「白旗の少女」
- 一夜明けて、台風の大きな被害が出ている地域もあるようですね。
- お見舞い申し上げます。
- 白旗の少女 (講談社青い鳥文庫)/比嘉 富子
- ¥609
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先日娘が、図書館で借りてきた本の中から、「お母さん、これ読んでみ。」と言って、手渡してくれたのが、「白旗の少女」でした。
表紙で白旗を持って手を振る少女は、沖縄戦にて6歳にしてたった一人で戦地をさまよっていた少女を米軍カメラマンが撮影した写真です。この少女自身、比嘉富子さんが綴ったのがこの本です。
この写真の時から数十年後に大人になった比嘉さんが偶然にこの写真出会ったことから、辛くて封印していた比嘉さんの戦争経験にスポットがあたることになります。
幼少時から、戦後の写真をめぐるドラマまで、そして、彼女が見て体験した沖縄戦の悲惨さが、平易な文章でさらりと綴られています。
しかし、ご本人としては、書くのは、それは辛かったことと思います。
比嘉さんは、この写真を撮影したカメラマンにぜひ会って御礼が言いたいと、アメリカへわたって探し、そして後日ついに出会うことになるのです。
そして、その時に「なぜ、あなたはカメラに向かって笑っていたのですか」と訊かれたのですが、それに比嘉さんが答えた一文の真実に、涙が止まりませんでした。
そして、読み進んで行って、信じがたいような体験を読むに至り、本当によく生きてこられたと驚くと同時に、スピリチュアルな法則がしっかり働いていることへの感動を禁じえませんでした。
この方は、後の活動にて、多くの人に沖縄戦のこと、戦争の悲惨さを伝えるという大変な使命を霊界から授かられたのだろうと感じました。
私も、この本のおかげで、いままでよく知らなかった沖縄の地上戦の実際をリアルに知ることとなりました。本当に地獄絵図としか表現できない恐るべき状況、それが戦争の真実なのですね。
ところで、先日触れた9/7版婦人公論
の記事で、美輪明宏さんが、「戦前からの世の中の流れを見ていると、だんだんいい方向に向かっていっていると感じます」と書かれていました。これを読んで、ハッと目を開かれた思いがしました。
今の時代を「たいへんだ」と思いうこともありましたが、私たちは、先人の地獄のような戦争経験や焼土からの復興努力の歴史の上で、今の豊かな日本をいただいていて、そのバトンを託されているのだなあと感じました。
波長を落としている場合ではないと、改めて思いました。
そういえば、かつて、震災と原発事故の直後、沈みがちな私の家に、いつもと変わらない笑顔でお掃除に来てくれた、シルバー人材センターのYさん・・・・・後で知りましたが、Yさんご子息一家は福島県いわき市にお住まいで、やっと安否がわかり、避難所へ移られたばかりという状況でした。私だったら心配で何も手につかなくなってもおかしくありません。そんな時、「どうなるんでしょうか」とはいいつつ、変わらぬ笑顔で、強いオーラを放っておられました。それを見たとき、「ああ、この人はもっと苦労をしてこられたのだろうな」と感じ入ったものです。
話が脱線しましたが、「白旗の少女」(青い鳥文庫)、ぜひ親子で読んでいただきたいです。
小学校高学年以上がお勧めです。