尺八奏法Q&A 「息継ぎ」

Q.古典本曲を練習していますが、息継ぎは楽譜に記されている箇所までしてはいけないのでしょうか。その箇所まで持たそうとするととても弱い音になるか、終わり近くでやむなく息を継ぐことになってしまい上手くいきません。

A.息継ぎに関しては伝承や派、あるいは吹き手によって考えの分かれるところですので一概には言えませんが、私の思うところを書かせていただきます。

私が稽古に用いている国際尺八研修館の楽譜にも、息継ぎの箇所は書き込まれています。では、“息継ぎはこの場所でしなければならない、また、他のところでしてはいけない”かというと、そうではないと考えます。

楽譜の一行の始まりがAという地点、終わりがBという地点と仮定します。この場合、AからBまで行く間には、息継ぎをしてもおかしくない(=不自然でない)箇所がいくつかあると考えられます(とても短い一吹きを除く)。車でA地点からB地点まで進む間にガソリンスタンドがいくつかあると想定すればいいでしょうか。
燃料が切れる時にはガソリンスタンドで補給します。進行(吹奏)のなかで適正なガソリンスタンド(息継ぎ箇所)が見つかれば、そこで補給(息継ぎ)することはまったく問題ではありません。具合が悪いのはガソリンスタンドでない地点で停まってしまうことです。ガス欠になってしまうまでに最適なスタンドを見つけて補給する必要があります。
この“最適なスタンド=最適な息継ぎ箇所”を見つける作業はご自身で行なわねばなりません。先達の録音があればそれを聴いて参考にして、ご自身で何箇所か候補地点を作って試してみる、という方法で臨まれれば、曲への理解や愛着も深まり、吹くことがより一層楽しくなることと思います。

A.(補足)
息継ぎ箇所を多くとる際に気をつけなければならない点は、“息継ぎをしたことにより、その旋律のバランスが悪くなってしまう”ことです。
『手向』の最初の一行を例に取り上げます。
“^ローーッーレー^ローー”
しみじみとして美しい一節ですが、気を静め、一息でゆったりと吹くことは容易ではありません。そこで、二つ目の「ロ」の前で息継ぎをするとします。
“^ローーッーレー〈息継ぎ〉^ローー”
となります。ここで気をつけたいことは、「息継ぎをした後のロを長くしすぎない」ということです。〈息継ぎ〉をすることにより呼吸が新しくなりますので、
“^ローーッーレー〈息継ぎ〉^ローーーーー”
と吹くことも可能です。しかし、息が続くからといって二つ目の「ロ」を続くだけ伸ばしてしまうと、旋律自体が間延びますし、また、次の旋律に入るタイミングを失してしまうことに繋がりかねません。
一吹きを分割する場合には、息継ぎをしたとしても、元の“一息でこう吹きたい”という長さに収めることが肝要です。

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4 Responses to 尺八奏法Q&A 「息継ぎ」

  1. 加藤道山 on 2014年1月12日更新 at 8:09 PM

    石川光利先生有り難うございます。私は、83才。肺活量は2300(通称)実際は2100位に減ってしまいました。
    身長も小さい私は チャンスあれば、素早く給油です。年に大小合わせて8~10回の演奏会に出ております。
    毎日2尺4寸、2尺3寸、2尺、1尺8寸を合わせて2時間前後吹いています。
    石川先生のガソリンスタンドのお話は本当に素晴らしいご意見だと思います。
    いつでしたか 石川先生の「一定」をFM放送聞いたのを思い出しました。

    • 石川利光 on 2014年2月28日更新 at 5:28 PM

      加藤道山様 コメントありがとうございました。83才で現役で尺八を吹かれ、演奏会に出演されていらっしゃることに感銘を受けました。今後ともよろしくお願い申し上げます。お身体大切にご活躍ください。石川利光

  2. 松井 昶 on 2015年12月21日更新 at 4:05 PM

    千葉県四街道市の松井です。昨日は“東京石の会”拝聴いたしました。3~4年ぶりでしょうか、先生にお会いでき、私のことをお忘れで無く大変うれしく思いました。東京の教室では大変お世話になりました。このたびは久しぶりに石川先生のすばらしいテクニックと音色を聞き別格官幣大社だなあと思いました。とても楽しかったです。さて、私は筆不精なので近況報告をしていませんでした。母の介護で時間がとれずやむなく教室通いはやめましたが、時折、母の枕元で静かに尺八を吹いていました。母の父が昔尺八を吹いていたとのことでとても懐かしんで喜んで聞いてくれました。その母も2年前に他界しました。97歳でした。私は特別に信じている宗教は無いので、お坊さんは呼ばず私の尺八本曲の演奏をバックにご近所さんや親戚の方々にご焼香いただきました。しばらく気落ちしていましたが、今度は私がガンになってしまい現在放射線治療やホルモン療法を続けています。薬の副作用で体の動きが鈍くなり、両手指はこわばって痛みます。しかし毎日30分は痛みをこらえて尺八を握り音を出しています。自己流になってしまっていますので先生に診てもらいたいと常々思っています。体調が回復したら又教室に通いたいと思います。先生もお体に気をつけて尺八会のため頑張ってください。ありがとうございました。松井

    • admin on 2015年12月21日更新 at 5:15 PM

      松井さん
      昨日は遠路をお越しいただき心より御礼申し上げます。第一回の独奏会をお楽しみいただけたようで嬉しく存じます。
      ご自身におかれましては厳しい日々だと思いますが、ぜひ気力を振り絞られ尺八を続けてくださることを願っております。
      私でお役に立つことがありましたらお知らせください。またお目にかかる日を楽しみにしております。
      こちらこそありがとうございました。石川

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