ハヴァシュ式(4)弓の構え〜幸せな奏者となるためのヴァイオリンブログレッスン

《レッスン4》弓の構え

 タイトルの「弓の構え」とは、耳慣れない言葉でしょう。普通は「弓の持ち方」となるのだと思います。しかし、弓を「持つ」と言ってしまった時点で、正しい構えとのそぐわなさがあります。こういう言葉の力は侮れないものがあります。
(「あがりを克服する」p.115~117)

「悪いボーイングは、世界一の左手をも台なしにするということである。二つが完璧に結合してこそ、完璧な音となるのだ。なぜなら、弓は弦を振るわせることができるのであり、音の美しさは自然で揺るぎない振動にかかっているからだ。そして、ぜひ覚えておくと良いが、音というのは圧力によって生じるのではなく、弓の毛の表面の見えない小さなフックと弦との摩擦によって生じるのである。弓を押し付けると弦はたちまち自然な振動をやめてしまうので、不自然な動きや力みはすべて除去しなければならない。これを達成するには、腕、手、そして指が、弓を持つ時、正しい筋肉を使うことにより、非常に軽い、空中を飛んでいるような感覚であることが大切である。そのためには、苦もなく弓を持つことが、苦もなく楽器を構えていることと同じくらいに大切である。」
(「ハヴァシュ・バイオリン奏法」ヤマハミュージックメディアp.45)

 上記、「非常に軽い、空中を飛んでいるような感覚」となるには、弓をギュッとつかんではいけません。また、「持つ」必要もほとんどありません。演奏しているときはずっと楽器の上に置かれているのですから。そして、楽器が鳴るには、弓自体の重みと、あなたから沸き起こるリズミックパルスが必要なのです。

 今日は、弓を楽器の上にポンと置いた状態のバランスを確立するまでをレッスンします。ストローク(運弓)は次回です。

 ボーイングの悩みのほとんどは、右手の指や手首が力みすぎが原因です。
指が弓にまきついていたり、手首に力が入っていると、ボーイングの色々な障害(音の硬さ、弓の震えなど)や難しさ(スピッカート、ソティエ、スタッカート、レガートの困難、弓の震えetc.)にハマってしまっています。

 しかし、そのように弓につかまらずに、右手が弓を動かすためのバランスを確立してしまえば、そのすべてはリズミックパルス(第一回ブログレッスン参照)や「羽ばたき」(第二回ブログレッスン参照)運動の応用でしかなく、別々のテクニックを何時間も練習しなくてもいいのです。

 幸いにして、カトー・ハヴァシュ先生が素晴らしいエクササイズを示してくださっていますので、ご一緒に見ていきましょう。動画をメインに解説します。

 数回のレッスンで最終的に、「非常に軽い、空中を飛んでいるような感覚」を実感していただくことがゴールです。