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たいへん永らくお待たせいたしました。
私自身、より良い吹き方を日々模索していることもあり、なかなか掲載するに至りませんでした。
講習会や門下生から出てきた質問とその回答がたまってきましたので、少しずつ公開することにします。
なお、これはあくまで私の経験による主観的なものですので、疑問のある方は参考程度にとどめておいてください。
また、このコーナーの充実を図るため、吹奏や演奏に関する様々なご質問をお待ちしております。(石川 までどうぞ。)
なお、最近の奏法解説の中で、私がお薦めできるものとして、国際尺八研修館のHP内の「今月のワンポイントレッスン」(現在は終了しています。)と、善養寺恵介氏のCD付き教則本「はじめての尺八」(音楽の友社)をあげておきます。こちらも丁寧でとても参考になります。
2000年10月に出版された菅原久仁義氏の「鳴るほど・ザ・尺八 尺八入門」はとても良くできた教則本です。これまでの教則本にはなかなか載っていない吹奏に関する原理的なことが大変わかりやすく書かれてあります。また、練習曲が54曲収められており、菅原氏の尺八とギターの伴奏で録音されたCDが付いているので、上達に合わせて効果的な練習ができるようになっています。これ以外にも、なかなか気が付かないポイントやアドバイスが随所にあり、初心者のみならず、中級・上級者にもおすすめします。琴古系。都山系の2種類があり、CD付きで4000円です。興味のある方は菅原さんのHP”しゃくはち風庵”をご覧下さい。
(2000年7月1日記)
《目次》
◆息継ぎ(2009-2-28)New!
Q.古典本曲を練習していますが、息継ぎは楽譜に記されている箇所までしてはいけないのでしょうか。その箇所まで持たそうとするととても弱い音になるか、終わり近くでやむなく息を継ぐことになってしまい上手くいきません。
A.息継ぎに関しては伝承や派、あるいは吹き手によって考えの分かれるところですので一概には言えませんが、私の思うところを書かせていただきます。
私が稽古に用いている国際尺八研修館の楽譜にも、息継ぎの箇所は書き込まれています。では、“息継ぎはこの場所でしなければならない、また、他のところでしてはいけない”かというと、そうではないと考えます。
楽譜の一行の始まりがAという地点、終わりがBという地点と仮定します。この場合、AからBまで行く間には、息継ぎをしてもおかしくない(=不自然でない)箇所がいくつかあると考えられます(とても短い一吹きを除く)。車でA地点からB地点まで進む間にガソリンスタンドがいくつかあると想定すればいいでしょうか。
燃料が切れる時にはガソリンスタンドで補給します。進行(吹奏)のなかで適正なガソリンスタンド(息継ぎ箇所)が見つかれば、そこで補給(息継ぎ)することはまったく問題ではありません。具合が悪いのはガソリンスタンドでない地点で停まってしまうことです。ガス欠になってしまうまでに最適なスタンドを見つけて補給する必要があります。
この“最適なスタンド=最適な息継ぎ箇所”を見つける作業はご自身で行なわねばなりません。先達の録音があればそれを聴いて参考にして、ご自身で何箇所か候補地点を作って試してみる、という方法で臨まれれば、曲への理解や愛着も深まり、吹くことがより一層楽しくなることと思います。
A.(補足)息継ぎ箇所を多くとる際に気をつけなければならない点は、“息継ぎをしたことにより、その旋律のバランスが悪くなってしまう”ことです。
『手向』の最初の一行を例に取り上げます。
“^ローーッーレー^ローー”
しみじみとして美しい一節ですが、気を静め、一息でゆったりと吹くことは容易ではありません。そこで、二つ目の「ロ」の前で息継ぎをするとします。
“^ローーッーレー〈息継ぎ〉^ローー”
となります。ここで気をつけたいことは、「息継ぎをした後のロを長くしすぎない」ということです。〈息継ぎ〉をすることにより呼吸が新しくなりますので、
“^ローーッーレー〈息継ぎ〉^ローーーーー”
と吹くことも可能です。しかし、息が続くからといって二つ目の「ロ」を続くだけ伸ばしてしまうと、旋律自体が間延びますし、また、次の旋律に入るタイミングを失してしまうことに繋がりかねません。
一吹きを分割する場合には、息継ぎをしたとしても、元の“一息でこう吹きたい”という長さに収めることが肝要です。
◆唾液の分泌(2009-2-28)New!
Q.私はどうも唾液の分泌が人より多いみたいで、2,3分吹いたら飲み込まなければならず大変つらいです。何とかなりませんでしょうか?
