心の耳の訓練

想像力を鍛えることの大切さを、最近しみじみ思います。

長時間練習しているのに、想像力が乏しいまま育っていない生徒が時々見られます。
このような生徒は、指の痙攣やあがりに悩みがちです。
また、想像するのを面倒がる生徒もいます。
やはり、上達は遅くなり、身体がこわばりがちになります。

あがるとは、美しい音楽を心の耳でありありと聴くという想像力が停止して、恐怖にとらわれている状態です。

普段から心の耳を訓練する練習をとり入れることで、ヴァイリンを弾くのに必要な想像力は育てることができます。

例えば、さあ練習しようというとき、何も考えずに楽器の音を出さないこと。
楽譜を前にして、今から弾くパッセージのごく短い部分を、なるべく正確に美しく、心の中で鳴らします。
次に、ピアノで最初の音を弾いてみて、ピッチがずれていたらもう一度、心で聴き直します。
次に、手を叩きながら、声を出して歌います。

このように想像する習慣をつけて行きましょう。

他にも、次のような練習もあります。

ピアノで中央のドの音を鳴らす。
心でレを想像して声に出す。
ピアノで再度ドを弾いて確認。
次にそのドを聴きながらミを想像する。
ピアノで再度ドを弾く。
心でファを想像して声に出す。

これを8度上のドまで続けた後、今度は上のドをピアノで弾いて、シを歌う、という風に下に下がって中央のドまでやります。

ゴールは、舞台で弾いていても、精神は音楽を次々と生み出すのに忙しくて、あがる暇がない、という状態になることです。

もちろん、このことと合わせて、身体的にバランスによる合理的な奏法を身につけることも不可欠です。

上記の練習法はすべて、下の本に出ているものです。

「あがり」を克服する―ヴァイオリンを楽に弾きこなすために/音楽之友社

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