【追悼】KHインタビュー(6)〜あがりを予防する練習法〜

 

 

CT:練習についての考えをお聞かせてください。そして、どうしたら練習によってあがりを克服できますか?

 

KH:まあ、よくそれを訊いてくださったこと。なぜなら、練習とは死んでいることよ。私達は間違いを練習するの。繰り返し繰り返し。最後にはちょっとはよくなったかに見えるけど、朝になると元の木阿弥よ。だから私のアドヴァイスは、とにかく歌って歌って歌うこと。窓に向かってでも歌う、絵に向かってでも歌う、いつも外に出すの。想像上の聴衆に向かって歌う、想像した聴衆に向かって弾く。もう一つの問題として、我々ソリストはとても孤独な生活をしているでしょう。それでいて突然たくさんの人の前に出て行って、今すぐに演奏を始めろということになる。だから、常に誰かに向かって弾くということに慣れていなければいけないの。通りがかりの人、郵便屋さん、外に向かって、出して、出して。そして、楽しむことはすべての基本です。生徒には、もし予防のエクササイズを楽しまないのなら、意味がないって言うわ。要は、作曲家の使者となることがいかに特別なことかということよ。

 

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「あがりを超えて」カトー・ハヴァシュインタビュー(1)

KHインタビュー(2)〜ニューアプローチの誕生〜

KHインタビュー(3)〜あがりの原因と対処〜

KHインタビュー(4)〜ホロヴィッツ、クライスラーの思い出〜

KHインタビュー(5)〜ハイフェッツの逸話〜

 

 

【出典】音声でお聴きになれます。

http://www.beyondstagefright.com/kato-havas/

 

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Japanese translation(c)Chisumi Ishikawa