生徒に「簡単だ!」と思わせなければならない〜【追記あり】
本当に進歩するときというのは、楽しくて夢中になっているうちに勝手にできるようになったときです。
「難しそう」と感じた時点で負けています。
ヴァイオリンの生徒にも「簡単だ!できる!」と思わせなければなりません。そこが教師の腕の見せどころです。
先生自身が「難しい」ことを教えているのだと思うと、それが生徒にも伝わり、その時点で生徒は拒絶反応を起こします。潜在的に「これは難しいから、私はやらなくていいのだ。」と思ってもおかしくはありません。
ただし、「努力しなさい!」「練習が足りない!」「上を目指せ!」と連呼して、競争心や自負心で引っ張るというのが、日本の一般的な塾や習い事の、イヤなもっていき方です。
生徒や親も、真面目な人ほどその風潮に染まってしまっています。
でも、そうやって引っ張って伸びる人は一握りの生徒に過ぎず、また引き上がるレベルも知れています。
本当に人が次のステップに飛躍するときというのは、「一瞬」で理解が起こるのです。
すごく感動する、嬉しい瞬間なのです。
そして、それが起こるには、優れた指導者が不可欠です。
生徒の求める心と指導者との化学変化とも言えます。
最近、楽典の教え方を模索する中で、私に「調号を覚えるのなんて簡単だ!」と思わせてくださった作曲家で教育学者の先生がいます。
恥をさらすようですが、私自身が、5つ以上の調号の調性をパッと言えませんでした。
でも、「簡単だ!」ということがわかり、一日で覚えられ、生徒に教えていく自信がついてきました。
さあ、これから、「開かれた五度圏(※追記参照)」を生徒に教えたいと思います!!
手作り教材↓
このやり方を教えてくださった芦塚陽二先生のサイト:
http://music.geocities.jp/ashizuka_sensei/ashizukasensei.htm
【追記】
昨日、この記事のタイトルを「生徒に「簡単だ!」と思わせなければならない〜開かれた五度圏の教え方」としていたら、コメント欄より、芦塚先生からその使い方が間違っていると教えていただきました。さらに発展して、貴重なレクチャーをしていただきましたので、以下に記事の一部とします。(2/17)
- 開かれた5度圏について
通常は5度圏時計と言い、開かれた5度圏とは、別の意味になります。調律でも、同じなのですが、12時のCの音は、純正調では、octave上の音は基音のCの音よりも少し高くなります。つまり所謂、spiral(蚊取り線香)のように・・です。baroque時代には、分割鍵盤と言って、そのspiralに対応した鍵盤がありましたが、ロマン派の時代から管楽器の発達によって、純正調の概念が失われるようになって、閉じた5度圏のみが現代に繫がっています。
- enharmonic(異名同音)
ちなみに、この時計の5時から7時がenharmonic(異名同音)の調と言って、古い作曲家達がCembaloの調(若しくは、臨時記号)と、melodieの調を混同させて書く事がよくあります。純正調的には間違いなのですが、(純正調で弾くと、もろ、音の違いが出て、同じ音でもぶつかって不協和音が鳴ったりする事があります。)時代がKirnberger調律等の平均律よりになると、そういった調の混同をしたままに、曲を書く場合がよくあります。(異名同音を同時に使用する・・という意味です。)
- 5度圏の覚え方
日本音名での5度圏時計のお話ですが、12時=0時なので、調号がないハ長調です。しかし、日本音名で#圏に行くと、1時(#一個)から、順番にト、ニ、イ、ホ、ロ、纓ヘ、纓ハとなり、ハは所謂、enharmonicのハ#になります。と言う事で行き詰まって、次に12時=0時から♭系に時計回りとは逆回転をすると、♭一個から、ヘ、変ロ、変ホ、変イ、変ニ、変ト、変ハとなります。これを続けると、所謂、5時から7時に掛けて、先程の開かれた5度圏が始まります。勿論、その先を(開かれた5度圏として・・)続ける事も可能です。
- 異名同音
開かれた音にも関係しているのですが、Vitaliのchaconneの冒頭の和音の二個目の長三和音はdominantの和音ですが、純正の和音で取る場合には、第三音はpure三度として、かなり低めに取らなければなりません❗しかし、violin-soloのf#は、導音なので、かなり高めに取らなければ不自然になってしまいます。つまり、同じ和音上で純正のf#と、導音のf#が同時に響いているのですが、その音だけをpichupすると、とんでもない響きがするのですが、音楽の流れとして聞いているので、誰も気付きません❗これも錯覚なのです。