「楽譜を読めない」というつまづきの予防教材
ヴァイオリンを弾くこと自体の難しさばかりが注目されますが、それはさておき、楽譜が読めないことが、上達のネックになっていることが多々あります。
楽譜が読める、音がわかる、さらにそれが耳の中で聞こえることの大切さは強調してもしすぎることはありません。
ヨーロッパでは、楽器を習うのと並行して、ソルフェージュや理論、音楽史などの授業も受けることが当然という理解があるようです。しかし、日本ではどうしても「芸事」という感じで、楽器さえ練習すれば上達すると思われています。
西洋音楽のあの長い曲を弾こうと思うと、理論やソルフェージュも出来ないと無理があるのです。作曲家がそれに基づいて作っているので当然です。
それに、自分でわかってないことをどうやって人に伝えられるのでしょうか?
指だけが正確に楽譜を追ってほしい、と考えるのは無理があります。
理論を勉強するのは、力みを取り除くのにも大変効果があるのです。
これまで、様々な方法で生徒の読譜能力を伸ばすように工夫してきましたが、思うようにいかないことも多々ありました。
しかし!ついに素晴らしいワークブックに出会うことが出来、教室での導入を始めました。
1冊にヴァイオリンを弾く生徒のために必要最小限のことがギュッと詰まっているのがいいし、書き込み式とフラッシュカードが付属しているので、定着をうながす宿題を出しやすいです。
たくさんの生徒さんを育てているスタジオのヴァイオリンの先生自らが生徒のために作った本ですので実践的です。
日本語版制作に向けての準備を始めましたので、ご期待下さい!
「未来のヴァイオリニストたちのための 音楽理論(仮題)」
前書きより抜粋:
「聴き取り練習について:
この本の最大の目標は、聴音練習によって耳の訓練をすることにあり、各レッスンの最後を締めくくる課題としています。耳を発達させることによってのみ、音楽家としての本来の可能性を開花させることができるのです!音程やリズムを聴き分けることに集中すると、音楽がどのような作りになっているのかという秘密の扉が開かれます。若い音楽家が音幅を識別する感覚を自分のものにすると、音程に関しての全く新しい見識が開かれ、それによって、より難易度の高いレパートリーを演奏できることへの鍵となるのです。また耳が良く働けば、音楽をより大きなパターンとして認識することも容易になり、それによって、音楽家に最も求められる能力の一つである、初見能力を発達させることができます。」
(訳:石川ちすみ)