ヴァイオリンで身体が痛い、どうしたらいい?

ヴァイオリン、ヴィオラの奏者の悩みの一つとして、身体の痛みがあります。

軽微なものなら、肩こりや背中の痛み、腰痛、首の痛みなどです。それでも辛いものですが、さらに進むと、腱鞘炎、テニス肘、顎関節症、背中の痛み、ジストニアなど、生活にも支障が出てしまうことがあり、楽器を断念する方も少なくありません。

ヴァイオリンと真剣に向き合ってきた方にとっては、身体の痛みという肉体的苦痛にとどまらず、ヴァイオリンが弾けなくなるという社会的損害、そして「せっかくここまで頑張ってきたのに」「自分の弾き方が悪いのだろうか」という精神的な苦痛は甚大です。

 昔は、ヴァイオリニストが手が痛くて弾けないというのは「恥」とみなされて、皆隠してきました。そして、それがますます病状をひどいものにしてきました。

 今でも、良心的な指導者であっても、生徒が腱鞘炎になってしまったら、休ませるしか、なすすべもありません。

 そして中には、「手が痛いぐらいで合奏を休むなんてあり得ない」「やり方が悪いからよ」など、的外れなハラスメントをする指導者すら存在するのは、残念なことです。

そもそも、ヴァイオリンの練習時間はどれぐらい必要か?

 これに関しては、練習時間は多い方がいい、という都市伝説がありますが、必ずしもそうではありません。

 無意味な繰り返し練習は、身体に負担をかけるだけではなく、精神的肉体的力みを生むことにもなります。

 どのぐらいの時間練習するかよりも、その中身が大切なのです。

 私がおすすめの目安は、弾く曲の長さの3〜4倍程度の時間です。

 つまり、初心者で合計3分程度の課題だったら、10〜12分。
中級で5〜6分ぐらいの曲と基礎練習課題で合計10分なら、30分〜40分。
上級で曲20分、基礎練習課題と合計30分なら、1時間半〜2時間。 
 リサイタルするとか、オケの本番の曲などで、コンサート2時間分ぐらいのボリュームをお持ちなら、6〜10時間かかっちゃいますが、1日にそんなにするのは身体への負担が大きいので、日を分けてやります。

 そして、本当の達人になったら、練習時間は曲の長さそのものだけで十分になります。しかも、毎日もすると飽きてしまうので、時々でいいです。

 もしあなたが、身体がいたのを我慢して、上記の時間以上の練習をされているなら、すぐに中身を見直し、練習時間を減らしてみましょう。それだけで、痛みは改善すると思います。

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 それが、ハンガリー人神童ヴァイオリニスト、カトー・ハヴァシュ先生です。

 ヨーロッパでは、身体を痛めてしまったプロ奏者が、お忍びでおとづれ、再生をはたしました。

 1960年代から世界を静かに席巻した、カトー・ハヴァシュ師のニューアプローチでは、繰り返し練習や、力みを最大限に取り去り、これまでのような身体を痛める無機質な繰り返し練習をやめて、もっと創造的で身体の理にかなった学習法を提案しています。

 カトー・ハヴァシュ氏の「あがりを克服する」「ハヴァシュ・バイオリン奏法」の書籍に詳しく書かれています。こちらもぜひご一読ください。

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