A.誠に申し訳ないのですが、私はこの問いに対し有効な解決方法をもっておりません。私も長い本曲や古曲を吹く場合には、唾液が口腔内に溜まり苦労することがしばしばあります。
その際には大きな節目、本曲ならば「高音」から「鉢返し」などへ場面が変わるところ、また古曲ならば「前歌」から「手事」に移るところ、などのたっぷり間を開ける箇所まで何とかこらえ、そこで唾液を呑み込むようにしています。
息を吸う際に鼻からの比率を多くすれば、多少は改善できるのかもしれませんが、私自身慢性的な鼻づまりで、呼吸は口がメインになっておりますので想像にすぎません。
Q&Aコーナーをご覧の皆様で良い解決策をご存知の方はお知らせくださいますようお願いいたします。
◆持ち替え時のポイント(2008-8-16)
Q.先日の『石川ブロス』を拝聴しました。その中で石川さんが6本もの尺八を持ち替えて吹いていたことが印象に残っています。まさに自由自在という感じでした。どうすれば持ち替えてすぐポイントを捉えて吹くことができるのでしょうか。
A.ライブにお越しいただき誠にありがとうございました。また、過分な高評をいただき重ねて御礼申し上げます。文中にある「自由自在」とはほど遠いですが、何とか聴いてくださる方に持ち替えが気にならないよう注意を払って吹いております。
さて、私が尺八を持ち替えて吹く時のポイントは、前にもこの項で書かせていただいたように、“尺八の歌口と自分の唇の関係を常に同じ状態にする”ということですが、最近は特に“自分の下唇に当たって出る息流が、尺八の歌口の裏側中心部を捉えているか”に意識を置いています。
“歌口の裏側中心部”とは、歌口表面の水牛や象牙が嵌めこんである箇所の管の内側の中心です。尺八を構えた時、このポイントにうまく息流を当てることをまず心がけています。もちろん同じポイントに息流を当てたとしても、尺八は舌面の角度や径の大きさが一本一本違いますので、そこは練習時に慣れることによって各楽器のクセをつかみます。
こちらも繰り返しになりますが、“アゴ当たりを合わすのではない”ことにご注意ください。
Q.一つ一つの音は周りの人からもうらやましがられるくらい大きな音になってきたのですが、曲を吹くとなかなかその音が出せません。一体どこに原因があるのでしょうか。
A.音と演奏をお聴きした訳ではないのではっきりしたことは言いかねますが、次のような原因が考えられます。
1、曲の中にはメリがあるため、メリの後の「カリ戻し」がうまくいかず、アゴ当たりや唇の状態が悪くなってしまった(特によく見られるのは唇の圧力が不足するケースです)。
2、一息である程度のフレーズを吹こうとするので最初から弱い吹き方になってしまっている。
3、楽譜を見ることにより姿勢が悪くなってしまい、冴えた音が出にくい状態に変わってしまった。
いずれのケースもよく見られます。
まずは良い音が出る姿勢を保ち、冴えた音で簡単なメロディを吹くことから始めてみてください。
自分の音、演奏をしっかり聴くことが大事です。上記1〜3のポイントは私も日々気をつけております。
◆音出しの練習方法その1(2007-6-7)
Q. A管の経験がないので、ウオーミングアップが欠かせません。先日のレッスンで吹いた音階練習をお願いします。
A.これは私が日々レッスンで行なっている音だしの練習方法です。
A管に限らずどの長さの管でも効果があります。
@全開(しっかりと鳴るポイントを捉える。息流の方向、角度、内外のバランスを微調整してより纏まった音を出す)。
Aリ(都山乙ハ)→リ(ハ)〜チ→チ〜レ→レ〜ツ→ツ〜ロ(急がず丁寧に。大きく吸った息を吐き切る)。
B乙ロの素吹き(しっかり時間をかける)。
Cロ〜ツ〜レ→ツ〜レ〜チ→レ〜チ〜リ(ハ)→チ〜リ(ハ)〜ロ(音がうまくつながるよう唇をコントロールする)。
D甲ロの素吹き(あまりやりませんが曲を吹く上では甲ロはとても重要な音です。これもしっかり時間をかけたいです)。
Eロ〜リ(ハ)〜ロ→リ(ハ)〜ロ〜(ハ)(この2音をスムーズに出す練習は大事です)。
Fリ(ハ)〜ロ〜ツ→ロ〜ツ〜レ→ツ〜レ〜チ→レ〜チ〜ヒ(甲ハ)→チ〜ヒ(ハ)〜イ(裏ヒ)→ヒ(ハ)〜ハの五(ピ)→ハの五(ピ)の素吹き。
Gハの五(ピ)〜ヒ(ハ)〜チ→ヒ(ハ)〜チ〜レ→チ〜レ〜ツ→レ〜ツ〜ロ→ツ〜ロ〜リ(ハ)→ロ〜リ(ハ)〜チ→リ(ハ)〜チ〜レ→チ〜レ〜ツ→レ〜ツ〜ロ。
H乙ロ〜甲ロ〜ハの五(ピ)→逆(唇の速やかなコントロールで音を切り替える練習とオクターブの音程確認)。
I乙ロ〜ツ〜レ〜チ〜リ(ハ)〜ロ→逆(すべての音をきちんと鳴らす。最初はゆっくり。だんだん早くする)。
J甲でも同様。
こんなところです。だいたい指なりか同音(乙ロと甲ロなど)の間の行き来をして、確実に鳴らせるポイントをつかむことが主眼です。
◆管の表記方法について(2007-6-7)New!
