天国へ行った生徒Mさん

亡くなった生徒の夢を見た。

また会えて、すごく嬉しかった!

「いつか弾きたい」と言っていたメンコンの楽譜を持ってきて、私が横で弾いている。私は何十年も弾いていないので、指がもつれて途中で止まったりしてしまう。すると生徒に「先生、止まらないで!聞いている方はそんなこと気にしてないんだから」と逆に教えられてる、という夢。

生徒は、2018年6月に入門してきて、それから熱心にレッスンに通ってくれていたが、11月に天国に行ってしまった。享年は、63歳。

来た時からガンの経過観察中で、ヴァイオリンを始めたきっかけも、癌告知だった。

「これからは自分のやりたかったことを遠慮なくやろう」と、憧れのヴァイオリンを習うことにされた。

スーパーキッズオーケストラの推し活をしていて、私のブログにキーワードがヒットして見つけてくれた。

最後の方に来ていたレッスンでも、SKOの記念グッズをお土産に買ってきてくれたっけ。今も飾ってますよ。

いつもおしゃれで、とても素敵な服を着こなしておられた。よく着る物の話もして、私の編み物作品を絶賛してくれて。

そんな彼女に私は、フリンジ付きのベストを編んであげた。彼女のイメージカラーのコバルトブルーで。とても気に入ってくれて、ホワイトの色違い2枚目を注文された。

「気に入った服は2枚ぐらい持っていないと痛むから」といって、大切にしてくれて、合奏会の発表の時に着てきてくれていた。

ヴァイオリンは、進みはゆっくりだったけど、真面目に毎週通ってくださって、着実に上達していた。

良い音で、大好きな曲、「ダニーボーイ」がレパートリーにできたり、ドヴォルザークのユーモレスクを私とデュエットして皆に披露したのが最後かな。

「私は先生に習えてよかった。本当にヴァイオリンを習ってよかった。」と毎回のように、言ってくださった声が耳に残っている。

今思えば最後になったレッスンの時もひときわ強くそう言われて、「ありがとうございました」とドアを出られた。

最後の半年はレッスンに来れなくなったけど、入院する前など折々に電話してくれた。そのときも「毎日楽器に触っています。ヴァイオリンをやっていてよかった。必ずレッスンに戻りますから」とおっしゃっていた。

最後の宿題は、篠崎教本2巻の「青きダニューブ」。入院中も、先生に許可をもらって弾けないまでも楽器は一緒に持っていっていた。

レッスンに来てくれているときは、とにかくいつも元気で、私なんかより気力があって、「どっちが病人?」と笑い合ったことも。

ヴァイオリンと同時にはじめた、司法試験への挑戦も続けていて、毎回、大量の本が入った重いバッグをかかえていた。レッスンの後も自習室や図書館に行って、勉強勉強の日々。

合奏のとき、いつもパン係をしてくれて、皆でおやつに食べるパンを岡本駅前で買ってきてくれていた。

皆美味しく食べてるのに、ご自身は歯列矯正のプレートを入れているので召し上がらず、そのことをボヤかれていた。「口腔ケアをきちんとすれば、免疫力があがる」と聞いて、取り組まれたときいた。

私は、「もうそんなん、幸先短いかもしれないのに、おいしいもんくらい食べてよ〜」といつも思っていて、それとなく、言ったのですが、

「いや、先生。私はがめついから、1分でも長く生きたい。だから、終わるまで辛抱する」とおっしゃったものです。

そんなに頑張られてたのに、レッスンに戻ってこれなくて、とても残念に思われているでしょう。

でもね、きっと今頃天国で、メンコンを弾かれていると、今日の夢で感じることができました。

Mさん、闘病をがんばって、偉かった!

今までありがとう。

また天国でお会いしたら、一緒にヴァイオリン弾きましょう。

 

 

 

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