ヴァイオリンコンクールの夏

毎年、夏休みの時期はヴァイオリンのコンクールが花盛りの季節です。

一番有名かつレベルが高いのが「毎コン」と呼ばれる全日本学生音楽コンクールですが、その他にも、関西弦楽コンクール、大阪国際音楽コンクール、子どものためのヴァイオリンコンクール、日本芸術協会コンクール、など、様々なコンクールがあります。

コンクールというのは、発表会やコンサートとは全く違い、「減点方式」で採点される、厳しいステージです。

多くの参加者が同じ曲を延々と演奏しますが、あまりに長くなるので、曲も「ここからここまで」とカットが指定され、最後まで気持ちよく弾ききるというものでもありません。また、演奏会ではないので拍手は禁止されており、「シーン」とした会場で弾かなければなりません。

このような恐ろしい場所に生徒を出場させることについては、以前はあまり気が進まず、興味も持っていなかったのですが、最近になって、特定の生徒のためには、あるいはいいかもしれないと考えるようになりました。

そう思うきっかけになった生徒Tくんは、昔から「大きなホールで弾いてみたい」と言っていました。天真爛漫に音楽を歌う力があり、技術の取り付きも良い、才能のある生徒です。しかし、まだ『夢見る少年』という感じで、真剣さに欠けています。コンクールにエントリーすると彼が望むとおり一流のホールで弾くことができます。またうちの門下だけの狭い世界ではなく、レベルの高い他の生徒達を小学生のうちに見ることは、Tくんには良い刺激になるのではと感じました。

残念ながらお家の都合で彼は出場を見合わせることになりましたが、別の生徒で将来出たいと思う子がいるかもしれず、向学のために今年はできるだけ色々なコンクールを見に行く予定をしています。

かつて、音大を目指していた頃、他の方のレベルが知りたくて、毎コンの予選などよく見に行きました。

正直言って、あまりに上手な人があまりに沢山いることに、がっくりと肩を落として帰ってきた記憶があります(笑)。

今年、初めて指導者としてコンクールを見て、どのように感じるのか、楽しみです。