吉岡たすくさん「あきらめないで お母ちゃん」

いつもコメント下さる五十六さんからの推薦で、吉岡たすくさんの本を読みました。

あきらめないでお母ちゃん―吉岡たすくのショート・ショート講演/佼成出版社

¥1,470

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小学校教師としての深い経験や、ご自身が早くにご両親をなくして苦労された経験をお持ちだからか、行間から人への愛念が溢れ出ています。

この本は、吉岡先生が全国を周りながら、子育てに悩むお母さん方へ講演されたお話を本にしたものです。

子ども達の瑞々しいエピソードを交えながら、笑いあり涙ありの講演。参加したお母様方は心がほぐされ、感動し、また子どもを育てていく力を得て帰られたことでしょう。

その空気が伝わってきて、私も一緒になって講演を聞いているような気持ちになりました。そして、心が温まり、時には涙が出てきました。

素晴らしい方がおられたのですね。

印象に残ったお話を箇条書きにします。

・人前でうまくしゃべれたときや、運動会で一等だったなど、ほめたいとき、「偉い」といわずに、「よく言えた」「よく走った」と言う方が良い。

・子どもの頭の中は工事中。走り回る、さわりまくることで世界を広げている。お利口にできなくてあたりまえ。工事中のものは使えない。工事が終わったら使える。だから、工事中の時は詰め込まない。工事の規模が大きいほど立派になる。小さいのにそつない方が心配。

・幼児期の「どうして?」の質問攻めには、知識を答えるのではなく、「どうしてだろうね。あなたどう思う?」と考えさせて答えを待ってあげる。そして、美しいものは一緒に美しいと言ってあげる。

・子どもには黙って尽くすだけで充分伝わる。「あなたのため」と言わない。

・子どもが求めたときに対応できるのが教育。今は子どもの数が少ないので、親の目が行き届くから世話をしてしまう、世話をするから、子どもが受け身になる。受け身になるからやる気が持てなくなる。

・子どもは身体で覚えながら成長する。落ちても骨折程度ですみそうな高さなら注意しない。命をおとしそうな時だけ止めるぐらいがいい。

・「○○やりなさい」と親が言うのは、全く効果がない。しかし、言ってもいい。なぜなら言わないで我慢すると親がノイローゼになるから。ただ、教育にはなっていないということを心に留めておく。お母さんが「勉強しなさい」とひと言いうより、お母さん自身が勉強している姿を見せる方が説得力がある。

・子どもの目を見て話すこと。子どもが目をそらすときは、どこかおかしいと思って間違いない。

講演の最後には、いつも黒板にお母さんへのお願いを書かれていたそうです。

それは、「ぬけているお母さん」「明るいお母さん」「あきらめないお母さん」。

母たるもの、太陽でなくては、と思いつつ、なかなかそうはいかない日々ですが、こういう本を読むと、たくさん愛をいただいて、元気が湧いてきます。

お父さんのエピソードもたくさんでてくるので、子育て中のお父さんにもお勧めです。

※多数の著書がありますが、残念ながら絶版のようです。私は図書館で借りて読みました。しかし、何度も読みたくなる本なので、アマゾンで中古本を買おうと思います。