レッスンの録音、そろそろやめませんか?
私も昔はレッスンを録音していました。
音大に入る前後、故T先生のレッスンを録音したカセットテープが、最後は段ボールいっぱいにたまっていました。
しかし、私が今の師匠について初めてのレッスンの時、録音の許可を求めると、黙って首をふられました。
その時は怖くて理由は訊けませんでしたが、今では師匠の言わんとするその理由がよくわかります。
今はカセットテープではなく、データレコーダーの時代ですが、私の生徒でも持ってきて録音している人もいます。
私は頭ごなしにダメとは言いません。人それぞれですし、こだわることも楽しいですよね。
しかし実は、初心者ならいざしらず、録音を聴く暇があれば、課題曲の鼻歌でも歌っていた方が上達には役立つのです!
録音を一通り聴くだけでレッスンと同じだけの時間がかかりますよね。
もったいないな~。
その半分の時間でも、レッスンで学んで得たインスピレーションに従って、新鮮な気持ちで楽器に触った方がずっといい気がします。
真面目な性格の人程、何かにしがみつきたくなります。
気持ちは痛いほどわかります。私もそうですから
しかし、音楽の本質は流れるものであり、生ものであり、即興的なものです。
その場その場で音を聴いて、それに反応していくという能力を磨かないと、先へは進めません。
録音は死んだ音。
CDなどの名演奏でも同じです。
CDとはアンサンブルできません。
録音は自分の出した音を聴いてくれないし、無反応で、どんどん行っちゃいます。
だから一緒に弾いても学びにならないのです。
私たちは人に伝わる弾き方を勉強しないといけないのです
また録音の弊害としては、レッスン時、「あとは家で練習してきます」と持ち帰ってしまいがちです。それよりも、その時にわからないことはわかるまで食いつく方がいいのです。
その場で吸収する、これが一番です。
また自分の演奏の録音を聴いてみると、「思ったよりはマシに弾けてるわ」とたいていは思うものです。だから、レッスンを受けて録音を聴いただけである種の達成感を感じてしまうことも弊害と言えるかもしれません。
あなたが初心者ではないのなら、そろそろ録音するのをやめませんか?
耳が開き、音に反応して弾ける自分になる第一歩かも知れませんよ。