「回想の小野アンナ」

「小野アンナ音階教本」は、ヴァイオリンをしている人なら誰もが持っていると言ってもいい、基礎の勉強に欠かすことの出来ない教本です。

私も生徒に使用しています。

ヴァイオリン音階教本 <小野アンナ>/小野 アンナ

¥1,260

Amazon.co.jp

昨日から、小野アンナ先生自身の文章や、お弟子さんやご家族らの寄稿を集めた本、「回想の小野アンナ」を読んでいます。

回想の小野アンナ―日本のヴァイオリニストを育てて半世紀/著者不明

¥2,310

Amazon.co.jp

門下生の寄稿の中には、私が東京時代に教えを受けた片山治夫先生の文章も掲載されています。正に私に「小野アンナ音階教本」を与えて下さった先生です。(ということは、私もアンナ先生の孫弟子の片隅にいるといえるのでしょうか・・・しっかりしなければ!)

先生のことを知る方々の文章から、レッスン室の雰囲気や風景、レッスンの様子などが鮮明に伝わってきます。

この本を初めて読んだのはまだ音大生だった頃だと思いますので、アンナ先生門下のヴァイオリニストたちがどのようなレッスンを受けて、その技術や音楽性を身につけたのか、という視点ばかりで読んでいたように思います。

しかし、今、曲がりなりにも生徒を持つようになった私が読むと、全く違った感動を覚えます。

偉大な教師としての厳しさはもちろんのことですが、同時に温かい人間性が生徒にしっかり伝わっていて慕われておられ、素晴らしいです。

また、母親となった今読んで、小野アンナ先生が愛息俊太郎さんを幼くして亡くされたと知り、その悲しみを想像するだけで胸が痛みました。

遠い異国ロシアから日本に嫁ぎ、関東大震災なども経験されながら、まだヴァイオリン教育が全く根付いていなかった日本で多くの弟子を育てられた、その偉業に思いを馳せています。

ヴァイオリン奏者として、ヴァイオリン教師として、母親として、私もまだまだ努力の余地があるのだなあと、触発されました。