【追悼】KHインタビュー(2)〜天にも登るような発見!ニューアプローチの誕生〜

 

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彼の影響で、弾いている時、もしチコならどんな風に弾くのかなと考えるようになったわ。そして気がついたの。いいですか、私達ヴァイオリニストのあがりは、不自然な動きをしなければいけないところから始まります。ヴァイオリンを構えると、大きな視覚的な錯覚が起こるのです。無垢で優美に横たわっているように見えたヴァイオリンが、突然怪物のように、黒くて長い指板を携えてきて、そこに手首を左に捻って指を押し付けなければならないのです。楽器を掴んでいないと、落っことしてしまいそうです。それはまるで怪物で、その上に弓も持たなければいけない。私は幸運でした。小さい頃に始めたからこういう問題はおこらず、ただ大好きでいられたから。

そして私は、これを予防するためのエクササイズを編み出しました。目の錯覚用も。それで私が気づいたのは、もし身体が固くて不自然であれば、音楽を作ることは出来ないということ。皆それをわかっているはず。人々はものすごいテクニックを持っているし、上手に弾ける、でもそこに音楽がないの。作曲家は死ぬの。そこに音があるだけで、音楽の魔法に欠けているのよ。だから、音楽とは何かということを育てるべきなの。

嬉しいことに子供たちが大きくなって自由になったから、本格的に教えだしたわ。そして気づいたことは、指は手から動くのであって、指先から動くのではないということ。実はデヴィット・メンデゥーサという指揮者と友だちになって、彼が教えてくれたのよ。これがわかったときは、天にも登るような気持ちだった。そして音楽のはじまりはここだと気がついたの。つまり幅、音幅のドラマなの。喜びに満ちた全音「ターラン、ターラン♪」そして悲劇的な半音「ターラン、パーラン♪」そして、気がつけば、手の裏には結局3つの幅しかないということ。そのスペースこそが大切であって、動きではないということ。

こうやって話してると何時間もかかっちゃうけど、とにかく私は予防のエクササイズを作りました。それが今も教えているニューアプローチの誕生なんです。今もこれを教えているんですよ。そして、肉体的な自由を手に入れるのは始まりに過ぎないの。まさにそこからが本当の勉強が始まるんです。

ご質問の答えになっているかしら?

 

CT:まさしく。

 

KH:続けていいかしら?

 

CT:お願いします!

 

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【連載バックナンバー】

「あがりを乗り越えて」カトー・ハヴァシュインタビュー(1)

 

【出典】音声でお聴きになれます。

http://www.beyondstagefright.com/kato-havas/

 

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Japanese translation(c)Chisumi Ishikawa

 

 

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