8年越しの指板のシールをはがせました
音楽教室などでは、楽器を買ったら、まず指板に音程の目印にシールを貼らせることが一般的です。
シールが付いた楽器を弾いていると、いかにも初心者感がありますね。早くはがしたいと皆さん内心思っているのではないでしょうか。
しかし、大人から始めた生徒さんで、指板のシールをはがすタイミングを逃したまま、何年も、長い人で「8年」という人もいます。
ちなみに、私も、30年前の新米教師のときは、シール貼って教えたときもありますが、ハヴァシュ式の指導に自信ができたここ15年は、シールを貼る指導はしていません。
本来、目で見てシールを見て音程を取るのでは、とても間に合う楽器ではないからです。
シールを貼らせるのは、例えば、基礎はおいといて、とにかく曲らしきものを弾かせなければならない「体験レッスン」で生徒集めをしているなど、教室の都合によるものと思わざるを得ません。
そして、基礎を教えずに、とにかく生徒が希望する曲に早く進めるように、無理やり弾かせるならシールが不可欠でしょうね。
しかし、私に言わせれば、一音一音、基礎を作りながら進つまり、音程を取る感覚と、身体の使い方をインストールすることを教える方がもっと大切です。
初心者でも上級者でも、手の形と指先の感覚で、共鳴を聞きつつ音程を取るという点では同じで、それをはじめから教えれば、大人も子供も、シンプルな曲から美しく響く音で弾けるようになるものです。
そうは言っても、長年他教室で、シールに頼って弾くことになれてしまった生徒は、「シールをはがすと音程を外すのではないか」という恐怖が強くあるようです。
最近偶然、そんな生徒へのコンサルトレッスンが続きました。
レッスンでお伝えしたことは、「音程は指板の上にあるのではなく、『指幅の形』で作るものである」というハヴァシュ式の考え方。
そして楽器で、G線のラの音、D線のソの音などを共鳴音で聞きながら取るワーク。
生徒からほどなく、こんな嬉しい報告がありました。
ご本人の許可をいただいて、シェアします。
「指板のテープを外して初めての合奏に行ってきました。取ったら左手が行方不明になると思いきや、練習中自分でも親指の3rdPositionさえわかれば、そんなに困らず弾けました。レッスンのときに先生にも、「音を探さなくなって、ない方がいいかも!!」と言われ、私の変化に驚かれていました。石川先生、本当にありがとうございました」