Q. 奏法Q&Aではないのですが、尺八の呼び方でA管・D管、6本・3本、一尺八寸・二尺四寸など場面によって呼び方が違いますね。
自分の体験からこれらには完全に整合性がなさそうだなということはなんとなく思っているのですが吹料のメニューの中に二尺五寸五分管はどれにあたるのだろう?と不思議になっています。
音高で無理やり当てはめるとGから4分の1音低い??となるのでしょうか。
多少でも解説をいただけるとありがたいです。
A.さて、おたずねの件につき私なりにお答えいたします。
まず、DやAというのは音の高さを表します。
Dはハ長調のドレミのレ、Aは同じくラです。
ドレミファソラシドはハ長調やニ短調など、調によってによって移動して使うこともあります〔移動ド〕が、DやA、Eなどはその音の絶対的な高さを示します。
一尺八寸管は筒音(ロ)がDであることからD管とも呼びます(村岡実先生は乙ハの音程の音を基準にして、一尺八寸管をC管と記されていた記憶があります)。
筒音がAのA管については下記に説明いたします。
6本や3本など、本数で高さを表すのは民謡や詩吟など、人の声が用いられるジャンルで一般的に使われます。
6本がDで壱越、尺八では一尺八寸管が対応します(雅楽などは本数と音の関係が違います)。
1本で半音ずつ変わり、本数が少なくなるほど音が低くなります。
5本はD♭で一尺九寸管が、4本はCで二尺管がそれぞれ対応します。
ですので3本は二尺一寸管の高さになります。
尺八は一寸変わるとおよそ半音変わりますが、これは一尺八寸や一尺六寸のあたりの話で、だんだん長くなるほどに、また逆に短くなるほどに乖離が生じてくるようです。例えば二尺二寸から二尺三寸に一寸伸ばしたのでは半音分音程が下がらなくなります。
都山系の「一寸で半音」変わるという理屈で一尺八寸から下がっていくと、
一尺八寸=D=6本
一尺九寸=D♭=5本
二尺=C=4本
二尺一寸=B=3本
二尺二寸=B♭=2本
二尺三寸=A=1本
二尺四寸=G♯=水1本
二尺五寸=G=水2本
となりますが、我々は二尺二寸のところから実寸に近い長さの表記を用いています。
二尺二寸を二尺三寸と呼び、そこから下は次のとおりです。
二尺三寸=B♭
二尺四寸=A
二尺五寸五分=G♯
二尺七寸=G
となります。
さらに長い尺八は合奏用には殆ど使われないため、実寸の長さで二尺九寸とか三尺一寸などと呼ぶことが多いようです。
ですので筒音がA(ラ)の尺八を都山系や民謡系の方々は“二尺三寸”と呼び、古典本曲系では“二尺四寸”と呼ぶことが多いです。
「一寸=半音」で統一したほうがすっきりしますが、誰かのこだわりからかこうなってしまったのでしょう。
このあたりはよくわかりません。
あと、どの長さにおいても実寸で作った尺八があり、こちらは「正寸管」と表記されます。
長さだけ合わせてもピッチはばらばらになるため、現在は民謡以外ではほとんど使われていないと思われます。
◆楽譜に記号が無い(2007-6-7)New!
