さようなら、カトー・ハヴァシュ先生

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 私の恩師、ハンガリー人神童ヴァイオリニストで、偉大な教師カトー・ハヴァシュ先生が、12月31日に安らかにお亡くなりになりました。98歳でした。
カトー・ハヴァシュ先生は、そのヴァイオリンへの情熱と、クラシック音楽の作曲家に対する深い愛情をベースに、ハンガリアンジプシーに触発されて編み出した独自の“ニューアプローチ(新学習法)”によって、多くの奏者を不必要な力みやあがり、痛みから解放し、音楽を通して自分を表現し、聞き手とコミュニケーションする喜びを教えられました。力強い眼差しで見つめられた瞬間に生徒のすべてを見抜くような心眼と癒やしの力をお持ちでした。一方で、温かい独特のユーモアのセンスをお持ちで、ワークショップはいつも笑い声に溢れていました。ひとりひとりの生徒にきめ細かく心を配られ、皆から”カトー”と親しみを込めてファーストネームで呼ばれて慕われておられました。生徒のオーディションを一切せず、レベルにかかわらず、求める人すべてに等しく愛情を注いで導かれていました。
主婦としてご家庭もしっかりと築かれ、晩年は3人のお嬢さんと、たくさんのお孫さん、ひ孫さんに囲まれて、幸福にお過ごしだったことは、先生のお人柄の素晴らしさの一面を語っています。

私は幸運にも、この天使のような先生に2014年から教えを受けることができました。ハヴァシュ先生との出会いによって、これまで超えられなかった壁を乗り越えることができ、ヴァイオリンで音楽することの喜びの秘密に触れることができました。先生のおっしゃる「自分で自分を教えていく」という土台を築いていただいたので、今でもその魔法は続いています(これからも)。
そして、このハヴァシュ先生の教えは、直接教わった私にだけではなく、私を通して初心者、上級者、子ども、大人を問わず、同じ開放感、喜びをもたらすことがわかりました。
本当に驚くべきことです。

ハヴァシュ先生は、亡くなる直前まで、私が日本でセミナーやワークショップをするたびにメールを下さり、心からのサポートをしてくださっていました。
しかし、昨年夏にオックスフォードのご自宅を訪ねレッスンして下さったのが最後となりました。
もうそのような交流が出来ないと思うと、寂しい限りですが、一方で、すでに私の身に余るぐらいのすべてのことを教えてくださったし、先生のお心もそばにあることを感じています。
それぐらい、誰にでも、何事にでも、心をこめて、全身全霊であたられる先生でした。

同門のヴィオリスト、モニカ先生のメール(下に貼り付けます。若き日の先生の写真が!)の中では、今やハヴァシュ先生の教えは”パブリックドメイン”になったとおっしゃっていました。
皆さんも、末永く、先生の残された、著書、YouTubeの動画でカトー先生の教えをご享受ください。

特に、YouTube動画は、先生ご自身が、自分亡き後のことを視野に入れて、「ぜひ撮影して、アップしてほしい!」とモニカ先生に依頼して実現したもので、先生の教えのすべてが込められています。
昨年、翻訳して日本語字幕もおつけしましたので、ぜひ改めて御覧ください。

https://www.youtube.com/user/KatoHavas