週末の生徒たち〜バッハ無伴奏は音幅の宝庫

毎週土日は、一週間の仕事を終えて楽器を抱えて通って来る生徒が、たくさん来ます。

 

アマチュアオケで長年弾いてきたけれど基礎を見直したいと、数年前からレッスンに来ている生徒Bさん。フルタイムで働いていて、月2回(時には月1)回のレッスンなので、毎回60〜80分の時間をとってじっくりレッスンしています。

まずは、「弦は響く」から幾つかのエクササイズと曲をやりました。左と右との連携に課題がある生徒ですが、この教本でその部分のスムーズさを確認・強化します。

次に、スケール。全調をめぐる旅の半ばで、As durでした。まずは、どことどこが半音になるかを確認し、その後左手で歌いながらマイムです。二つづつスラーで四分音符の長さでゆっくり弾きます。エックレスは終楽章を持ってきていましたので、始めてレッスンしました。弓使いがうまくいかないと質問があり、問題の箇所から弾き方を一緒に分析していきます。使う場所や量を整理して、右手のマイム。次に左手の弾き方を分析して、左手マイム。次に両手マイム。次に弾いてみる。これを一小節単位、もしくは1〜2拍単位でやりながら解決しました。質問に一通り答えたので、冒頭から順にやりました。一応最後までやりたかったので、マイムの方法を工夫し、楽器を構えて弓を乗せたまま、一小説分を歌わせてからすぐに弾くを繰り返していきます。強力なパルスを感じれば、歌うだけでも弾けてきます。うまくいかないと楽器と弓を下において、マイムで弾き方や弓の場所を整理して、再度構えて歌って弾くの繰り返しで、最後まで行きました。細切れであっても、一度でもきれいに弾けたら、身体はちゃんと覚えています。家でも再現できることを励ましてレッスンを終わりました。

Bさんはエックレスのソナタを全楽章、来年の発表会で弾きたいと、目標にされています。

それには、クリスマス会で一・二楽章だけでも弾いてもらえればベストだなと考えています。

 

Cさんは、書籍を読んで入門してきた上級者で、友人とのカルテットでファーストヴァイオリンを弾いています。フルタイムで忙しく働きながらも、1年間毎週のペースで通ってきたので、ハヴァシュ式の基礎は一通り伝えることが出来ました。最近は、バッハの無伴奏とカルテットの譜面をレッスンしています。先日はまず、曲に先駆けて、「ハヴァシュ式基礎練習楽譜」から重音のエクササイズをしました。音幅はすでにわかっている生徒なので、楽器と弓を構えた状態で、歌ってすぐ弾く練習の仕方を教えました。アップのボーイングの動きに問題があったので、「弓は踊る」の復讐を少しやって改善させました。その後、バッハのg moll のソナタのAdagio(冒頭の曲)をしました。これは、ゆっくりのパルスにたくさんの音符を入れるのが難しく、まだ躓いていましたので、たくさん一緒に歌いました。そして、重音の弾き方について、右、左で分析してきれいにできるまで一つ一つ取り出してレッスンしました。この曲はCさんにとっては未経験の色々な要素があるので、本人は「弾ける気がしない」と引き気味でした。そうは言っても、歌えているし、美しい音で弾けてきています。そして、何より、彼女に良い勉強になっていると今のところ信じて教えています。今日は、Ddur (間違えました。10・17追記)d mollに解決するところまでやりました。

 

Tさんは、私の最も古い生徒で、私が神戸でレッスンを始めて間もないころ、ハヴァシュ先生のアプローチを取り入れるずっとずっと以前から来てくれて、手ほどきから育てた大人の女性です。二人の育児をしながらフルタイムで働いているので、外部での活動などはしていませんが、自分なりに目標を立てて、弾きたい曲をどんどんレパートリーにしています。前回の発表会ではヴィタリーのシャコンヌを見事に弾いたのですが、その後、バッハの無伴奏パルティータ3番のプレリュードをして、今回は、ガヴォットのレッスンの2回目でした。レッスンでは、曲に先駆けて、重音のスケールを少しだけ。6度に加えて、曲にたくさん出てくるので、5度もやりました。重音を磨いたところで、前回の続きからスタート。歌って、マイムして弾くを細切れに繰り返し、問題を分析していきます。最後まで行った後、冒頭から通して弾いてもらいました。次の曲に行きたいかどうか本人に尋ねたら、まだもう一回やりたいと言ったので、次回もう一度レッスンすることになりましたが、次々回の曲を決めるためのアドヴァイスをして終わりました。80分近くのレッスンになりました。

ちなみに、この曲はハヴァシュ先生のワークショップに行った時に、ワンポイントアドヴァイスの時間に受講生が弾いていました。ハヴァシュ先生は、とにかくこの曲は椅子取りゲームみたいな(?)余興のテーマソングなのだと指導され、「ゲームなんです!」と繰り返しおっしゃって、軽快でおどけたような曲調を理解するように指導されていました。

 

バッハの無伴奏がここのところ重なっています。

バッハは、左手のあらゆる音幅の宝庫で、とっても勉強になります。

しかも、美しい!!

飽くことのない素晴らしい教材があって、ヴァイオリン奏者は幸せです。

プロでなくても楽しむことはできますよ。