イケてないレッスン

 

【生徒側】

 

いつも無理な挑戦をやり続けている心境である。

弾けない箇所はどんなに練習しても弾ける気がしない。どうしたら先生みたいに、上手な人みたいに弾けるのだろうか。(練習が足りないに違いない。)

やれるだけやってレッスンに持って行く。

色々教えてもらい、満足して帰って、また練習する。

一応言われたとおりに気をつけて練習したが、ダメな箇所は相変わらず弾けていない。

次のレッスンでも、先生からは根気強く色々とアドヴァイスももらう。

「レッスンでみていただいている」その事実だけが救いである。

気を取り直して、また先生の言うとおりに家で練習する。

一週間練習してもやはりまだ弾けない。

またレッスンに行って、今度は全く逆のこと違うこと(または、またしても同じこと)を言われ、意気消沈する。

もうこの曲を◯ヶ月も弾いているのに、出口が見えない。

そうこうしていると、レッスンで合格をもらえた!!嬉しい!!

次の曲に行けるという事実だけで、上達した気がしている(が問題はそのままである)。

何よりも違う曲を譜読みできるのが嬉しい。

ダ・カーポ・・・

 

【先生側】

 

自分で譜読みさせても、音程もボーイングもなっていない。

ガックリ。これは練習不足?

いやになりつつも仕事なので、一つ一つ間違いを指摘していく。

しかし、その場ですぐに直せず、先へ勧めずイライラしてくる。

とりあえず、「練習不足!」と叱る。

次の週は練習はしてきたのだが、テンポがめちゃくちゃだし、難しい箇所では止まったりゆっくりになったりして、流暢に弾けるのとは程遠い。

そこだけ取り出して、技術的問題を指摘して、丁寧にレッスンする。

次回に期待。

次の週も、完成には程遠く、別の問題も噴出。生徒も意気消沈気味。

違う言い方で指摘したり、音楽的なことを盛り込んで一所懸命に伝える。

生徒を励ますべく、お手本も弾いてあげたり、ピアノで伴奏してあげるなど、がんばる。

次回に期待。

依然として、ぎこちない演奏ではあるが、だいぶマシになった。

一応通せるし、この辺がこの生徒の限界だろう。

オマケということで合格にして、とりあえず次に行ってみよう。

ダ・カーポ・・・

 

 

生徒側として、長い間、私自身が上記のような生徒であった。

 

また、教師側としてこういうレッスンをやめることができたのは、ハヴァシュ式アプローチの教え方を学んだおかげで、言葉に表せないぐらい、感謝している。

 

昔の生徒には申し訳なかったと思うことがある。

今の私だったら、あの時のあの生徒を導いてあげることができたのに・・・と。

 

今の門下生は、私の進歩と比例して、各々も驚くべきスピードで進歩し、それぞれの才能を開花させてくれている。

”レベル”ではなく、まずは生徒自身が満足することが何より大切である。

 

また、レッスンの目的は、生徒自身が自分で自分をどのようにしたらレッスンできるかを身につけさせることである。レッスンで一緒にいる時間はつかの間だが、家に帰って生徒は毎日自分でレッスンするのだから。