幸福な奏者になるために
ハヴァシュ先生の教え、ニューアプローチの目的とは、チャンネルを変えるように、奏者が自分自身を苦しめてきた檻の中から出て、心地よく演奏できるフィールドに出てくることではないかと思います。
私自身、ハヴァシュ先生の本を読んだ段階で、そのチャンネルの存在を実感できたので渡英しました。
そして、レッスンを受けて、そのチャンネルに切り替える練習方法を具体的に習い、そのチャンネルで弾いていられる時間が増えました。
そのやり方を、今までざっと累計80人以上の方々にレッスンしましたが、そうしていると、教えている私自身がそのチャンネルのオンオフ感覚にどんどん敏感になっていきます。
今でも、油断していると「あ、旧来のチャンネルで弾いているな。旧来のチャンネルで考えているから辛いのだな。」と気がつくこともありますが、すぐにニューアプローチのチャンネルに戻って来られます。たちまち、心地よくなり、楽器はやさしく耳に響き、練習は創造的な作業になります。
「上手くなった」のかどうか、それは自分で自分の音を離れて聴くことができないので、わかりません。
しかし、その時点で、この上ない幸せさと充実感があるので、「上手い」かどうかは、どうでも良くなります。
「上手いかどうか」を、自分の出した音を聞いてチェックするという練習法ではなく、リズミックパルスに乗せた歌を、音と音の幅を感じながら左手基関節に落とし込んで楽器に吹き込むという作業を通じて曲のストーリーを勉強するのです。
このように発想に変えた瞬間から、楽器の音が歌い始めます。
指先が弾くのではなく、あなたが演奏するのです。
生徒の音を聞いていても、生徒がそのチャンネルで弾いた時は私も楽しんで聴くことが出来ますし、何らかの原因で旧来のチャンネルになると、聴く方も辛いものです。
弾くのも聴くのも心地よい、真に創造的に弾く奏法がニューアプローチではないかと思います。
ニューアプローチのレッスンやワークショップを受けていなくても、どなたでも実感していただける方法が一つあります。
それは、歌いながら弾いてみることです。
チャンネルが切り替わったの、わかりませんか?