あのことを書いている人がここにも!
「ヴァイオリン・マスタリー」という本をKindleで買って読んでいます。
これは、ティボーや、クライスラーや、アウアー、イザイ、17歳の頃のハイフェッツや、エルマンなど、その時代の巨匠たちのインタビューを収録したものです。
寝転んで読んでても思わず座ってしまうぐらい、すご~い本です。
この中で、アーサー・ハートマンという人の言っていることに、感銘を受けました。
ハヴァシュ先生の言っているあれこれと同じ前提に立っていると言えます。
以下引用:
「バイオリンの演奏は難しいミステリーでは全くありません。ある意味、地理学と同じくらい明白です。北はE線、南はG線、西は運指の手、東は運弓の手。あえて比較すればこんなふうにも言えましょう。ここで大事なのは、バイオリンで技術的・芸術的に展開できたり、頭脳的・心的コントロールによって領土拡大できるのは、このはっきりした境界までだということです。私にとって『バイオリンマスタリー』とはこの小さいバイオリンケースを手にとってーーー」
そう言うとハートマンは言葉の通りケースを手にとってふたを開き、1711年製の美しいストラディバリウスを取り出した。
「これを好きなように弾くことなのです。つまり適切な指を良いタイミングでふさわしい位置に置くことなのです。指はアーチストの心を表現する単なる無意識の奴隷であって、アーチストの理想に対して全く副次的なものでしょう。なのにこれを逆にして、指の奴隷になっている人がおおすぎるんです。」
(「バイオリンマスタリー 名演奏家24人からのメッセージ」マーテンス編著 スミエイケン訳 より)
要するに、バイオリン自体は実は難しくなんかない、ただし頭脳的・心的コントロールが必要だ、と。そして、それ以上に芸術的素養や想像力こそが大切だと言っているのではないでしょうか。
後半は、ハヴァシュ先生もそのまま書籍にも書かれている言葉ですね。
どんな奏者だったのか、すごく興味を惹かれますが、音は残っていないみたいです。
ドビュッシーの友達で、「亜麻色の髪の乙女」をヴァイオリン用にトランスクリプトした人のはこの人です。
上記書籍によると、ハンガリー生まれで、バイオリン曲以外にも、合唱曲、交響曲、室内楽曲、ピアノ曲、歌曲の作曲もしていて、バッハのシャコンヌを詳しく分析した本は定評があるそうです。
バイオリンの巨匠であるだけでなく、ヴィオラ・ダ・モーレも達者で、その上、教師としてもとても素晴らしかったそうです。
英語ですが、こちらからインタビューの全文読めます。
原文はこちら>>