開放弦で妥協しない

(この記事は過去のメルマガ35号からの転載です。)

今日は右手だけ、つまり開放弦だけで何の苦労もなく弾ける感覚を作ることの大切さについてです。

ハヴァシュ式ニューアプローチを初心者に教える際に使用するテキストは、Kato Havas “The Twelve Lesson Course” 並びに、グロリア・バクシャエッシュ先生の “Dancing Bows”です。
しかし、初心者ではなくても、技術的になんらかのつまづきがある場合、結局はじめから基礎をやり直す方が早いのです。
その意味で、ハヴァシュ先生の高弟で、小学生の手ほどきに実績がある、グロリア先生の教則本、”Dancing Bow”は私の生徒たちの必携本です。

ハヴァシュ先生の上記書籍(日本未発売)に、以下の記述があります。

==============
開放弦のボーイングの応用編

どうか、早く弾きたいと焦らないでください。それよりも、弾く前にきちんと準備をすることに慣れましょう。もし基本的なバランスを初期の段階で確立できていたら、すべてのテクニックはこのことの上に成り立つので、進歩は速くなります。

バイオリン演奏は我慢大会になってしまってはいけないと、よく覚えておいてください。それはむしろ、音楽を作るための楽しい手段なのです。これは、開放弦を弾くという最も初期の段階から始まるのです。「今はこんな音だけど、まあいいだろう。ただの開放弦なのだから。」と自分で納得してしまうようなことは、決してしないでください。なぜならば、美しい音を生み出すことは、バイオリン演奏のどの段階においても同じように重要だからです。そして、聴衆に与える喜びの量は、弾いているあなた自身がどのぐらい喜びを感じているかに比例するのです。私自身のことで言えば、初心者が喜びをもって開放弦を弾くのを聴く方が、もしそれが音楽的な可能性を総動員しているなら、他の誰かがベートーヴェンのコンチェルトをいじくりまわして何も生み出さないのを聴くよりもずっといいです。

“The Twelve Lesson Course” by Kato Havas (Bosworth and Co.,)
==============

ハヴァシュ先生がおっしゃっているのからもわかるように、開放弦の練習も、ただ自分の音をチェックしながら、もしくは練習メニューとして儀式的に、深刻な顔をしてビーーーーッと弾くのではなく、音楽の一部として、リズミックパルスの中で弾くことが大切です。
そして、技術的にも、「ハヴァシュバイオリン奏法」(ヤマハミュージックメディア 刊)で繰り返し注意を喚起されているように、移弦のときに上腕だけでコントロールするのを、開放弦の段階できっちりマスターすることが大切です。

この意味で前掲の、ニューアプローチのポイントが写真入り載っていて、開放弦だけの曲ばかりが載っているグロリア先生の本はオススメです。
購入は英語サイトで個人輸入になりますがこちらから買えますので、興味のある方はどうぞ。

http://www.music-made-to-measure.com/Dancing-Bows.html

生徒用と先生用がありますが、先生用を買うと、先生が弾くメロディーパートもついています。
自習される方は2冊購入されるといいと思います。
練習の仕方も詳しく載っているので、英語を頑張って読んでくださいね。