随筆石と竹「さあこれからや!」

2021年1月8日で私は満60歳になった。”ヒデキ、感激ッ!(古っ)” ならぬ”トシミツ、還暦ッ!”である。

還暦を既に迎えられたほぼほぼ全ての方がそうだったであろうが、まさか自分が60歳になるとは考えもしなかった。『48歳の抵抗(石川達三)』を読み駄文を記してから、もう一廻りしたことになる。早いといえば早い、いや充分に時間が経過したといえばそう言えなくもない。幸いなことにこれまでの間、少々の危機はあれど大病らしい大病もせず、何とか無事に生きて来ることができた。この身体を授けてくれた両親に心から感謝したい。

18歳で始めた尺八が高じ、10年間のサラリーマン生活の後32歳で脱サラ、尺八家となって28年が過ぎた。脱サラをする時には、お世話になっていた尺八製管師の方が”尺八で食っていくのは至難の業、勤めながら趣味で尺八を吹くのが一番いいですよ”と引き止めてくださった。それでも尺八の道を選んだのは、尺八の持つ魅力というか魔力に取り憑かれてしまったからに他ならない。

〈一年の計は元旦にあり〉ということで、元日より”今年何をなすべきか、何が出来るか”を一週間考えた。ルーティンとなっている「春秋の本曲会」「大阪2回東京1回の門人演奏会」「石川ブロスライブ」「24年目となる大阪講習会」は継続の予定である。それに加え、現在2年に一度の「ソロリサイタル」は20回を数えるのでどんな形になっても成立させたい。おかげを持ち好評をいただいているDVD『石川メソッド』を携えて各地に紹介に行きたい。昨年録音したピアニストとのCDを完成させて発売記念ライブを展開したい。まだまだ他にも、頭の中で浮かんでいるプランを具体化して行きたい。

しかしながら、その思考の間ずっと頭の中にあったのは、私の尺八の根幹となっている横山勝也伝の古典本曲にもう一度新たな気持で取り組みたい、という思いであった。自分流になっている部分を修正し、教えていただいた時の状態に戻したい。これは原点回帰であるからして”還暦”の年の取り組みに実にふさわしい(自画自賛!)。そう考え、さっそく横山先生の講習ビデオを鑑返すと、以前にも増して先生の偉大さが発見出来た。そうそう、自分が惚れ込んだのはこの音であり、この演奏、この人間力であった。これから一年、丁寧に浚い直して行こうと決意した。

先の読めない厳しい状況下の年明けであるが、私は”還暦”の一年を原点回帰、看脚下の一年として、これからのさらなる飛躍につなげたいと希う。

【おまけ】

この駄文のタイトルは最初「さあこれからだ!」としていたが、”あれっ、どこかで聞いたようなフレーズ”と感じ、検索したところ、鎌田實ドクターの人気コラムのタイトルだった。そこで大阪人のワタシ風に変えた次第である。以下はいろいろ考えてみたタイトルとNG理由である。

さあこれからでっせ!、さあこれからですわ!、さあこれからでんねん!(以上、ナニワの商人みたいで×)、さあこれからでおま!(鶴光師匠みたいで×)、さあこれからどすえ!(舞妓はんみたいで×)、さあこれからじゃ!(偉そうで×)、さあこれからじゃっど!(薩摩隼人じゃないので×)。

しっつれいしましたーーー!

 

随筆石と竹「さあこれからや!」” に対して2件のコメントがあります。

  1. オルカ より:

    こんにちは。昨日偶然NHK-FMで石川さんの尺八を聴きました。とても感動しました!普段はクラシックやプログレ、現代音楽をよく聴いています。尺八も昔から興味があり一度習ってみたいと思っていました。自営業者で今はコロナで生活が厳しいですが、落ち着いたら石川さんの教室に通いたいと思っています。今後のご活躍を期待しています。

    1. admin より:

      オルカ様
      この度は放送をお聴きいただいた上に嬉しいメッセージを頂戴し、心より御礼申し上げます。
      状況が好転しましたらぜひお越しください。レッスンの見学、体験レッスンは無料です。
      ありがとうございました。
      石川拝

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