親しい友達と夜通ししゃべるような刺激〜「考える練習」保坂和志さん著
今朝のニュースで、から電子書籍や音楽を配信しているネットショップにはこれまで消費税がかけられていなかったけれど、競争的に不公平になっていたため、例えばamazonのようなショップにも消費税がかけられることになると出ていました。
こういうところから税金をいただくのは、良いことのように感じました。
amazonといえば、以前私はヘビーユーザーでしたが、数年前から、意識してなるべく別の方法で買うようにしています。
理由は便利すぎて怖いからです。
いつか、アマゾンが、朝注文した本がその日の夜に届くという、行き過ぎと言わざるを得ないサービスを始めました。その時に立ち止まって考えたのです。
皆がこういうことを求めるようになったらどうなるのか。
そういうことを便利だからといって、差し迫った理由もないのに享受すると、誰かを害することになるに違いないと思いました。
最近読んだ本で、すごく面白かった本です。
保坂和志さん著「考える練習」です。
考える練習 [ 保坂和志 ]
¥1,680
楽天
そこにも書かれていて共感しました。
宅急便屋さんの配達時間指定なんかも、結局は宅配する人を疲弊させることになり、宅急便屋さんが疲弊したら、その奥さんが疲弊して、そしてその子どもがおかしくなってしまう、そして世の中が悪くなる、というようなことです。
該当箇所をちゃんと探してないので、不正確だったらごめんなさい。
この本は、色々なトピックを、すごく頭のいい友達と夜通ししゃべっているような感じで、すごく面白かった!!
例えば、こんな感じです。
^^^^^
「原発の問題っていうのは、原発がいいのか悪いのかって話じゃなくて、原発をやめるにはどうしたらいいのかってことだけだと思うんだよ。
『原発がないとやっていけない』っていう専門家の話にも説得力があるって言うけど、専門家っていうのは、誰でもそれなりに説得力をもって話すもんだよ。」
「本来なら、知識が増えれば増えるほど断定しなくなるはずだよね。断定する人って言うのは、たいして知識を持ってないんだよ。それは子どもを見てればわかる話でさ」(~と面白い例が続く。)
「コンサートだったら1万円でも行くのに、本は2千円をなかなか超えられない。コンサート会場だったら1万人いたら1万分の1でしかないのに、その一員として一所懸命盛り上げようとする。それに対して、本の読者なんて普通、5千か6千くらいしかいないのに盛り上げようとはしない。でも、小説家はその人たちがいなくなったらもう書き続けられないんだよ。なんて、プレッシャーをかけると、きっとその人たちは退いちゃうんだけど、1万人のコンサート会場にいるひとより、小説の読者のほうが1人の存在が大きい。それを実感として誰も持ってないよね。」
^^^^
最後のトピックでは、最近感じたこととつながりました。
私の最初の大学時代の友人が、今や直木賞も取ったし、時代を代表する作家の一人となっていて、先日久しぶりにゆっくり話ができたのです。
その中で、「読者の人からたくさんお手紙くるだろうね」と振った時の、彼女の答えにびっくりしました。
「いや、全然。」って。
じゃあ、せめて、「本に挟まっているアンケートはがきの束は見せてもらうの?」と訊いてみると、昔はもらったことがあるけど、最近は全く見せてもらってないそうです。
彼女に伝わることを意識してていねいにメッセージを書いたこともありますが、受け取ってもらっていませんでした(笑)。
有名人なので、読者が好き勝手に彼女のことをブログやらで書いているのは見受けてましたが、本人にファンレターを書く人がいないことに、すごくびっくりしました。
なんだか冷たいなあと思ったのです。
そう、保坂さんの言う、「支える」という意識が欠けているのですね。
また、クラシック音楽をやっている者としても共感するものがありました。
これからは、良いものは意識して「支え」ないと、どんどん良いものは廃れ、いらないものばかりが溢れ、自分も疲弊することになる、と私は思ってますが。
取り留めなくなってきたので、この辺で。
皆さんも、楽しい読書生活を送られてくださいね。