ヴァイオリン・ヴィオラの、力み・痛み・あがりの克服
ヴァイオリンが力んでしまってうまく弾けないこと、いざというときにあがってしまうことを、仕方がないと諦らめていませんか?
「脱力」しようと思っても力んでしまい、思うように弾けない、ヴァイオリンの練習の後肩や首が痛い。左手が腱鞘炎になってしまった、など、ヴァイオリニストにとって大変辛い悩みです。
それらの悩みに、画期的な解決法をご提案できます。
ハンガリー人ヴァイオリニスト、カトー・ハヴァシュ先生があみだした、「ハヴァシュ式ニューアプローチ」がそれです。
オックスフォードのハヴァシュ先生の元へは、お忍びで有名プロ奏者が訪れるなど、駆け込み寺のような様相でした。辛いのはあなただけではなく、多くのプロ奏者も身体の痛みに悩んでいます。
(写真:カトー・ハヴァシュ先生、石川ちすみ。オックスフォードにて、翻訳書を片手に。)
ハヴァシュ式ニューアプローチについて
あがり、力み、痛みへの画期的処方箋
石川ちすみは、2014年〜2018年にカトー・ハヴァシュ氏、およびその高弟であるグロリア・バクシャエシュ氏に師事してハヴァシュ式ニューアプローチを学びました。ハヴァシュ先生から日本代表講師の認定を受け、レッスンやワークショップを通じて、その素晴らしい教えの普及に努めています。
ハヴァシュ式ニューアプローチとは、ヴァイオリニスト カトー・ハヴァシュ氏によってあみだされた、弦楽器奏者が身体的緊張を解き放ち、潜在能力を最大限発揮した演奏をするための処方的エクササイズの体系です。
ニューアプローチは、奏者をある型にはめて従わせるというような”メソッド”ではなく、身体の無理な使い方や精神的プレッシャーを予防するための、演奏原理、演奏哲学と言えます。したがって、ニューアプローチはこれまでのあらゆる伝統的メソッドに取り入れ、適応することが可能です。
ハヴァシュ氏は、弦楽器奏者が感じる様々な問題は、まず、内から外へとエネルギーを流すことによって解決出来ると考えます。
これは主に、歌うことと、マイムすること(楽器や弓を持たずに演奏動作をしたり歌ったりすること)によって即座に体感することが出来ます。言葉の力と想像力が身体のコントロールの柱となり、奏者は思う通りに演奏することができます。
自信を持つこと、および肉体と精神のバランスを保つことはとても大切なことです。
ニューアプローチでは奏者が自由に弾くために、常に生き生きとしたリズムの脈動を持つことと、「ヴァイオリンなし保持法」、「弓なし保持法」に代表される、筋肉の力に頼らずバランス感覚に焦点をあてた奏法が提唱されています。
また、右腕は2種類のスウィングする動きによって、あらゆるボーイングテクニックを説明し、左手のバランスの取れた踊るような動きは、音色作り、音程、ヴィブラート、ポジション移動、重音、移弦すべてをカバーし、奏者を緊張や心配から解放します。
このアプローチは、演奏時のあがりや、精神的恐れを手放すのに役立つばかりか、演奏動作の酷使によって身体に痛みが出てしまった奏者にも大きな効果を上げています。また、入門から上級まであらゆるレベルの奏者に適応可能な素晴らしいアプローチです。
カトー・ハヴァシュ プロフィール
(2019年1月15日「the Strad」誌記事より)
ハンガリー人ヴァイオリニストでヴァイオリン・ヴィオラ教師、「ヴァイオリン演奏への新しいアプローチ」を掲げて身体的な怪我の予防とあがりの除去に貢献したカトー・ハヴァシュ氏が亡くなった。98歳であった。
カルパティア山脈のふもとの小さな村トランシルヴァニアに生まれ、文字を覚える前に楽譜を読んだ。
最初についたヴァイオリン教師は、あらゆる曲を、リズムに乗って手をたたきながら音名で歌わせ、それからはじめてヴァイオリンで弾くことを許した。
コロジュバールでの初リサイタルは7歳の時で、ブラームスのハンガリア舞曲、ドレスデンのフランツ・シューベルトの「蜜蜂」Op.13他を演奏した。
後にブダペストで、自分がコダーイメソッドで教わったのだと知ることになった。
ハンガリーのジプシーヴァイオリンに対する愛着は、「私が言葉を話す前から」だと回想される。そして、9歳の時には、友達の家に滞在中、わざとジプシーの子どものような汚い恰好でお客の前に現れ、家族が病気で生活を支えているとジプシー風の物乞いをしてから、数曲を演奏した。後で嘘を白状して、集めたお金を返そうとしたが、お客たちは、彼女の演奏の素晴らしさに満足して受け取らなかったという。「あれが、私のはじめてのギャラだったわね」と語った。
10代の頃は、ブダペストのフランツ・リストアカデミーで、高名なイムレ・ワルドバウアー教授に師事、バルトーク、コダーイ、ドホナーニにも出会い、彼女のはじめてのリサイタルにも現れた。そしてこの頃に、演奏へのプレッシャーを感じるようになり、身体的な影響が出てきたという。
