斎藤秀雄先生

クラッシック関係者なら誰も知らない人はいない(はず)斎藤秀雄先生。

今の桐朋学園を作られた方で、小澤征爾など数え切れないほどの音楽家を育て、今の日本のクラッシック音楽のレベルを世界レベルまで引き上げた功労者です。

”サイトウキネンオーケストラ”は一流の奏者ばかりの夢のオーケストラで有名ですが、参加者はすべて、斎藤先生の教えを受けた方々です。

そして斎藤先生は指揮法のメソッドを世界ではじめて体系化されましたが、ご自身はチェロ奏者でした。

この本の中では、宮澤賢治の「セロ弾きのゴーシュ」の中に出てくる指揮者は斎藤先生をモデルにしているという説が、説得力を持って書かれていました。

同じ時代を生き、チェロを抱えて上京してきた宮澤賢治の姿も生き生き描かれていて、興味深かったです。

私は斎藤先生に直接教えを受けた年代ではありませんが、私の歴代の師匠からは、その厳しい指導ぶりや、類稀なる情熱、生徒への深い愛情など、折に触れて聞かされていました。

私の師匠は斎藤先生のこと、”トウサイ”と呼ばれていました。かお

ここにはとても書けないエピソードや深いお話なども伺っています。

その師匠から薦められて「嬉遊曲、鳴りやまず」という斎藤先生のことが書かれた本を読んでいます。

嬉遊曲、鳴りやまず―斎藤秀雄の生涯 (新潮文庫)/中丸 美繪

¥700

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感動です。本当にその一言です。

物(楽器)もなく、伝統もなく、指導者もいない時代に、どのようにしてオーケストラを作ったのか、そして世界に通用する生徒たちを育てたのか、その苦労が生々しく伝わってきました。

その真剣で死に物狂いの空気を感じさせていただき、私たちがあるのも、この本に出てくる先生方のおかげなのだなあと、再確認し、背筋が伸びました。

クラッシック音楽をしている人は必読書だと思います。

生徒にも読ませたいです。

そして、今の私のちっぽけな悩みなど、傲慢であったなと。

まだまだ、まだまだ、努力の余地があるではないですか!

私の師匠は、斎藤先生の時代の空気を持った方ですが、次の私たちの代でそれを持っている人はどのくらいいるかな、と考えさせられました。

物質的に恵まれ、「便利」で、ヴァイオリンやオーケストラが手の届くところにあるという時代の私たちが失いつつあるものが息づいているのも感じました。

ところで、斎藤先生といえば、この本!↓

「指揮法教程」。

【改訂新版】 指揮法教程/斎藤 秀雄

¥2,835

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音大のときに「指揮法」の授業で必ず使われている本で、私も持っていました。

今回改めて「指揮法教程」を勉強直そうと思い立ったものの・・・

年末のお片づけ祭りの際に、なんと処分してしまったようです。ショック!

当然、再び買います!

しかし後悔はありません。

こうして、本当に必要なものがわかるのもお片づけですから。

指揮法を勉強しなおして、生徒の合奏指導の質が少しでも上がるよう、がんばります。