Q.学生時代に経験した洋楽の楽譜には強弱は表情などの記号がたくさんついていましたが、尺八の楽譜にはそのような記号がありません。
これはそのような表現が必要ないということでしょうか。
A.ご指摘のとおり現在公刊されている尺八譜(おもに縦譜)には強弱や表情記号、発想記号などがまったく記されていないものが多数あります。
速度の指定すら無いものも少なくありません。
これには、@作曲者が書いた元譜には書かれていたが尺八譜に移す段階で省かれた、ものと、A最初からそのような記号は書かれていなかった、ものの2種類が存在すると考えられます。
@の例で卑近なものは、山本邦山師の「竹」という曲です。ゼンオンから公刊されている「山本邦山尺八作品集」の中の五線譜には強弱記号や速度変化の指示が細かく書かれてありますが、尺八公刊譜では大部分が省略されています。このように元譜が存在する場合はまずそれを入手して研究するとよいでしょう。
Aについては、最近の大手の邦楽系楽譜出版社から出版されている尺八譜の大半はこの類で、演奏家が作曲した曲ではもはやフツーです。音だけが羅列してあります。これは“吹く人のイマジネーションに委ねる”などといえば格好いいですが、殆どは“手抜き”だと思います。
(話は脱線しますが、私が自分から進んで“元々演奏する人が作った曲”をやらないのは、このような手抜きのものに時間をかけたくないからです。)
しかし、記号が書かれていないからといって何の表情もつけずに楽譜を音にするだけでは、“ただ吹いているだけ”になってしまいますので、表現については自分で工夫する必要があります。「この曲の一番盛り上がるところはどこか」「ここは滑らかに吹くところか、あるいは音を一つずつはっきり出す方がよいか」などとすべての箇所で最良と思われる吹き方、表現の仕方を探して見てください。同じフレーズが二度、三度と繰り返される箇所は、A.最初を大きく(f)次を小さく(p)、B.逆に最初を小さく次を大きく、C.だんだん大きく、あるいはだんだん小さく、など色々な吹き方を試して見られると場合によっては驚くほどの違いが出てくることでしょう。
楽譜と共に発行されているCDなどの音源があればそれを参考にされるとよいでしょう。
福田輝久さんなど優れた演奏家の録音を注意深く聴くと、さまざまな箇所で楽譜に記載されていない工夫がなされていることがわかります。
どのような曲でもご自身で工夫して吹くということを習慣になさってください。
◆大メリの練習方法(2006-9-25)
Q. 海童道系の本曲に魅かれ練習をしています。自分では大メリも出せているつもりなのですが、先生からは“高い”と指摘されます。
A. メリにも大メリにも共通することですが、「自分の中にその音(音程)がないこと」が音程が決まらない一番の原因です。自分の中の音程感覚をとにかく鍛えることが肝要です。その方法としては、@その旋律を声に出して歌う(唱歌)、A演奏を録音し、厳しくチェックする、B時にはチューナーを使い音程のブレをチェックする、などが考えられます。これは横山勝也師が常々言われていることですが、「出した“つもり”ではダメ」で「“これ位”ではなく“これっ”という音程」を出そうという気構えが大事です。
音程は意識すればする分だけ確実に良くなります。私の周りでも音程が良いと評価されている人ほど上記のようなチェックを欠かしませんし、『私は音程あきまへんねん』という人ほど何もしていないことが多いようです。
Q. 大メリの練習方法があれば教えてください。
A. 私がレッスン時に行なっている方法は次のとおりです。
『二段メリ』篇
@まず、〔ロ〕―〔ツのメリ(都:ツ半)〕―〔ロ〕― を吹く。
A次に、〔ロ〕―〔ツのメリ(都:ツ半)〕―〔ツの大メリ(都:ツ半のメリ)〕― と2回目の〔ロ〕を〔ツの大メリ〕に置き換え、@と同じ音程に聴こえるように音程を作る。
B〔ツのメリ〕と〔ツの大メリ〕を滑らかに行き来する(アゴまわしの練習)。
これを乙、甲の両方で行います。気をつけることは乙と甲で同じだけ空けしろをとると甲が高くなってしまうことです。甲は高くなりやすいですからしっかり耳で音程を捉えて開けすぎないようにしなければなりません。また、〔甲のツの大メリ〕が下がりにくい場合は、メルと同時に1孔の空けしろも小さくしてやると(ほんの僅か、しかできませんが)音程を下げる効果につながります。
同様にこれは乙〔レ〕でも行います。
@〔レ〕―〔ウ〕―〔レ〕―。
A〔レ〕―〔ウ〕―〔ウのメリ〕―。
B〔ウ〕と〔ウのメリ〕の回し。
『ロの大メリ』篇
〔甲ロの大メリ〕
@甲〔ロ〕―〔リ(都:乙ハ)〕―〔ロ〕―。
A甲〔ロ〕―〔ロの大メリ〕―〔ロ〕―。
@とAが同じ音程になるまで〔ロの大メリ〕をひたすら下げる工夫をします。
朗々と鳴っているところではまず高いと思って差し支えないでしょう。
〔乙ロの大メリ〕
その一. 〔甲ロの大メリ〕のAと1オクターブ下の音程関係になるように音程を作る。
その二. 〔リ(都:乙ハ)〕を“ドレミファソラシド”の“ド”と捉え、〔リ(乙ハ)〕―〔リの中メリ(ハのメリ)〕―〔チ〕―〔レ〕―〔ツ〕―〔ツの中メリ(ツのメリ)〕―〔ロ〕―〔ロの大メリ〕― が“ドシラソファミレド”に聴こえるように音程を作る。
