カトー・ハヴァシュ生誕100周年

来たる11月5日は、ハンガリー人神童ヴァイオリニストで、後半生は「ニューアプローチ」によってヴァイオリン奏者たちを力みやあがりからの開放して、幸福をもたらした偉大な教師、カトー・ハヴァシュ先生の生誕100周年になります。

98歳で亡くなる直前までレッスンされていましたので、「生きておられたら100歳のお誕生日」と申し上げた方が私にはしっくりくるのですが・・・。

 

お誕生日が近づくにつれ、先生の教えやお人柄に思いを馳せています。

先生から教わった数々の叡智、そして大きな励ましを忘れません。

 

先生はヴァイオリンや音楽への焼けつくような情熱をお持ちで、しかしそれ以上に、人の幸福を願うお気持ちが強く、音楽がその人を幸福にするように導かれました。

 

カトー・ハヴァシュ先生は、故郷のジプシー奏者の喜びあふれる演奏から学んだことをクラシックのヴァイオリン奏法に統合し、先生独自の「ニューアプローチ」を携えて、演奏のあり方を一から手ほどきされたのです。

 

ニューアプローチの効果は絶大で、先生の手にかかると、ヴァイオリニストにありがちな心配・不安はたちどころに解消しました。

書籍、ワークショップ、レッスンを通じて、多くの奏者の人生を変えられました。

 

力みや不安、あがりが生じる原因を徹底的に分析し、その解決法を端的に示されたことは画期的なことでした。

 

そして、何より、

 

「音楽とは人に与え奉仕するもの。

このことによって真の解放や喜びがある。」

 

このことから離れてしまうと、勤勉な努力も虚しい結果となります。

 

「すべての人には、才能がある。」

 

生徒を持つ身としては、このことを忘れないようにしたいと思っています。

 

ニューアプローチから学ぶことは無尽蔵で、私も未だにその恩恵に浴しています。

先生の生徒として、そして、ニューアプローチを後進に伝えていくものとしても、感謝の気持ちでいっぱいです。

 

(写真:ワークショップをするカトー・ハヴァシュ先生)