指の筋肉を鍛えることは必要か?
「指の筋肉が弱いことを先生から指摘されて、筋トレをするように言われたが・・」という質問を受けたので私の考えを述べたいと思います。
結論から言うと、必要ありません。
もちろん、あなたがプロフェッショナルで、そのトレーニングによって良い影響を実感しているなら、何も申し上げる必要はありません。
また、やるのがお好きで効果を実感しているなら、適度におやりになっても良いかもしれません。
また時に、特殊な例外はあるでしょう。
ただ通常、人に言われたからと自分に義務を課して、継続してやるのはお勧
め出来ません。
かなりの確立で将来指を痛めます。
大人から始め方はなおさらです。
また、そもそもヴァイオリンは筋肉で弾くものではなく、神経で弾くものです。
いかに、指先を繊細な感覚に研ぎすますかが大切です。
そのためのトレーニングは、およそ筋肉を強くするトレーニングと相反するものです。
(そのやり方は別の機会にまとめてお伝えします。)
また、いつもドレミを歌うことやマイムの大切さを伝えていますが、これは、指先までの神経伝達をトレーニングするためと、あなたにとっての無理のない動きを学習するためでもあります。
こういうトレーニングの方がよほど大切です。
ヴァイオリンは筋肉が勝手に動いて弾いてくれるのではなく、音楽を深く理解し、伝えようとする精神的エナジーが指先に伝わって弾くものです。
殆どの人が、この音楽を深く理解するというトレーニングを面倒がって省いているように見えます。
ちなみに、自分のことで言えば、ヴァイオリンが上手くなればなる程、指の力でする作業が嫌になってきます。
鞄を左手では持ちませんし、ペットボトルのふたを開けるのも家族にしてもらうくらいです。
質感の尖ったものや粗忽なものは触るだけで厭な感じがします。
なお、ヴァイオリニストの古澤巌さんは指先の保護のためいつも手袋をはめておられるそうです。
ヴァイオリニストの朝枝信彦先生も、指先の感覚を繊細にすることの大切さを言われています。
ということで、「指先を強くするトレーニング」は、疑問を感じたら迷わずやめましょう。