上記の練習方法はあくまで一例ですが、自分で「これだっ」と確信を持てるようになるまで自身の音と向き合うことが大事だと考えます。何度も繰り返して充実した大メリを獲得してくださることを期待しております。
◆音のスピード感(2006-7-10)
Q. 本曲講習会で習った曲を練習しているのですが、例えば『三谷』と『山谷』を私が吹くと同じような演奏になります。ところが、CDで先生や横山先生の演奏を聴くと全く違う曲に聞こえます。これはどこがどう違うのでしょうか。尺八の長さが変わると聞こえ方も違うのかと考えましたが、「一管懸命」ではどちらも一尺八寸で吹かれています。私にもわかるような演奏上のポイントがあれば教えてください。
A. 熱心に古典本曲に取り組んでいただいているご様子で嬉しく存じます。
さて、ご質問の“違い”は、私自身は「曲のイメージ」の違いが最も大きいと考えます。ご質問中にある、中京地方に伝わる『三谷』はスッキリとして小気味いいイメージ、山形県に伝わる『山谷』は悠久として壮大なイメージを持って吹いています。
そして、この「イメージ」と密接な関係があるのが「音のスピード感」だと私は捉えています。それぞれの曲に、その曲の基調となるスピードがあり、それが曲ごとのカラーを醸し出す大きな要素となっていると考えます。
車を運転する時のスピードに例えると、『三谷』の伸ばす音は時速12Kmなのに対し、『山谷』のゆったりと伸ばす音は8Km、という感じです。その基になっている音のスピード感が、曲中では場面により、水が川を流れるが如く、早い瀬のところでは速くなりますし、川幅が広目のところなどでは緩やかに、という風に変化します。私には、この「音のスピード感」の変化が旋律により彩りを与え、特徴を形作っているように思えます。
「曲のイメージ」をつかむ意識と共に、この「音のスピード感」にも意識を置き、もう一度横山勝也師や海童道祖師の演奏をお聴きになられることをおすすめいたします。
◆指のふさぎ方(2006-7-10)
Q. 一尺八寸管のリのメリ音、レのメリ音など、指孔を半分程度ふさぐ種類の指使いについてです。(BやFisのことを言っているつもりです)
Bの方はだいぶ慣れてきたのですが、Fisの方がまだかなり押さえづらい状態です。
で、お聞きしたいのは、孔をふさぐ場合、孔の上半分をふさぐのでなくてはいけないのかどうかということです。Fisのとき、人さし指で上半分をふさごうとすると、かなりぎこちない動きになりがちです。一方、多少ななめになりますが、下半分をふさぐのは手全体の動きが楽です。
どちらを採用しても、音の高さや鳴りなどに殆ど変わりはないように聞こえますが、これはやはり上半分をふさぐのに慣れるようにした方がいいでしょうか。それとも、下半分方式を続けても支障はないものでしょうか。
A. さて、ご質問の「メリ音の指遣い」の件につきましては、“基本的に音程が決まればOK”だと考えます。
文中にあります“音の高さや鳴りなどに殆ど変わりはない”のであれば、どちらを採用されてもまったく問題ないでしょう。
例外があるとすれば「古典本曲(ここでは琴古流を含む)や古曲」における運指です。
尺八の“いわゆる”古典においては「運指と音色と」の密接な関係があります。
文字だけでお伝えすることには限界がありますが、「この指遣いだからこそこの色合い、この味わいが出せる」ということが存在します。この場合はやはり“伝承”という形をとる必要があると私は考えます。
◆半音のユリ(2006-4-13)
Q. 以前ある人に「曲の中で半音(石川注:琴古流のメリ)が出てきたらユリをかけるとよい」とのアドヴァイスをいただいたことがあります。それ以来何となくそうしていますが、実際のところはどうなんでしょうか。
A. その方がどういう場面でその発言をされたか定かでないので断定的なことは言いかねますが、“半音が出しにくいためにユリをかける”というのであれば、それはごまかしているにすぎず、誤りだと考えます。例えは悪いですが、仮にピアノで旋律を弾いた時に黒鍵の音だけビブラートがかかっていたとすれば、それは奇妙で不自然な旋律に聴こえてしまうことは想像に難くありません。
私自身ユリが下手で日々模索している段階ですので偉そうなことは言えませんが、ユリをかける時は“その場面のその旋律でどうビブラートがかかると最も効果があるか”を考え、しっかりと計算して、ハッキリとかける必要があると考えます。全音、半音と区別するのではなく、フレーズ単位で捉えることが大事だと思います。また、音量の大小と同様に、演奏する場所が大きくなればなるほどユリも大きくかけないと効果が上がりません。
舞台での演奏時に、狭い楽屋ではユリに聞こえても大きなホールではまったくユリがかかっているように聞こえないことを経験された方も少なくないと思います。特にホールなどで演奏する予定がある場合は、練習の段階からホールを想定してよりダイナミックな表現が出来るよう備える必要があると考えます。
◆大メリ(2006-1-30)