17歳には、ニューヨークのカーネギーホールでデビューリサイタルを行った。このときには、精神状態が演奏の質に及ぼす影響をしっかり自覚するようになった。「楽器はすねてしまったようで、自分の左手も同じだった。」とこれに続くアメリカ時代を振り返った。幸運なことに、ハンガリー系のアメリカ人指揮者、ウジェンヌ・オーマンディーの紹介で、ヴァイオリニストのデヴィッド・メンドーザに出会い、彼から左手の自然な動きを学んだ。
それが最後のひと押しとなり、18年間に渡って3人の子育てをする間に、ハヴァシュ氏はヴァイオリンの教育システム「ニューアプローチ(新学習法)」を確立するに至った。ジプシーの自然の流れに従う奏法と、ワルドバウアーのメソッド、コダーイのリズミックパルス、そしてメンドーザの左手のテクニックらの影響が合わさった。
彼女のアイデアは物議をかもした。というのも、当時の奏者はまだ、評価を落としたり仕事を失う恐怖から、自分たちを疲弊させている痛みを隠そうとする気風があった。それなのに、ハヴァシュ氏が、そのような苦しみは避けられると公言したことは、伝統的な教授法を脅かすものだととらえられたのだった。
それでも、多くの奏者は、高名な者はお忍びで、自分の問題を抱えて彼女の元へ集うようになり、1960年にはボスワース社が、彼女に指導原則を執筆するようオファーした。本はたちまちにベストセラーとなり、世界中から多くの人が彼女の元でレッスンを受けるようになった。
国際的な講座ツアーも組まれ、生徒たちが実際に演奏で試しながらあがりの克服を経験できる場が求められたため、それは音楽祭へと発展した。ハヴァシュ氏の国際弦楽学校と連携したパーベック半島音楽祭である。また、ハヴァシュ氏はロンドンのローハンプトン音楽祭、オックスフォード国際音楽祭も設立したが、そのオックスフォードは、彼女が人生の晩年を過ごす地となった。2002年には、エリザベス女王二世の誕生記念叙勲にて、「音楽への貢献」を讃えたOBEを与えられた。彼女の書籍は、多くの言語に翻訳されており、「ニューアプローチ(新学習法)」は永遠に語り継がれるであろう。
出典:The Strad
https://www.thestrad.com/news/kato-havas-has-died-aged-98/8547.article
書籍に「A New Approach to Violin playing」(「ハヴァシュ・バイオリン奏法」ヤマハミュージックメディア「The Twelve lesson course」「The Violin and I」「Stage Fright」(『あがり』を克服する」音楽之友社)、DVD「A New Approach on the Causes and Cures of Physical Injuries in Violin and Viola Playing」などがあります。
カトー・ハヴァシュ協会公式サイト:http://www.katohavas.com/
日本でどのように学べるか
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カトー・ハヴァシュ先生のワークショップ動画(日本語字幕:石川ちすみ)
ハヴァシュ先生ワークショップ動画(2)「ぶら下がっている腕」
ハヴァシュ先生ワークショップ動画(3)「アレグロのボーイング」
ハヴァシュ先生ワークショップ動画(4)「上半弓のボーイング」
ハヴァシュ先ワークショップ動画(7)弓の震えと全弓のバランス
日本語書籍
ハヴァシュ・バイオリン奏法(石川ちすみ訳、ヤマハミュージックメディア)
※現在入手困難となっているようです。図書館などでお読みいただければと存じます。
それも難しい方は、一度石川までお問い合わせください。
「あがり」を克服する(音楽之友社)
入門教本「弓は踊る」「弦は響く」
ハヴァシュ式アプローチの基礎を入門から学ぶ教本です。中級者・上級者の基礎の見直しにも素晴らしい効果を発揮する、ハヴァシュ式を学ぶには、なくてはならない教本です。
グロリア・バクシャイエッシュ著
石川ちすみ 翻訳
詳しくは画像をクリック。
ハヴァシュ式アプローチ習得コース、指導者養成コース
レッスンを受けてしっかり身につけたい方は、石川ちすみによる、マンツーマンレッスンをご受講ください。ハヴァシュ先生の開講されていた12回レッスンの内容に準拠しています。
ハヴァシュ式デジタルレッスンby石川ちすみ
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DVD
英語になりますが、ハヴァシュ先生自信が、体系的にこの新しいアプローチの概要を解説、デモンストレーションされた、素晴らしい内容です。生徒さんたちも出演されています。
http://www.monicacuneo.com/teaching-video.html(英語のみ)
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