ポジション移動を難しくしているもの
「ヴァイオリンの技術は簡単か不可能かどちらかである。」(カトー・ハヴァシュ)
ポジション移動が「不可能」と感じている人は多いと思います。
ヴァイオリンは顔の真ん前で構えるという特殊性から、知覚の誤認が起こります。
目の前に近づいてくる黒い指板を見ていると距離感がわからず、とても長くて恐ろしく感じます。
まずこの誤認をとりはらうことから始めましょう。
ポジション”移動”と言って、どれほどの距離を移動するのか?
ヴァイオリンを置いて、リボンや糸で、指板の開放弦のオクターブ上の音までの距離を測ってみます。測ったリボンを横にして眺めてみましょう。
あまりの短さに驚くでしょう。
リボンを手の中に入れて遊んでみましょう。
私達の左手が移動する距離はたかだかこの糸の範囲です。
となると、直線的に「移動」と考えるのではなく、移動した先の音を耳の中に持つことや、手の形をよ〜く認識してさえいれば、移動すると思う必要すらなく、そこに到達します。
壁にぶつかっている方には申し上げたいですが、必ずできます!
闇雲に長時間練習するのではなく、まず指先に力が入っていないか、指先の優秀なセンサー全開で、弦の感触を味わってみてください。親指が動ける状態にあることも大切です。音感も大切です。声に出して行き先の音を歌いながらの練習もしましょう。
指先だけに責任を押し付けず、全身、すべての五感を参加させます。
なかなか文章で説明は難しいですが、実際、同じポジションで弾く時と変わらない手の使い方、音の作り方をすることなのです。したがって、ポジション移動用の特別な技術があるというよりも、ファーストポジションで音をとる基礎技術が正しくできていることが大切です。
この勝手に移動が終わっているポジション移動の感覚を、「ハヴァシュ・バイオリン奏法」のカトー・ハヴァシュ先生は、”No shift(移動なしシフト)“ と言っています。
ご興味のある方は、ハヴァシュ先生の書籍をお読みください。
また、可能な方は、ぜひ神戸までレッスンにいらしてください。
なお、次回東京でワークショップとレッスンするのは、少し先になりますが、10月1日、2日を予定しています。
前回東京でレッスンをしたときに、受講生の方からいただいたTシャツです。
発達に個性をお持ちの息子さんの絵画をTシャツにされたそうです。
とても素敵です。
もったいなくて、なかなか開封もできてません。
夏になって着るのが待ち遠しいです。