編集者への手紙〜ハヴァシュ式の何が新しいのか

パソコンを買い替えたのでメールを整理していると、「ハヴァシュ・バイオリン奏法」を出版したときに、編集者に私が送ったメールを目にしました。

ハヴァシュ式アプローチHNA=Havas “New” Approachの、何が新しいのかを我ながらうまくまとめていると思いました。

少し修正してここに引用します。

このアプローチはハヴァシュ先生が幼少期にハンガリーで出会った、あるジプシーとの出会いがルーツになっています。

そこが伝統的メソッドにはなかった点です。

ジプシーはレッスンを受けたり、いわゆる長時間の”練習”をしていないのに、ハヴァシュ先生の言葉によると「ハイフェッツの技術と、クライスラーの音色を併せ持つ」程素晴らしかったのです。

「なぜなのか?」ここからこのアプローチが生まれました。

私が思うに、これまでの権威的メソッドは、一握りの成功者と大多数の落ちこぼれを生むものであるのに対し、HNAは”その辺”のどんな人でも、ヴァオリンの美しい音を楽しむことができます。

このアプローチが普及すれば、一般のヴァイオリン教師の教え方が根本的に変わり、そしてあらゆるヴァイオリン発表会で聴かれる、あの耳障りなギーギー音がなくなると信じます。

私自身、以前は練習して来ない生徒についイライラすることがありました。それは従来のメソッドは、生徒が家で何度も何度も練習してきて、ギーギー音ながらある程度曲になってきたところに、教師が、「ここは、こうあるべき。ここの音が悪い」などとコメントして成り立っているものだからであり、全く弾けない生徒を弾けるように導くことは含まれていないからです。

極端な先生では、練習してこなかった生徒を、「それではレッスンできません」と怒って家に帰したり、「一人で練習しときなさい」とレッスン室から出ていってレッスン時間いっぱい一人で練習させた、というエピソードも聞こえてきます。

しかし、HNAを学ぶならば、そのような生徒でも、正しい練習法を教え込む良い機会とばかりに、その場で一緒に学ぶことができます。

生徒が練習してこようがこまいが、生徒を触発させて、その場で教えられることはいくらでもあります。

HNAで習った生徒たちがよく言うのは「レッスン室を出た時には毎回、違う自分になっている。決してレッスン室に入る前の奏者と同じではない。」ということです。

「ハヴァシュ・バイオリン奏法」書籍中にある、「精神を訓練する」というのはそういうことで、これまでの“繰り返し練習”の結果、手が覚える、という練習方法とは根本的に異なるからです。

もちろん、精神の訓練といえども、書籍にある通り、生徒が普段の生活でそれを何度も思い出して確認する作業を通して定着させる必要はあります。

「practice (練習)という言葉は大嫌い!」「これはmethod ではなく、approachなんです。」

ハヴァシュ先生はいつもおっしゃていました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です