アメリカの音大教授の証言

カトーは明らかに時代を先取りしていました

カリフォルニアのハンボルト州立大学(アーケータ校)の音楽学部でヴァイオリン、ヴィオラの先生として教鞭を取られているカレン先生が、カトー・ハヴァシュ先生に学んだ経験を話されている動画をご紹介します。

日本語訳は以下の通りです。動画を再生しながらお読みください。

私たちは皆、同じ願いを持っています。

それは、私たちの内なるエネルギーの力を

音楽の流れの中に

思い切り解き放ちたいという願い。

音楽の魔法は

その儚さにあることを

私たちは知っています。

でも、どうしてこの願いは

なかなか叶わないのでしょう?

身体の痛みや

心の不安を引き起こす原因は

いったい何なのでしょうか?

カトー・ハヴァシュ

皆様、こんにちは。私の名前はカレン・ノルマンディア・デイビーです。

この20年ほど、カリフォルニア北部にあるハンボルト州立大学(アーケータ校)の音楽学部で教鞭を取っています。

これまでに様々な音楽の授業を担当してきましたが、現在はバイオリンとビオラのレッスンしています。

大学の弦楽四重奏団のメンバーとして演奏する他、地域のオーケストラでパートタイムの演奏家として活動したり、サマーフェスティバルに参加したりしています。

クリーブランド音楽院を卒業した時の私の体験をお話しします:

右腕のひどい腱鞘炎を抱えていました。練習をたくさんして、演奏も良くなってきたと感じていた矢先に、突然腱鞘炎になってしまったのです。

卒業時は本当に心が傷ついていました。腱鞘炎に加えて、もともと少し震えぎみだった弓が、大きな震えに悪化し、舞台恐怖症も深刻になってしまいました。

そんな時、ヨーロッパでの「ポーギーとベス」のツアーに代役として誘われました。

「毎日4時間も練習はできないけれど、時々の公演なら何とかなるかも」と思い、すぐに引き受けました。

しかし、到着してみると状況は違いました。主催者が資金を持ち逃げしてしまい、何週間も給料が支払われていなかったのです。そのため、多くの演奏家が次々と辞めていっていたのでした。

私も帰りの飛行機の日まで、1ヶ月足止めになってしまいました。

その時、ウィーンに来ないかと友人が誘ってくれたのがきっかけで、ウィーンに行くことになり、そこの音楽アカデミーで学ぶことに。

そこの先生が、カトー・ハヴァシュの『舞台恐怖症—その原因と克服法』という本をくれました。

この本との出会いは、私の人生を変えました。それまでタブー視されていた舞台恐怖症について、具体的に書かれていたのです:

– 速い音を弾くことへの恐れ

– 高いポジションへの不安

– 震える弓への恐れ

– 人の評価への恐怖

悲しいことに、私はこの本に書かれているほぼすべての恐れを抱えていることに気がつきました。

そこで、ロンドンで開かれていたカトーの夏期講習会に参加することにしました。

「これこそ私が必要としているものだ」と、すぐに分かりました。

幸運なことに、カトーの教室にまだ空きがあり、4年間学ぶことができました。

カトーは本当のヒーラーでした。

身体の痛みを和らげるだけでなく、心も癒してくれました。

自然な動きとエクササイズで、私の右腕は良くなっていきました。

でも、それ以上に大切だったのは、カトーの話し方です。

例えば、彼女は「記憶の習慣」について教えてくれました。

これは、身体の怪我は治っているのに、心の中の否定的な思考パターンのせいで、まだ痛みを感じ続けてしまう状態のことです。

講習会では、多くの人が涙を流すことがありました。それは苦しみから解放される時の感動の涙でした。

私にとってカトーは、それぞれの生徒に必要なものを与えてくれる先生でした。

私の場合は、温かさと優しさでした。

彼女の教え方はとても理にかなっていて、心に響きました。

素晴らしかったのは、現実から目を背けさせることはなかったことです。

例えばレッスンの最初に、「この曲に不安を感じます」と言うと、

「まあまあ、それは私も同じよ。この楽譜の音符の大群を見ると怖くなるわね。

でも、順番に分解して、一緒に簡単にする方法を見つけましょう」

と答えてくれました。

カトーは豊かなイメージを使って教えてくれました。

「ここで腕を上げて大きな音を出して」とか「ここでビブラートを」などとは言わず、

そうではなくて、19世紀のサロンの様子や、そこにいた女性たちのドレス、当時の社会の雰囲気を思い浮かべさせてくれました。

特にモーツァルトについて話す時は、まるで個人的な友人のように生き生きと語ってくれました。

音符の羅列ではなく、音楽を本当に生きたものにしてくれたのです。

カトーは賢明な先生でしたが、決して威圧的ではありませんでした。

「偉大な知識を授けている」というような態度は見せず、とても気さくで実践的な先生でした。

教え方について質問することは自由でしたが、感情的な議論は避けていました。

例えば、講習会で怒りっぽい生徒がいても、こう言うだけでした:「これが私の提案です。ここにいる間に試してみてください。帰ってからは、好きなようにしていただいて構いません」

カトーは明らかに時代を先取りしていました:

• 1960年代から、演奏家の怪我の問題について警鐘を鳴らしていました

• 「インナーチャイルド(内なる子供)」という概念を、心理学で一般的になる前から話していました

• マインドフルネス(今この瞬間に集中すること)を、舞台恐怖症を克服する方法として取り入れていました

私にとって、カトーの教えはすべてが役立ちました。部分的に取り入れるのではなく、すべてを受け入れる必要がありました:

• 震える弓の問題は、腕を大きくスウィングする動きで解消できました

• それは、まるで腕を流れる川が、エネルギーの流れを妨げている砂を洗い流すようでした

音程の教え方も素晴らしく、最近ショスタコーヴィチの弦楽四重奏を演奏した時に、その素晴らしさを再確認しました。音程の中に作曲家の人生や物語が隠されていることに気づいたのです。

今、カトーの教えは非常に生徒の役に立っています。

100%とはいかない場合もあります。なぜなら、サマーコースなど短期的に副科の生徒を預かるようなことも多いからです。

それにしても、ほんの一部取り入れただけでも、想像以上に生徒たちの役に立つものです。

例えば、

• 歌うこと

• 手拍子でリズムを取ること

• 手首を自由に使うこと

• 左手の親指をリラックスさせること

そして今でも、演奏を終えた後、私はカトーの「楽しめましたか?」という声を心の中に聞きます。

当時は、正直、「YES!」と答えたものの、多少無理していました。

でも、今こそ、本当に心から「はい、楽しめました」と言えるようになりました。

カレン・デイビー

いかがでしたか?

このシリーズの翻訳は続けていきますので、次回をお楽しみにしてください。

出典:カトー・ハヴァシュ協会ウェブサイト

 

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