Q. 古典本曲を練習していますが、“ウのメリ”や“ツの大メリ”などの大メリがうまく出せません。コツのようなものがあれば教えてください。
A. 私がウのメリ(レ律)などの大メリを出す時は、アゴをメリからさらにメルだけでなく、身体の内部の意識(使い方)も変えています。言葉で表すのは難しいですが「内臓を下げる」ような感じにしています。
この感覚を試していただく方法は次のとおりです。まず“ウ(3孔だけ開けてメッた乙音。乙のチの半音と同律)”を出して、そのまま唇・アゴの状態は変えずに、身体の内部をストンと下げるようにしてみてください(あるいは脱力する、重心を下げる、など)。するとそれだけで音程が下がることと思います。逆に身体の中身を持ち上げるようにすると音程が少し上がることがわかります(これは下げるよりは実感しにくいかもしれません)。
この感覚と、それに伴う音程の変化を私はメリから大メリに移る時に使っています。もちろんアゴメリも行いますが、どちらかといえば“補正的”に使用しています。
それと私が大事にしているのが、“カリ音(通常の全音)”“メリ音”“大メリ音”それぞれのイメージの違いです。“カリ音”と“メリ音”は、“陽”と“陰”などに置き換えて比較的イメージが捉えやすいですが、“メリ音”と“大メリ音”についても「隣り合ってはいるが違う世界の音」と私は捉え、イメージして吹いています。
◆肺活量(2006-1-20)
Q.今日は[肺活量アップ]について教えていただけませんか? 演奏中に息不足になり、本来切ってはいけないところで呼吸をしてしまいます。どのようにして肺の中の空気を有効に活用すべきか、更には肺活量そのものを増やし、余裕を持ってワンフレーズを吹けるようになりたいと願っているのです。
A. 私が尺八を知らない人の前で演奏する時にも“肺活量がいるんでしょうね”と訊かれることがありますが、尺八をうまく吹くためにはやはり「効率のよい息の使い方」を目指すことが肝要だと考えます。
そのためには“いかにロス(むだ息)を無くすか”が大事です。
私は、開放音(ロ、ツ、レなど)の場合は“いかに唇の出口を薄く保つことができるか”、また、メリ音の場合は“いかに吹きすぎないか”を考えて日々練習しています。
単音だけを出しているときはうまく薄いノズルが形成されていても、曲を吹くとこわれてしまうことがよくあります。その場合は開放音を出すときに「唇を閉じた状態から漏らす息」で音を作り、開放音(全音)だけでできている曲を繰り返し吹いて、薄い唇(ノズル)を維持する練習が効果的です。それが一定の長さ続くようになってから、メリ音の入る曲に移るのがいいでしょう。
先にアウトプットのことを書きましたが、何よりも大事なのは“たくさん吸うこと”です。1回1回吸う際に鼻、口はもちろん全身をフルに使って息をおなか(丹田)まで深く息を吸い込む練習を繰り返し行なってください。この場合も、曲を吹くと意識が曲のほうに行ってしまいますので、たくさん、深く吸う練習は独立して行なうことをお薦めします。
「肺活量アップ」は実際には難しいと考えますが、工夫しだいでブレスは確実に向上させることができると考えます。
“できるんだ”という信念を持って取り組んでくださることを期待しております。
◆タンギング(2005-12-28)
Q.尺八を演奏するときタンギングはされますか。
A. 尺八を演奏するときタンギングは使います。
同じ音が続くとき、尺八では原則的に指打ちで音を切りますが、これには手孔を開閉する際の音が混じります。
それが尺八の味わいにつながるのですが、この音を入れたくない場合にタンギングなどの方法で他の音を混じらせずに音を切ります。
尺八で行なうタンギングには大きく二つの種類があります。
@文字通り舌を使ってトゥ、トゥと音を切る方法
A舌は使わずに息でフッ、フッと音を切る方法
@の方法にはシングル、ダブル、トリプルなどがあり、これは尺八やフルートの教則本に詳しく書かれています。
私は@はここ、という箇所で用い、それ以外のところでは主にAを使っています。
基本的に古典本曲および古曲(地歌・箏曲など)の場合は使いません(これは私の場合で、古曲を吹くときにタンギングを上手く使って効果を出されている名手もおられます)。
大正期以降の作曲家、例えば宮城道雄、久本玄智、福田蘭童などから後にできた作品(それ以降、現代作品にいたるまで)を演奏する場合、一般的にタンギングを使います。楽譜の中に指定がある場合もありますし、奏者が自分の考えで入れる場合もあります。
◆虚吹(2005-12-28)
Q.先日は「本調」の体験レッスンをありがとうございました。早速、練習を始めているのですが「虚吹」についてご質問があります。
クサビ吹き、というか「押さないで自然に吹く」ということだったのですが、練習し
ていて、今一つピンと来ない感じです。
@フォルテピアノみたいに最初大きく出てすぐに小さくする
A普通のデクレッシェンドみたいに意図的にだんだん小さくする。
Bとにかく出だしは大きな音で、あとは自然に音を伸ばす。(これだとあまり小さくならないような気がします。)
のうちのどれかかなぁ、と思っているのですが
どうでしょうか?
