2)の状態を保ったまま下唇の上にひさしを出す感じで少し出し、歌口の正面部(流派によって形のちがうところ)に向かって息流を吹きつけるようにします。
(4) (2)(3)でそれぞれの動きが確認できたら、これを同時に行います。つまり、下唇で管をしっかり塞ぎ、下唇からの息流は前へ、そして、上唇に近い方の息流はエッジ(正面部)に向かって吹きつけます。この練習も、他の項と同じように、出しやすいリ(ハ)音からゆっくりと時間をかけ、チ、レ、ツ、ロと順に下りてくるとよいでしょう。太い音が出だすと、だんだんと身体が憶えてくるものです。乙音が完全に安定してから甲音に取り組んで下さい。
特に音の改造を行なう間は、あれこれと曲に手を出さず、ひたすら素吹きに取り組まれることをおすすめします。人を唸らせる充実した音はそれだけで音楽なのですから。
> いろいろな人の演奏を聴いていると、メリがとても大事なことはわか
> るのですが、具体的なメリ音の出し方がわかりません。メリ音のよい
> 練習方法があれば教えて下さい。
私はメリ音(都山流のメリではなく半音を指す)こそが尺八の妙味だと思います。
例えばツのメリ(ツの半音)、リのメリ(ハの半音)などを分解すると、(1)アゴを引くこと、と(2)必要なだけ指孔を開ける、ことの両方からなっています。これをいきなり同時に行うことは大変難しいことですので、重要な(1)アゴを引くこと、だけを練習します。つまり、音程が下がる息流を作ります。
リ(ハ)の音(出しやすい音)を出しながら、3、4孔を解放させたまま、ゆっくりとメリ込み、音を下げてゆきます。ゆっくりやることが肝要です。唇の息の出口が歌口に近づくと音程が下がります。豊かなメリ音を目指すためにはできるだけ息の強さを弱めないで行います。音がうまく下がるルートが見つかれば、しっかりした息のまま一音(リならリのメリ、ハならハの半音)まで下げることは充分に可能です。長管を使う場合や、真下にメルのに限界がある場合は、どちらか斜め方向(アゴが右肩に向かう、もしくは左肩に向かう)にメルと更に効果があるでしょう。
リ(ハ)で一音下がれば、順に、チ、レ、ツ、ロと指を変えてゆきます。少しずつていねいに進めば、ロの大メリまでたどりつきます。
一音下がる息流が獲得できれば、ツのメリ(都山の半音)、リのメリ(同様)などの半音のメリでは、息流だけで音程がかなり下がりますので、1孔、4孔などを補助的に音程を調整することに使え、豊かなメリ音を出すことができます。
この練習はとにかく少しずつ、ていねいに行うことが大事です。
> 最近教えていただく先生によって表現方法がちがうのに少し混乱
> しております。
> というのも、唇の硬さや腹式呼吸のことなのですが、「粘膜で吹け」
> 「唇の回りに意識をもっていけ」「下腹に力をいれて」「からだは力を
> ぬいて」などいろいろ…
> たまに相反するような内容もがあり、どうしていいものか悩んでしま
> います。
> どれも正論なのでしょうが、今自分がなにをすべきか判らなくなる時
> があります。
> 石川先生のようなマイルドでかつ迫力のある音色は、どのような意識
> からうまれるのか教えていただければと思いメール致しました。
> どうもわたしは緊張すると唇の端を引っ張ってしまう癖があるのですが、
> どのような意識を持てばよいでしょうか?
>
> 練習法もロ吹きが基本なのはわかっているのですがやればやるほど
> 納得がいかずに深みにはまって行き、気がつくと練習時間のほとんど
> を費やしてしまいます。
> 少しでも合理的な練習法ができればと思うのですがご指導いただけ
> れば幸いです。
> よろしくお願い致します。
尺八は吹く人の意識や身体の使いかた、また楽器によって、音の出し方が異なる(巾がある)ため難しく、かつハマってしまう面白さがあるのではないでしょうか。それ故に表現方法や指導方法にも多様性があり、時として混乱を生じさせる場合があるのだと思います。
例としてあげられた、「粘膜で吹け」「唇のまわりに意識をもっていけ」「下腹に力を入れて」「からだは力をぬいて」などは、いずれもうまく吹くためには欠かせないポイントです。まず、音を出すときのイメージの作り方は、首から上の部分で息を出して吹こうとするのではなく、身体の中心部(ヘソの奥)から太い息のかたまりを押し出してくるような感じです。この時は出しやすいリ(ハ)の指がいいでしょう。そして、歌口に当たる息がノイズを含めできるだけ反応する楽器のあて方、息流の方向、角度、速さを見つけて下さい。強く速く吹きすぎるのはいけません。この時、唇は軽く閉じられた状態で、体の中から押し出された息によって自然と開き、上唇と下唇は方向や角度を見つけるためのガイドとでもいうような動きをします。あらかじめ引っ張ったりして唇の形を作って鳴らそうとするとうまくいかないことが多いです。あくまで息流を操作する可変的ノズルの役割ですので、唇に力が入りすぎないよう意識して下さい。(というよりも意識しすぎない方がよい)リ(ハ)の指で太い音が出だしたらリ(ハ)からチ、チからレ、レからツ、ツからロと順に塞いでいって下さい。それぞれの音(運指)によって最も良いポイントが微妙に違いますので、丁寧に、ポイントをとらえながらロまでくだりましょう。本格的なロ吹きに入るのはここからで良いと思います。ロの音を練ることは最も大事なことですが、準備もなしにいきなり難しい乙のロを吹き始めることは時としてリスクを伴います。一度上記のような練習方法をとってみて下さい。
> デカイ音を出す練習方法があれば教えてください
> 学生時代に就いていた先生は音の大きさよりも、
> きっちりした音程を覚えることを重視されていらしたので
> これまで通りの練習で音量が増すとは思えません。
