”羽ばたきエクササイズ” 想像力に訴えるヴァイオリンレッスン
元チェコのコンミス、ヴァイオリニストの山﨑千晶先生が、拙訳ヴァイオリン教本「弓を踊る」のエクササイズを生徒さんに試されて、記事にしていただけました。
動画も活用いただいているようで、大変光栄です。
(読者限定動画ページには、先日、最もご理解が難しいと思われる、中〜先弓「ブラーン・ブラ〜ン」のエクササイズ動画もアップしたばかりです。これからも皆さんの進度に送れないように、動画をアップしていきます。)
千晶先生がチェコの良い先生のことを書かれていましたが、私を含めて日本人は、ついつい効率優先で、せかせかしがちです。
また責任感がありすぎて、教師セミナーでもご質問が出ましたが、「こんなゆっくり進んでたら、お月謝もらってるのに親が納得しないのでは?」などと余計な心配をしてしまったり・・・。
著者のグロリア先生に私は「Work Spacy!」(空間をたくさんとって、ゆったりと取り組んで!)と注意されたものです。
ヴァイオリンのように微妙なコントロールを要求される楽器は、まずは身体が脱力してくつろいだ状態になっていなければなりません。
一方で、よく我々が使ってしまう、「頑張って」「遅れないで」「しっかり弾いて」「正確に」「まっすぐに」「練習して」などという緊張系の言葉は、この状態になじみません。そういう言葉をかけるだけで、生徒の身体が緊張することが見て取れることもあります。
ですので、難しいですが、なるべくそういう言葉を使わずに、「ゆるむ」「ゆれる」「そらをとぶ」「スウィングする」「ゆらゆらする」「飛んでいく」「強力なリズミックパルス」など、良いイメージを喚起させる言葉に言い換えるよう心に留めています。
これはハヴァシュ先生の書籍にも書かれています。
また、著者のグロリア先生はレッスンでよく、生徒の演奏の後、「どうだった?」と生徒自身に尋ねます。これもとても素晴らしいことだと思います。
ついつい、教師ばかりがコメントしがちですが、そこをぐっとこらえて、生徒に聞いてみると、意外なぐらい本人が問題点を理解していることもあります。そこからそれに答える形でアドヴァイスすると、生徒の聴く態度や吸収力も変わってきますし、レッスンが一方的ではないものになります。
また、生徒の答えが、「さっきより楽に弾けた!」だったら結構なことです。
この時は、少々のことは目をつぶってもいいと思います。
一つ改良したら楽に弾けるようになった、という実感を積み上げていくのが大事だと思います。
これが、生徒が一人のときに、考えながら練習、つまり自分で自分にレッスンできることへと繋がっていきます。