私の音楽履歴書(ヴァイオリンを買う)

東京でのロックバンドの活動もこれからというとき、腰を痛めてしまいました。

私の担当していたベースはとても重いので、まずは運搬するのが苦痛になり、メンバーに持ってもらったり、キャスターを付けて転がして歩いたりとごまかしていましたが、ついに演奏することも苦痛になってしまいました。

ちょうどそんな時、自分の中にあるものだけで曲作りをすることに行き詰まりを感じていたこともあり、何かメソッドのある勉強がしたくなっていました。

そして、昔からの憧れであるクラッシックの弦楽器をやりたい気持ちが高まりました。チェロなどはベースと似ていてとても興味がありましたが、楽器が大きいので腰痛持ちでは運搬が無理だと諦め、軽い気持ちで、ヴァイオリンにしようと思ったのでした。

大学卒業後IT関係の会社に就職した年、ヴァイオリンを購入しました。

無謀にも一人で御茶ノ水にあるヴァイオリン店に乗り込み、店員さんにいくつか試奏してもらい、10万円ぐらいのチェコスロバキア製のセットを選びました。

その値段ですので、当然機械プレスのテカテカの楽器で、弓はボヨンボヨンでした。

これが私が最初に手にしたヴァイオリンです。

自分が楽器を弾くこともできない素人が楽器屋さんに一人で買いに行くというのは、のちの音大の先生によると「鴨が葱しょって来たようなもの」です。

また、この楽器を持ってレッスンに伺ったはW先生は、その時こそ「値段の割りに良く鳴るわね」などとお世辞でおっしゃったのですが、のちのちに、「あなたが最初に持ってきたあの楽器、あれはひどかったわねえ・・・!」と告白されてしまいました。少なからずショックでしたが、言っても仕方がないことを言わずにとどめ、ひどい音を我慢してレッスンしてくださっていた先生の大人な配慮をその時初めて知ったのでした。

皆さんは真似をなさらないようにしてくださいね。

できることなら楽器は、よくわかった人にお世話してもらうか、お店についていってもらいましょう!

そして、そのように買うことが出来たなら、先生に感謝しましょう。

しかし、最初の先生を紹介してくださったのは、その楽器店の店員さんでした。

見るに見かねたのか、「誰に習うのですか?」と聞かれ、「独学でとりあえずやる」と言った無知な私に「それは無理です。他の楽器ならともかく、ヴァイオリンだけは、それは無理です。」ときっぱりおっしゃいました。そして、名簿をめくり、当時私が住んでいた下北沢の先生の連絡先を教えてくださいました。

それがW先生です。

私は素直にアドヴァイスにしたがって、すぐにW先生にお電話しました。

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