A. こういうところが口頭伝承でしかお伝えできない部分だと思います。
AとBの合わさったような感じだと思います。自然さを損なわないように音を遠ざけるイメージですが、最初はある程度意図して音量を減衰させる練習が必要だと考えます。音を自然に小さくしていく身体の使い方は何度も繰り返して体得していただくほかありません。
まず、古典本曲を習得しようとお考えになるなら参考となる音源を良く聴くことが大事です。
あとはそれを再現(模倣)することが古典本曲の練習です。これまでに吹かれていた現代曲の吹奏方法とはかなり違うことを求められますので、少しずつ慣れてください(なかなかヘッドワークだけでは格好がつかない世界だと思います)。
◆ウの出し方(2005-10-31)
Q. 研修館の先生方のようなウが出せません。吹き方のポイントがあれば教えてください。
A. 琴古流のウは一孔と三孔を半開してメリで音を出しますが(音程は都山流のチの半音にあたります)、私共がお伝えしている古典本曲に用いるウは一孔を閉じて、三孔のみ開いた指遣いでメッて出します。
この運指のウが決まりにくい人は、まずリ(都山式乙のハ)を出し、その状態で四孔を閉じてみてください。このままでは音程が高く出ますのでメッて音程と音色のバランスが取れるところを探します。メリ加減は尺八によって一本ずつ違います。メリの音ですが最初から弱く吹くのではなく、丸い響きが出るようにしっかり吹きます。メッた時に口の中が狭くなってしまうと響きが薄くなりますので、全音がよく響く状態と同じように口腔内は大きく保つとよいでしょう。
リーウー(都ハーウー)とうまく繋がるようになったら逆にウーリー(都ウーハー)、それも問題なく出るようになれば乙レーウーリー(レーウーハー)、リーウーレー(ハーウーレー)と、ウに近い開放音と連続してムラなく吹く練習をなさってください。
◆メリ音が高い(2005-8-31)
Q. メリ音(石川注:都山式では半音)の音程があがらぬよう自分自身ではそうとう気を使っているつもりなのですが、合奏の先生からは“まだ高い”と言われます。どのようにすれば改善できるでしょうか。
A. 私がお会いしたメリ音(半音)の高い人は、概ね手孔の開けしろが大きすぎる状態になっています。まずはこれを狭くすることが肝要です。人によっては全音よりもメリ音(半音)の指の押さえがゆるく、孔の上に指が浮いたように乗っかっているかたがおられます。その場合は、隙間を開ける孔に“指の腹のやわらかい部分”を軽く押し入れるようにすると、それだけでも随分音程が上づることが少なくなります。
貴殿はそうとう気を使われているようですので、上記のケースには当てはまらないと思われます。それ以外に注意したいことは、「同じ開けしろ(開けはば)をとると、乙と甲では音程差が生じる」ということです。同じメリ加減で、同じ開けしろならば甲音のほうが高くなります。もし貴殿が“特に甲音のメリが高い”ようであれば、甲音のメリの時により開けしろを狭くする必要があります。
これはチューニングメーターでチェックすることが出来ます。まずメーターを見ながら乙のロ(ろ)を吹き、そこから同じピッチ(高さ)になるようにツのメリ(ツの半音)を吹きます。次にそのままポジションを変えずに甲のツのメリ(ツの半音)を吹くと乙音よりも甲音のほうが高くなることがわかります。そこで、開けしろを狭くする、あるいは、更にメル、作業をして乙音と甲音の高さが同じになるように調整してください。
最終的には自分の耳で音程を捉える必要がありますが、まずチューニングメーターで視覚的に音を捉え、それを耳にすり込み、耳を鍛えていく方法も有効です。
また、あごメリが充分に効いた状態だと、「乙のメリ音が低くなりすぎる」ことも起こりえますので、常に耳でしっかり音程を捉えることが大事です。
◆ハの五(都山ピ)がうまく吹けない(2005-8-31)
Q. ハの五(都山ピ)をうまく吹く方法はあるでしょうか。
A. 私も“ハの五(都山ピ)”はスカッとした音がなかなか出せずに苦労しております。そこで、私の取り組みを書かせていただきます。
