譜読みの方法

「残念なことに、こういう身体の使い方で弾いている人が多い。
まず書かれた音符を見る。楽器でその音を出す。耳で聞いて修正を加える。
しかし、正しい手順は逆なのだ。
書かれた音符を見る→音を思い浮かべる→実際に音を出す。
このプロセスですれば、音を修正する必要はほとんどなくなる。」
(コダーイ)
(出典:「あがりを克服する」カトー・ハヴァス著 音楽之友社)

さらにコダーイが言うには、音符が楽器の扱いや指使いなど物理的・物質的
な連想にだけ結びついているようではいけないと。
音のイメージはもっと自由に存在するべきで、そのためにも楽譜を階名で読
むことが大切。

ここで言う「階名」とは、移動ドのことです。
コダーイシステムでは、階名で歌わせたり、ハンドサインと言って、ドレミ
に対応する指のジェスチャーを用いて、それを実感させる方法をとるようで
す。
私はちゃんとコダーイシステムを勉強した訳ではありませんが、そういう風
にすると、メロディーの中での音の役割を意識した表現ができるだろうとい
うことは理解出来ます。

しかし、階名で歌わせるという点についていは、ハヴァス先生は、長年の経
験から、音名で歌わせても十分効果があり、ヴァイオリンでは英語の音名、
つまり固定ドで歌うように指導されています。
楽器奏者が階名で歌うのはちょっと無理がありますからね。

ただし、私も基本「ドレミ」と固定ドで歌いますが、楽譜を覚えるときに、
覚えにくいところは、移動ドで捉え直すようにしています。
つまり今何調で、その音が第何音なのかということが感覚的にわかっていな
いと「覚えにくい」となるのだと思います。だから、意識して理解すること
も必要です。

生徒にはここまではさせませんが、楽典を勉強するように奨励し、レッスン
でも出来る限り教えています。

話を元に戻しましょう。
要するに、楽譜に書いてある音を機械的に指に置き換えて指を動かすという
練習は良くないということです。

まずは一日に5分でもいいので、音を出さない練習をしましょう。
集中力が上がってきたら、時間や分量を増やしていきます。

やり方はこんな感じです。
楽譜の最初をジッと見ます。

調性、拍子、テンポ、ディナーミック(強弱)はどうなっているという、曲の4大
要素を把握します。
次に、最初のフレーズはどこまでつながっていて、最小の単位ではどこで切れて、
どのような雰囲気か、それはメロディーなのか、ハモりなのか、和声なのか、伴奏
型なのか、はたまたメロディーだとしたら、自分が最初にそれを提示するのか、
それとも他の楽器が弾いていたのを引き継いでいるのか、などなどを理解します。

次に、手を叩きながら心の中で聴く。(音がわからなければピアノを弾きながら歌う)
次に手を叩きながら歌う。

こういうことをやってから自分の楽器で弾きます。

めんどくさ~と思われるでしょうが、結局がそれが一番近道の譜読み方法です。
間違った表現の練習をしたり、不必要な細部にこだわったりという失敗を防ぐし、
音楽的で実りのある練習になります。

私も長年その失敗を犯し続け、ずいぶん時間を無駄にしてきました。

本気の方は、今から切り替えましょう。
夢に届く日が、より近づきます♪