私の音楽履歴書(音大に行く決心)

前回記事:
「私の音楽履歴書(ヴァイオリンを買う)」

W先生は品のある美しい言葉使いで話されるご婦人で、小さい子どもの生徒さんを大勢指導されていました。

そして、生徒を集めて弦楽アンサンブルを結成して、合宿練習や依頼演奏など活発に活動されていました。

大人になってからヴァイオリンを始めるという私を寛大に受け入れていただき、会社勤めをしながら、木曜の夜にレッスンに通う日が始まりました。

W先生の下でレッスンや合奏に参加させていただいたのは、振り返れば1年程なのですが、とても信じられないです。3年ぐらいはあったのではないかと思い、何度も確かめる位です。

楽器を弓でこすったら音が鳴る、それだけで楽しくて嬉しくて、平日夜は金属製の重い弱音器をつけて、休みの日は弱音器を外して一日中、弾いていました。

教本は、「篠崎ヴァイオリン教本」の1巻から4巻の初めぐらいまで、一年間でざーっと教えていただきました。

合奏のレッスンはとても刺激的で、ヴィヴァルディ「春」などでソロを弾く小さい先輩達の音を聴き、ヴァイオリンとはこのような音が出るのかと感動したものです。

今でこそ、大人からヴァイオリンを始める人はたくさんいますが、当時はそんな人はどこにもおらず、門下も子どもばかりでした。

そんな小さい子ども達に混ざって夏の練習合宿に参加したりもしました。

また、ゲームを作る仕事をしていた私が、ヴァイオリンの子ども達にゲームのモニターになってもらって、会社で皆でゲームをしたことなど、この頃の思い出はつきません。

それもこれも、W先生のあたたかくおおらかなお人柄あってのことだったと思います。

私といえば、礼儀を知らない、悪い生徒でした(泣)。一度などは会社で仕事に没頭していてレッスンのことを失念してしまい、夜もふけてからお詫びのお電話をしたり・・・。

レッスンの謝礼をちゃんと封筒に用意せずに、生でお渡ししたり(汗)。それどころか、「お釣り」をもらったり(爆)。

振り返って、恥ずかしく、申し訳ないことばかりです。

どうか、皆さんは真似をなさらないように(笑)。

先生というのは、生徒が思っている以上に、生徒のことに心を砕いて、レッスンに来るのを待っています。また、人生をかけて得た技術をプライドを持って教えてくださっているものです。その先生に対して、生徒の側が最低限の心配りもしないというのは、いかにも悲しいミスマッチです。音楽教室等で、事務方にレッスン料を渡すのとは意味が違います。

しかし、今では自分の過去を棚に上げて、というか深い反省により、同じようにする生徒に言い諭す立場になっております(笑)。

そんな私が、ある日突然、先生に「音大に入るために勉強したい」と言い出したのでした。24歳だったと思います。

大人になってからヴァイオリンを始めて、指も身体も硬くて、思うように上達しない自分、しかし精一杯に勉強しているとは言えないことを考え、「音大に入って勉強したい」という強い思いが芽生えてきたのです。

何より、合奏のときにソロを弾いていた、音大を目指していた子ども達に刺激を受けたことが大きなきっかけでした。

合奏に参加していなかったら、このように思わなかったと思います。

それと、当時の私には「自分の働いたお金で学費を払おう」というほどの気骨も甲斐性もなく、両親の援助と理解のおかげで、このようなことが可能となったことも申し添えなければなりません。

そんな私の相談に、先生はこう言われました。

「子どもの生徒の場合は、才能のあるなしがはっきりわかるのだけれど、正直言ってあなたは大人になって始めているので、よくわからない。でも、そのように真剣にやりたいと思ってくれたことを、嬉しく思う。」と。

「無理です」とか「やめた方がいい」と言われても当然のところ、おおらかに喜んでくださった先生には、感謝でいっぱいです。


追記(2014/5):実は、これに後日談があります。先日10年以上ぶりにお目にかかったとき、「あなたが音大に行きたいと言った時には、私反対したわ~」と、おっしゃっていたのです!えええ~?心では反対されていたのかもしれません。私は全くそのように受け取っていなかったので、どんだけKYだったのか(笑)。

そして、W先生は「そういうことならば、この先生に教わるように」と、某音大教授のK先生をご紹介くださいました。


ここから、私の「プロ」コースでの修行が始まりました。ここからが、本番、イバラの道です!!

To be continued..


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