まず、自分が出せる最もよい“甲のロ(ろ)”を吹きます。その音が安定したら、息の方向、強さなどは変えずに、指だけ“ハの五(都山ピ)”にします。裏孔は開けすぎないようにして、@アゴメリ、A息の角度、B裏孔(5孔)の開け方、のそれぞれに微調整を加え、もっとも良い鳴りのところを探します。これは、“ハの五(都山ピ)”を“高い音”だと捉えてしまうと、それだけで余分な力が入ってしまったり、身体が硬くなってしまいやすいので、あまり高い音だと意識をせずに吹くための練習です。また、“ハの五(都山ピ)”だけ他の音と違う吹き方をしてしまうと、曲を吹く上でスムースさに欠けることにもつながりかねません。“甲のロ(ろ)”と“ハの五(都山ピ)”が自由に行き来できるように練習しておくとよいでしょう。
琴古流の“ハの五”はメリ音の扱いですが、曲や場面によっては強い音が欲しい場合もありますので、“メルかわりに唇を前に出して楽器と唇の距離を縮めて”吹く方法や、さらに強い音が必要な時には“大甲のロ(ろ)”(裏孔を完全に閉じて強く吹く)を使うことも考えられます。
“ハの五(都山ピ)”は他の開放音よりも音程が変わりやすいので、いずれの運指をつかう場合にも音程をしっかり捉えながら吹くことが肝要です。
◆外吹き(2005-06-12)
Q. 自分は外吹きのようなので、かなり外に出るように吹き方を修正しましたが、なかなか太い音が出ません。どういうことが原因と考えられるでしょうか。
A. ”外吹き”とは尺八を鳴らす際に息の多くが管の外側に出る吹き方のことを指しますが、管の内側に入る息の量が少なすぎてもうまく鳴ってくれないようです。今よりも少し息を管の内側に入れるようにして鳴り方を試してみてはいかがでしょうか。楽器の内外に別れる息の配分をいろいろ試してみて、一番反応のいいポイントおよび角度を探し、それから吹き込む息の量を増やしてみて下さい。
◆ヒのメリ(甲のハの半音)の出し方(2005-06-12)
>先日、あらたまコンサートで「月光弄笛」を聴かせていただきました。
>特に印象に残ったのが太いヒのメリ(甲のハの半音)の音でした。
>私がどう吹いても細い音にしかなりません。何か特別な吹き方をされているのでしょうか。
演奏をお聴きいただきありがとうございました。
まず、福田蘭童曲や現代曲を吹く時は、師に倣って、1,2孔を閉じないでリのメリ、ヒのメリ(乙、甲のハの半音)を出します。それでいく分開放的な音になります。さらに甲音(かんおん)の場合は、指の腹ではなく、第一関節のところが孔の端にかかる位に深く指をかけて、メリのすき間を開ける際に、指が孔の上にアーチ状になるように開けています。私はまず、甲のチを出し、”チーヒのメリ”と出す練習を繰り返して少しずつ音を広げる練習をしました。参考にしていただければ幸いです。
◆上管練習法(2005-04-7)
>長管の音色に憧れ二尺三寸管を購入しました。
>まだ乙のレから下の音がうまく出せません。
>どういうところに気をつけて練習すれば良いでしょうか。
もしあなたの二尺三寸管が延べ管ではなく中継ぎ式なら、“上管練習法”(といってもそんなにたいそうなものではありません)が有効です。上管だけを持ち、真っ直ぐな息が入るように息ビームを作ります。開放から始め、息ビームが安定したら二つの孔を塞ぎます。二尺三寸管ですと、上管がやや長い場合でも一尺二寸までですから、その筒音を鳴らしきる練習をします。筒音が安定したところで上管と下管をつなぎ、その息流で乙のチを吹いてみてください。うまくポイントを捉えられているとこれまでの音とは変わっているはずです。そこから丁寧にレ、ツ、ロと下りていきます。音が出にくいからと強く吹くのは良くありません。ポイントが捉えられていると、それほど強くない息でも必ず鳴ります。強く吹くのはポイントを捉えてからです。少しずつ丁寧に取り組むことが大事です。
延べ管の場合はこの方法は出来ませんので、指孔を押さえず全部開放で鳴るポイントを捉え、一つずつ下りていく(ヒ→ハ→チ→レ→ツ→ロ〈都山式表記〉)ことを試してみてください。
長管は一尺八寸管などに比べ、径の大きい(太い)ものが多いですから、一尺八寸管と同じアゴ当たりにしてしまうと‘唇と歌口との距離’が遠くなってしまいやすいです。“持ち替え”の項にも書きましたが、「自分の唇と楽器の歌口の関係を合わす」ことに注意する必要があります。
私はこの“上管練習法”を長管だけでなく、初学者の方に対してもおこなっています。上管だけで鳴らすことを試みると、音の出るポイントが捉えやすくなります。ぜひいろいろな長さの尺八で試してみて下さい。
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