> 魔法のように飛躍的にとか言いません、ヒントで結構です。
いかに大きい音をだすか、というのは最近も邦楽ジャーナル で誰かがいっていたように、尺八吹きの至上命題かもしれません。私 も日夜そのことで奮闘しております。音を大きくするためのポイント としてはまず、自分の息流が楽器(鳴るポイント)の中心をとらえて いるか、をチェックすることが大事です。一番良いところをはずした まま吹いている人が案外多いものです。講習でやっているように乙の ハからていねいに楽器の、そして音の中心をとらえ広げていくことで す。そのためにもあまり曲を吹かないで素吹きの時間を多くとりたい ものです。あとは楽器そのものの問題もありますが、これはまたお会 いしたときに見せていただいてお話したいと思います。
> 奏法以前の構え方について質問させてください。
> 先日、人から「君は吹く時にうつむいている、
> あごを上げて吹かないと大きな音にならな
> い」と指摘されました。
> つまり、私はメリ吹きであるらしいのです。
> 確かに目線がやや下向きで、正面を向いていません、
> そのほうが音をコントロールしやすく感じるからです。
> 逆にあごを上げた状態、つまりカリでは音量を一定に保つことも
> 難しく感じます。
> カリ吹きに馴れるために注意することなどがありましたら教えてください。
メリ吹き、とのことですが、メリ吹き自体が悪いのではなく、その結果”全体に音程がすごく低い”、”音に張りがなくこもる”ような現象になることが良くないと思います。仮にあなたがメリ吹きだとしても、他を圧倒する音で、かつ通常の合奏が十分可能なピッチで吹けていたなら、指摘をされることはまずないと思われます。あまりメリ吹きを気にしすぎて、心地よく吹くことが出来なくなると、かえってストレスがたまるので、急激に吹き方を変える必要はありませんが、張りのある音を出すために、またメリ音(半音)を充実して出すためには少しずつ身体を起こす練習、背骨を上にのばす練習をされるとよいでしょう。
ポイントとしては、
1.椅子に深く座らず、前半分に浅く腰掛ける。
2.頭が上から吊されているような感じをもつ。
3.今、吹きやすい自分の唇と歌口の距離を変えずに(重要)、首の根っこが前へ押し出されるような感じで吹く。
4.曲は吹かずに、出しやすい乙の全音をたくさん吹き、音がより前へ出るようになったら、少しずつ難しい音に移る。
一度決まった吹き方を変えることはとても大変ですが、よりよい音、演奏を目指し、少しずつ取り組んで下さい。
> 穴を押さえていない指
> の位置に悩んでいます。
> 特に右手(下管)の親指と人さし指です。
> 目安があるのでしょうか。
まず、右手の親指ですが、だいたい中指の真裏か少し上ぐらいにして、右手の親指と中指だけで楽器をまっすぐに持てる状態が良いと思います。人差し指に関しては孔からまっすぐ上にあげて音程が変わらないギリギリのところあたりが運指的にも良いと思います。これは一孔から四孔まで共通です。
> 音の頭にどうしてもアタリをつけてします。
> これは学生時代に初めて尺八を手にした時以来のものだと思います、
> 先輩からはそうするものだと習いました。
> 確かに効果がある場合もありますが違う音が入ったり、
> 弊害になっている様にも思います。
> 頭からしっかり音を出すための練習方法があれば教えていただきたく思います。
私よりも若い人が尺八をやる気になってもらえると本当に頼もしく思
います。
さて、お尋ねの「当たりをつけずに尺八を吹く方法」ですが、これはやはりその人の意識によるところが大きいと思います。ですからまず第一に「当たりをつけないで吹こう」と強く思うことが大事です。次に出来るだけやさしい曲(唱歌や童謡など)をたくさん吹いて自分と楽器のクセをとことんチェックすることです。それだけでかなりの改善が見込まれると思います。
> 先日の講習会に参加した者です。
> 早速ですがコミ吹きについてお聞きします。
> 講習会では息とアゴを同時に使うようにしてらっしゃいましたが、
> これがどうも上手くいきません、
> これまで私がビデオや演奏会で見た限りでは
> アゴはあまり使わず息遣いだけを用いる方が大半で
> 私も同じ様に息遣いでの練習をしてきました。
> ですからアゴも使うとかえって効果が少なくなってしまいます。
コミ吹きにも伝承によって微妙な違いがあり、どの吹き方が正しいともいえないのが実際のところです。かくいう私も「下り葉」のように速いコミ吹きの曲では演奏会で見ている人にとっては息だけで切っているように見えているかも知れません。ただ、私が伝授を受けた海童道祖から横山勝也の流れは他流と比べて激しい吹き方をするようですし、曲も津軽の厳しい風土を思い浮かべるとより痛切な吹き方にならざるを得ないため、息とアゴを使った(というよりも全身を使った)やり方になります。講習会でお伝えしているように、本曲は本人に任される部分が大きいので、私が強調している「連続したビート感」が失われなければお好きな(あなたのイメージに合った)吹き方で結構です。
> コロコロに中間音というか雑音のようなものがまじります。
> このような音質で良いのでしょうか。
> それとももっとクリアな音が出るべきなのでしょうか。
コロコロはあまりクリアな音でない方が効果があると思います。しかし、雑音が多くなりすぎたり、音がつまったりする場合は裏孔(五孔)がうまく抜けていないことがあります。裏孔は思い切って完全に楽器から離してみて下さい。アゴあたりはややメル位です。音のサンプルは横山勝也先生や青木鈴慕先生(巣鶴鈴慕など)が参考になると思います。
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